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人材流動性の時代における業務の「引き継ぎ」をアンゾフの成長マトリクスを使って考えよう!

人材流動性の時代における引き継ぎを考えよう!  
業務の引き継ぎは、名簿や連絡先の受け渡しではありません。そこで、アンゾフの成長マトリクスを引き継ぎに使ったらどうなるか考えてみます。

近年、人材の流動性が加速度的に高まっています。一つの組織に長く留まるのではなく、スキルアップやキャリアチェンジのために転職や副業、フリーランスなどの新しい働き方を選ぶケースも増えてきました。こうした社会的変化のなかで、企業がより多くの人にとって魅力的な職場であり続けるためには、業務の“引き継ぎ”というプロセスがいっそう重要な意味を持ちます。

しかし現状では、「引き継ぎ=ファイルや名簿を渡すだけ」「引き継いだところで全体像が見えない」など、十分に機能しないケースが少なくありません。本来、引き継ぎで大切なのは、企業が持つ“顧客創造力”や“成長戦略”を次の人に渡していくこと。そこに着目して、今回はラテラルシンキングの発想で「アンゾフの成長マトリクス」を活用した引き継ぎ方法を提案します。



ラテラルシンキングで生まれる新しい引き継ぎの形

「ラテラルシンキング(水平思考)」とは、常識的な前提や既存の枠組みを一旦脇に置き、まったく別の角度から問題をとらえ直す思考法です。  

- 既存の思考法: 「引き継ぎ=名簿や連絡先の移管」  
- ラテラル思考: 「引き継ぎ=企業の成長戦略や顧客創造力を継承するプロセス」
  

このように、同じ行為を全く違う視点で見ると、必要な情報の質や方法が大きく変わってきます。その手段として、アンゾフの成長マトリクスを用いれば、企業が“どの市場に、どんな製品・サービスを提供し、どう成長しようとしているのか”を一目で把握できるフレームワークの活用が可能になります。


アンゾフの成長マトリクスとは?

アンゾフの成長マトリクスは、縦軸に「市場(既存/新規)」、横軸に「製品・サービス(既存/新規)」をとり、以下の4象限で企業の成長戦略を整理するフレームワークです。

1. 市場浸透(既存市場×既存製品)  
2. 市場開拓(新規市場×既存製品)  
3. 製品開発(既存市場×新規製品)  
4. 多角化(新規市場×新規製品)

成長マトリクスは自分のビジネスを戦略的に整理するのにとても便利なフレームワークです

このマトリクスの優れている点は、企業が「どんな顧客層(市場)に、どんな製品・サービスを提供しているか」という視点を分かりやすく示してくれること。まさに“顧客創造”の基礎構造を俯瞰するのに最適なツールです。


アンゾフの成長マトリクスを使った引き継ぎのメリット

1. 顧客創造の視点を自然に組み込める  
既存顧客へのアプローチだけでなく、未来の新市場や新製品開発の構想まで見渡せる。

2. 組織の成長方向を共有しやすい  
「今後どの顧客層を狙うのか」「新サービス開発はどこまで進んでいるか」などをマトリクス上で可視化しながら伝えられる。

3. 後任者とのコミュニケーションが深まる  
マトリクスを見ながら「なぜこれをやっているのか?」「どんな課題があるのか?」といった戦略的な対話が生まれやすい。


まとめ

人材流動性が高まる時代には、単なる業務内容の移管だけでなく、“企業の成長ストーリー”や“顧客創造の仕組み”を後任者に渡すことが、組織が持続的に発展するための大きな鍵となります。そのためには、アンゾフの成長マトリクスのようなフレームワークを使い、既存/新規の市場×製品の組み合わせごとに情報やノウハウ、戦略的意図を整理・共有するアプローチがとても有効です。

こうした引き継ぎの形を導入することで、  
- 単に「手順や連絡先」を渡すだけではなく、  
- 「企業がこれまで築いてきた価値提供の仕組み」と「これからの成長ビジョン」を一体として引き継ぐ  という、本質的なナレッジトランスファーが可能になります。


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