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【連載小説】星の下で vol.27 「かくれんぼ」

まず、レンが言い出したのはかくれんぼだ。

懐かしい。昔はよくやったな、などと私が思っていると、じゃんけんで負けてしまった。

「10、9、8……」

みんなが走る気配がする。

「……3、2、1、もういいかーい?」

「まーだだよー」

結構近い位置からレンの返事が聞こえる。

「もういいかーい?」

「もういいよー!!」

私は手当たり次第探していく。まずは基地の中を念入りに。そして基地の裏側へ出ると、屋根にべたっとレンが張り付いていた。

「レン、みーつけたー!!」

レンが、

「すぐに見つかってしまったー!!」

と言っていたが、レンはいつもそこに隠れることをしっていた私は、

「レンの隠れる場所がいつも同じだけん見つかるとばい!」

「そぎゃんいつも同じじゃない!」

膨れっ面をするレンと一緒に他の仲間を探しに出る。

ところが、なかなか見つからない。

そりゃそうだ、昔の俺たちとはパワーが違う。

例えば木登りとか……

「カズトみっけー」

フェンスの登り降りとか……

「ユタカみっけー」

しかし、ノボルだけどうしても見つからない。

「ノボルー。次ばするばい!出てこいよー」

と言うと、探したはずの基地の中からノボルは出てきた。

どうやらよじ登って隙間に隠れていたらしい。


昔はたくさんあった隠れ場所、今では大きくなった身体では隠れきれなくなっている場所も多かった。

ひとしきりかくれんぼをしたあとは、色つき鬼ごっこをした。ルールは簡単。鬼の言った色をさわっていればセーフ。だが、同じ場所にいられるのは10数えるまで。

これはなかなか熱い接戦だった。

背が高くなった俺たちは、いろいろな所に手が届くようになっていたので、超接戦になった。


久しぶりに走り回ったせいで、みんなクタクタになった。

こんなにはしゃいだのも久しぶりだ。


レンも満足そうにその様子を見ていた。

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ちびひめ
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