【連載小説】扉 vol.15 「エピローグ」(完結)
俺たちは無事結婚した。
もうさらわれないように、しっかりと手を繋いだ。
披露宴はそれはそれは豪華なものだった。
各国の偉い人がたくさん集まって、ハイルストンからも出席者があった。
授業をしてくれた先生方。
クリフ、フィーナ、シン、ハリス。
皆が祝福をしてくれた。
幸せだった。
ある日、俺は書斎で見慣れない本を発見した。
タイトルは『扉』。
本を開けると光がさして……
気づいたら図書館にいた。
それも、王子の格好のまま。
俺は急いで『扉』を探したが、そんな本は目録にも載っていなかった。
俺は毎日『扉』を探し求めた。
毎日毎日、雨が降る日も、風の強い日も。
いつしか俺も歳をとり、王様の歳をはるかに越えた。
七十年探し求めた。
あの場所へ帰るために。
俺はある日、書斎で見慣れない本を発見した。
その名も『扉』。
俺は歓喜し、その本を開いた。
本からは光が溢れ……
「あなた、あなた大丈夫?」
その声は……セレナか。
「おぉ、おぉ、大丈夫だ。」
「あなた書斎に入ったまま倒れていたから、クリフに運んでもらったのよ」
確かに、ここは見覚えのある天井だ。
もう二度と、俺は『扉』を開くことはないだろう。
俺は心にそう誓った。
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