【呻吟】理の日 before.
ーーを正面に据え、この手を血で染めることとなる三日前。ーーは寂しい教室で私と向かう合う。
「俺のことを殺してくれないか?自殺は怖いんだ」
突然そんなことを言い出した。
彼の顔は暗い表情をしていたのだろうか。声は震えていた気がする。
私は咄嗟に出してしまったこの言葉を、今でも悔やんでいる。 「三日後土曜日でしょ。私の家に来て。両親、居ないから」
彼は笑って見せたのか、口角を不自然に引き上げる。慰めの方がよかったのかと不安になる。「覚悟と睡眠導入剤、俺しっかり用意しておくよ」
「笑えてないんだけど」むしろ、顔がキモくなって見える。
なんとなく胃酸が込み上げてきたので、その日は解散した。話くらい、もっと聞いとけばよかったと思った。
夜、月ひとつない夜。私は家で、案の定吐いた。
頭は不思議と冴えており、浮かんだ一つの答えを体が拒むように吐しゃ物を生成する。
自殺が怖いなんて、真理ね。もし、自殺寸前で尻込みし、勢いそのまま頼んできたと考えると、ますます願いを叶えてあげたくなる。可愛くて、可哀そうな、他でもない彼の頼みだもの。
殺してあげよう。迷いはなかった。
事件の二日前と一日前、学校でーーと特に会話することもなかった。
視線すらも交えず、約束の日まで普通に過ごした。寝て起きてからは現実味が薄れていき、どうでもよくなりつつあった。
殺してあげたいという意志だけは、頭に残っていた。
理を”ことわり”って読むの好きです。よろしくお願いします。
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