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賞レースを席巻するほどの傑作なのか?──『パワー・オブ・ザ・ドッグ』正直レビュー

先日、第45回日本アカデミー賞をTverで視聴した。結果は、まぁ大体の人が想像した通りと言うか、「ドライブ・マイ・カー」の一人勝ちだった。主演男優賞・監督賞はまだしも、地上波でカットされたスタッフ部門でも総なめだったため、作品賞が発表されても驚きは無かった。そう考えると昨年度、ほぼ「Fukushima 50」の流れだったところで最優秀作品賞をかっさらっていった「ミッドナイトスワン」がいかに大金星だったかを改めて実感した。

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さて、現地時間の3月27日、第94回アカデミー賞の発表が行われる。日本からも先の「ドライブ・マイ・カー」が邦画初の作品賞にノミネートされるなどして注目を集めている。だが、同賞で最多12部門にノミネートされているのは、Netflix映画の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」である。

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アカデミー賞に限らず、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」はこれまで数々の映画賞で受賞を果たしている。直近だと英国アカデミー賞でも作品賞を獲得した。

これだけ映画賞を賑わせている作品を見逃すわけにはいかない。ということで、アカデミー賞直前になんとか滑り込みで視聴することが出来た。以下、自分なりの感想をネタバレ無しで簡単に書いていく。

「これが本当に賞レースを席巻しているのか?」

これが、映画を三分の二観たところで抱いた自分の感想だ。残り三分の一でようやく物語が進み、「こういうことだったのね」とは思ったものの、やはり絶賛されるほどの作品かと言ったらそこまで刺さるものは無かった。残り三分の一で繰り広げられたサスペンスは話の展開が予想しやすかったもののよく出来ていた。

いわゆる「西部劇ならではのマッチョな男性が、ひ弱な男性に一矢報いられる」という現代ならではの描写、そしてLGBT要素が世情に一致しているということが評価されている理由なのか(個人的には、そのLGBT描写は必要だったのかとも思った)。いずれにしても、自分にはハマらない作品だった。

これだけ評価が高い作品だからどんなものかと思いきや、結果として肩透かしを食らった感じである。まぁ、好みは人それぞれなのでこういう意見もあるということで容赦してほしい。思えば、今年の日本アカデミー賞の最多ノミネート作品は「虎狼の血 LEVEL 2」(13部門ノミネート)だったが、最優秀賞は助演男優賞ぐらいだった。「パワー・オブ・ザ・ドッグ」も『大山鳴動して鼠一匹』の可能性は十分にある。27日のアカデミー賞、注目である。

(追記)個人的に驚いたのは、「ラストナイト・イン・ソーホー」で注目を浴びたトーマシン・マッケンジーが今作に端役のメイド役で出演していたということだ。これは観ていた時は気づかず、後から知って驚いた。これからも色んな作品で活躍してほしい。

(追記・2)日本時間の3月28日、第94回アカデミー賞が発表された。作品賞に輝いたのはAppleTV製作の「Coda」となり、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」は受賞は監督賞のみに留まるという、私が予想した通りの結果となった。結局、下馬評に左右されず実際に自分の目で見て作品を判断することが改めて大切であることが分かった。Netflixは同じVODのAppleTVに下される形となって、さぞ悔しいだろう。ネトフリオリジナル映画は当たり外れが激しいが、これに懲りずにまた面白い作品を作ってほしい。

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