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限りなくホワイトに近いグレー ~ LD(学習障害)

みなさんこんばんは。
今日はいつもとテーマの違うお話をさせてください。

うちの子は勉強ができない

勉強ができない理由は、もちろん本人がやらないから、ということもあるのですが、そこにもまた理由がありまして。

今までごくごく親しい人にしか話すことはありませんでしたが、あるクリエイターさんの記事を読んで、同じような状況にあるご家庭の役に立てば、と思い、我が家の話を記事にすることにしました。


LD(学習障害)

私の息子にはLD(学習障害)があります。

ディスレクシア。

ディスレクシアとは

ディスレクシアは、学習障害のひとつのタイプとされ、全体的な発達には遅れはないのに文字の読み書きに限定した困難があり、そのことによって学業不振が現れたり、二次的な学校不適応などが生じる疾患です。

ディスレクシア | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp)

とはいえ、限りなくホワイトに近いグレーです。

今、中学3年生。
日常生活はまったく普通に送っていますし、コミュ力は異様に高く、おおらかな性格で誰とでもうまくやっていけます。

担任の先生曰く、「クラスのムードメーカー」なんだそうです。

今は本人も自分がLDだということは脳みその片隅にある程度で、気にしていないように見えます。

でも、勉強ができない。

一時期の彼はこんな感じでした。

・国語ができないから他の教科もテストになると点が取れない。
特に社会や理科。
・言葉の意味を理解するのに時間がかかるから、用語を丸暗記するのに時間がかかる。話して説明すると、「ああーっ!それか」と理解はしている。
・文章を読むのが苦手だから、そもそも問題の意図が読み取れない。
・文字が読めなくても推測で問題の意図をある程度理解できる数学や英語は平均点が取れる。
・どうせ「バカ」だから、と勉強そのものを放棄。テストを白紙で出すことも。

周囲のサポートもあり、今では落ちこぼれない程度に生きています

この子、ほかの子とちょっと違う?


こんなふうに真剣に悩み始めたのは実は小学生になってからです。
それまでは多少の遅れはその子の性質だろうから、そのうち追いつくでしょ?とそれほど気にしたことはありませんでした。

文字に興味を持たない幼少期

姉は保育園の頃にはひらがなをマスターしていたが、弟はさっぱり。
文字に興味を示さない。
特に娘にだけ特別な教育をしていたわけではないのに。

学習の遅れが気になりはじめた小学生

小学2年でひらがな、カタカナをマスターできない。
漢字の宿題をやらない、いざやり始めると極端に時間がかかる。

本を読みたがらない、音読ができない・・・

個人面談の際、担任から、「気になるようなら発達障害を疑ってみても(ゴニョゴニョ…)」と言われたこともありました。
それでも、積極的に検査を進められなかったこともあり、このころは「まさかぁ😒」と軽く受け流してしまっていました。

ただ、ひらがなカタカナぐらいマスターしておかないと困るからと、このころから公文式に通わせることにしました。

集団授業の塾からの入塾拒否


小2で公文式を始めたのに、とにかく国語だけ進まない。同じレベルをくり返しやっても定着しない。いよいよ心配になってきます。

公文式が合わなかったのか、1年継続してたのに目立った改善が見られなかったので同じ小学校の児童が多く通う補習塾に変えることに。

ところが入塾テストの段階でやんわりお断り!
このレベルだと塾の授業についていけないから意味がないとのこと。

がっくりです。オフィシャルに勉強できない認定をされた気分。
勉強嫌いにしてしまったのは私のせいじゃないだろうかといつも悩んでいました。

理由があるなら知りたい(WISK検査と合理的配慮)

このころには国語のみならず、すべての教科に遅れが見えはじめていました。
かろうじてOKだったのは図工と体育、音楽ぐらい?

完全に親のエゴですが、とにかくどうにかしてあげたい一心で、勉強ができない子ども向けにオーダーメイドで授業を組んでくれる補習塾を探しました。そして大手の個別指導塾に通い始めたのが小学4年生。

WISK - 勉強を「しない」んじゃなく、したくても「できない」

入塾してしばらくして、塾長との面談の際に小学生の時以来の学習障害話が浮上。

息子はもしかしたら、普段から勉強を「しない」のではなくて、したくても「できない」から、「あきらめ」ているんじゃないか?

今度はピンときた

このときは聞き流さずに行動に移しました。
小学校のスクールクンセラーに相談し、本格的にWISK検査を受けたのです。

結果、知能に遅れはないもののざっくり言うと言語(文字)の認識・理解にやや遅れがあることが判明。
地域の総合病院にある発達障害専門外来でLDの診断をもらいました。

原因がわかると急に気持ちが楽になるものですね。

自分ができないのは頑張りが足りないからじゃなかったんだ。
「バカ」じゃないんだ。

息子もほっとした様子

原因は分かった、次は対策!

学校からどんなサポートをもらったらよいかアドバイスが欲しくて、ディスレクシアの理解を深める活動をしているNPOのアセスメントを受けました。

その後、WISCを受けさせてくださったスクールカウンセラーと、担任の先生、息子本人も交えての話し合いの結果、いろいろと配慮してもらえることに。

・教室の座席は一番前
・できる限りプリント埋め込み方式で書く量を減らせるようにしてもらう(書くのが遅いから書いている間に授業が進んでしまい、よくわからなくなるため)
・板書の際には大事なところを見やすい色で書いてもらい、最低限それだけメモすればOKなようにしてもらう
・漢字練習の宿題はみんなと同じ10個ずつ書くのでなく、3つ4つでもOKにしてもらう(「書く」ことにストレスを感じているので宿題そのものが嫌にならないように、という配慮)

学校側と決めた合理的配慮

合理的配慮とその後

「合理的配慮」がされるようになったのが小学5年生。
そのころから四半期に一度、学校を休んで発達障害外来に行くように。

発達障害外来といっても、基本的には小児科の専門医と息子が簡単な漢字のテストと、おしゃべりをするだけです。

「最近どう?」
「あのね、xx先生がさ、・・・」

意味があるのかないのよくわかりませんが、息子にとっては息抜きになるのか、毎回この通院をとても楽しみにしていたのできっと何か意味があったのでしょう。

親向けには、学習の遅れを取り戻すための方法を教えていただきました。
個別指導塾では医師からのアドバイスを前提に、低学年からの遡り学習を開始。次の通院でその結果を報告・確認する、というサイクルが定着しました。

6年生になるころには漢字の小テストの対策のコツを習得したようです。

「オレ、覚醒したから!」

満点を連続するように。

この一件で自信がついたのか、徐々に白紙回答も減ってきました。
通級指導の教員からもひとまず合理定期配慮は要らないね、とお墨付きをもらい、今では他の生徒と同じように授業を受けています。

発達障害外来への定期通院もなくなりました。

勉強はあんまりできないけど


小学校低学年の頃の息子は、「どうせ『バカ』だから」と、学ぶこと自体をあきらめたのか、テストを白紙で出してしまうような子どもでした。

自分たちで言うのもナンですが、私も夫も小中学生の頃は親に言われなくても勉強していたタイプ。

LDがわかるまで息子が勉強しないのはやる気がないからだ、だから成績が上がらないんだ、と決めつけていました。
とにかく学習習慣を身に付けてほしいと試行錯誤するものの、ことごとく暖簾に腕押し。

息子の学力は今でもそれほど高くない

中3になった今の息子。
特別なサポートがなくても授業にはついていけるけど、落ちこぼれない程度に生きている、というのが正直なところ。

おおらか過ぎて、負けず嫌いとは程遠い性格だからか、相変わらず意欲的に勉強に取り組むというわけでもないのですが、現在受験生。

いっちょ前にテニス部の引退試合の練習に励み、志望校について悩んだりもしています。
思春期の男子が母親にそんな話、する??と思わなくもないですが、好きな女の子と道ですれ違って、ニコッと笑ってくれた~💕なんて話まで。

現実を受け入れて、高望みをしない

周囲の理解とサポートのおかげで今があります。

発達の凸凹があれど、できないなりに、頑張れる子なんだ、ということが今ではよく分かったので、高望みをしなくなりました。
高望みをすればきりがないけど、無理な頑張りは息子も家族も疲れてしまうから。

正直、わが家がこれまでやってきたことが正しかったのか、今やっていることが一般的に見て正しいのかは、今でもよくわかりません。

少なくとも平和な今があるのは小学校でLDに気が付けたからじゃないかと思っています。

息子には、自分の力でハッピーな進路を切り開いていって欲しいですし、そのためには家族が疲弊しないことを優先するのがベストだというのが我が家の結論。

もし今、当時のわが家のような状況にいるご家庭があるとしたら、参考事例のひとつにでもなると嬉しいです。

長文お読みいただき、ありがとうございました。


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