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『百花狂乱』

『百花狂乱』 No.029

あぁ、こんな私の心を沈められるのはあの人だけ
雲に紛れて流れたい
ざわめきたつ自分の振動を抑えることが出来ない
何もかも見えなくなっている自分ですら愛おしい
狂おしいほどの愛を手に入れられるならすべてを認めるわ
空を見上げるとあの人の色に染められる
これ程求めてしまうなんて、きっと前世からの呪いね
今は誰のものでもないあの人に私を支配して欲しい
とろける身体を受け止めて欲しい

あぁ、やっと私の核に触れられる人に出逢った
海を越えてうなだれたい
傷をつけた自分の器を投げ捨てることは出来ない
どれだけ語りかけても答えないあの人が憎らしい
悩ましいほどの愛を受け入れられないならすべてを滅ぼすわ
街を見下ろすとあの人の声に反応する
これ程飢えてしまうなんて、きっと来世でも獰猛よ
今から私のものになるあの人に時を狂わせて欲しい
満たされぬ感情を切り裂いて欲しい

通りすぎた後の匂い
触れた時の指先
流した汗の味
どれだけ私たちを時空が隔ててもきっと見つけ出すの
タイムマシンなんて必要ないわ
あの人は私が産み出した偶像
狂ったように祈り、抱きしめるたびに崩れる
この世の愛を見えなくするのが私の喜び
この世の愛を狂わせるのが私の悦楽

乱れ狂った盲愛の世界に咲く花になるのは、いったいだれ…?


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