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【練習生】BTSと契約更新【専属契約】


契約更新が気になるお年頃

以前別の記事で書いていた、ハーバードBSから出たBTS論文なのですが、読んでいたら2018年の契約更新についても触れられていました。

ハーバードビジネススクールから2020/6/8に出された論文「Big Hit Entertainment and Blockbuster Band BTS: K-Pop Goes Global(Big Hit Entertainmentと大ヒットグループBTS:K-POPが世界に進出)
(中略)
観ているうち気になってたまらなくなったので、買ってきました💜

「【BTS/THR】僕たちのメッセージは自分自身を愛すること【インタビュー和訳】」より

アーティストと事務所との契約更新っていう概念は、バンタン沼来て初めて出会ったのですが、記事検索してもわりと「契約する / しない」の話が多くて、どういうふうに何を話し合って契約したのかみたいなのがなかったため、流していました。

しかしこの論文には、見たことなかった記述があったんですよね。ほほう。
というわけで、契約更新に興味を持ちました。色々検索してみたので、共有させてください。

K-POPの契約

よくある流れ

・練習生として契約する(この期間の費用は事務所が持つ)
・デビューする時に専属契約をし、練習生時代の借金を返す
・専属契約が切れたら(デビュー7年目が多い)、FA宣言状態になる

大まかに言うとこんな感じらしい

練習生としての契約

K-POPには、「練習生」制度があります。
有望な新人を発掘したら、数年間訓練を行い、その中からソロもしくはグループでデビューさせる、というものです。

練習生になる時に、一度契約を結びます。
規約に違反した場合は教育等にかかった費用を負担する、といった条項があるようです。

練習生期間の研修費用は、通常事務所が全額負担します。
ちなみにHYBEの場合これを投資として計上しているため、毎期毎にどれくらいの費用がかかっているかがわかります。
(2017年に、研修生に対し投資額の2〜3倍の契約解除違約金を課した会社が問題になりましたが、当時のBig Hitは監査対象になっていません)

要するに、京都の舞妓さんみたいに、育成にかかる費用は事務所が負担し、デビュー後返していく出世払いシステムなんですね。
バンタンも借金返済後、初めてお給料をもらったのは2015年だったという話を読んだことがあります。

アーティスト契約(専属契約)

次にいよいよデビューする時、アーティスト契約を結びます。
これがいわゆる「専属契約」で、契約後7年を越えたら歌手の方から打ち切りの意向を持ち出せるというものです。FA宣言状態になるわけですね。

7年固定というわけじゃないんですが、慣習的に7年が多いようです。
損益分岐点(要は元が取れるタイミング)とか、デビュー年齢と兵役開始年齢との兼ね合いで、その辺に落ち着いたらしいです。
実際は、7年持たずに解散しちゃうグループも多いとか。

専属契約期間7年経過後の解約通知
・芸能企画社と歌手の専属契約期間は、芸能企画社と歌手が自由に定めることができる
・ただし、専属契約期間が7年を超えて定められた場合、歌手は7年が経過すればいつでも専属契約の解約を芸能企画社に通知することができ、芸能企画社がその通知を受けた日から6ヶ月が経過すれば専属契約は終了する(「大衆文化芸術人(歌手中心)標準専属契約書」第3条第2項)。

韓国トレンド研究所「【韓国トレンドキーワード】 K-POPでよく出てくる「7年契約」「再契約」って何なの?」より

ただし、韓国ガールズグループ「FIFTY FIFTY」問題によってこの条項は改められ、デビュー後最初の契約は基本7年まで、になりました。
(2024/6/3、文化体育観光部が改正案の告示を明らかにした)

専属契約期間は、現行のように7年を基準にするが、改正案では最初の契約期間は7年を超過することができないようにし、延長する場合は書面で合意するように替えた。

Hwaiting!「“「FIFTY FIFTY」騒動”で新しい標準契約書が発表。新事務所に移籍した場合、前所属事務所の音源は3年間使えないことに」より

ところで「FIFTY FIFTY」問題って?
デビュー7か月後(専属契約中)のガールズグループが所属事務所に契約効力停止を求め、事務所側は「タンパリング(専属契約中に他社と事前接触すること)」の疑惑で外注会社を名指しして、法定紛争になった件。
グループメンバーの一人は事務所に戻り、別のメンバーを募集してグループ継続することを選択した。事務所は残りのメンバーとの契約を終了した。

BTSを理解するためにK-POPを勉強する日々

この法律により、韓国のアーティストはデビュー後7年目あたりで契約を見直す権利を持つため、より良い待遇やキャリアを求めて移籍する者も出ます。

特にグループの場合は、メンバー全員の合意が得られるかがネックになって解散などの転機を迎えやすく(ボーイズグループの場合は兵役開始時期も重なります)、「魔の7年」といった呼ばれ方をします。

2013:最初の契約

デビューした=契約した、なので特に契約に関する記事は見当たらず。慣習として7年で契約したのではないか、と言われています。

2018:最初の更新

2013年に契約した場合、2020年が見直し時期かと思っていましたが、早めに再契約したんですね。
わりと前倒しだと思うのですが、これはBTSからの事務所への信頼(今後も一緒にやりたいという姿勢)の表れではないか、という意見を読みました。

個人的には、他にも「兵役前に状況を安定させたい」というBTSと事務所の希望が合致したんじゃないかと思っています。
2018年だとジン君が26歳になる年で、韓国人としてはそろそろ兵役について決めたい頃だと思われますし、事務所はバンタンをデビューさせてから6年くらい彼らに専念しているため、2018年当時だとまだ後輩組がデビューしていません。
練習生のトゥバに投資しているタイミングだったと思われるため、経営面を安定させるには、彼らが必要だったと予想されます。

・2012年 「GLAM」デビュー(SOURCE MUSICと合同)→2014年解散
・2013年 「防弾少年団」デビュー
・2019年 「TOMORROW X TOGETHER」デビュー

バンタン前後にBig Hit Entertainmentからデビューしたアーティスト

K-POP界の場合、わりとアーティストを量産していくスタイルのように見えているので、6年BTS一本でやってたBig Hitは珍しいなと思いました。

前置きが長くなりましたが、冒頭で書いたようにハーバードBSから出たBTS論文に、2018年の契約更新に関する記述がありました。
原文転載はできないので、かいつまんで言うと、以下のようになります。

  • 会社とBTSは、次の7年もこの成功を続けられるだろうか、と話し合った。

  • BTSは「7年間一緒に頑張る覚悟がある」「これまでの成功に対する正当な評価を契約に反映してほしい」と求めた。

  • 会社は専門家への相談を勧めたが、BTSは弁護士や代理人を同席させることなく直接会社側と話し合いを行い、契約時も同様だった。

  • 交渉では、金銭的な話題よりも「ファンや顧客に何を提供する必要があるか」という点に焦点が当てられた。

ちなみに、2018年のバンタンは既に「Love Yourself」でビルボードチャート1位を取得し、ワールドツアーを行うなど、トップスターとしての揺るぎない地位を築いています。

弁護士の同席なしについては、韓国では信頼している人との取引は法律顧問を入れず直接行う、という話も論文内にありました。
この一連の流れからは、BTSと会社側がオープンで直接的なコミュニケーションを行い、信頼の上で契約更新を行ったことが窺えます。

また、メンバーが自分たちの価値を認識し、それを契約に反映させることを求めつつも、ファンや顧客へ提供できるものについて重視し、会社と積極的に話し合っていたことが分かります。

BTS (防弾少年団)が、所属事務所Big Hitエンターテインメントと2026年まで契約を更新したことを2018年10月17日に正式発表した。
(中略)
このニュースが発表された直後に世界中のA.R.M.Y.が一斉に反応し、Twitterでハッシュタグ“#7MoreYearsOfBTS”が世界のトレンドに入った。

Billboard「BTS (防弾少年団)、所属事務所Big Hitエンターテインメントと7年間契約延長」より
※話を総合すると、17日にBTSが、18日に事務所が発表している様子

アイドルグループは通常、デビュー当時に標準契約書に基づいて7年間の期間で契約を締結する。その基準通りだと、防弾少年団の最初の契約は2020年5~6月に満了する。今回新しく追加された契約期間が7年であるため、それを加えると防弾少年団は2027年上半期までBig Hitエンターテインメントに所属することになる。

再契約の期間からみて、防弾少年団とBig Hitエンターテインメントの信頼はとても厚いことがわかる。なんと14年間を共にするという公式発表だ。世界的アーティストとして成長している防弾少年団だが、これまで成長させてくれたBig Hitエンターテインメントへの満足度は相当高いようだ。

K-style「BTS(防弾少年団)と新たな7年を…再契約についてBig Hitが異例の公式発表」より

「Big Hitエンターテインメントのサポートを得て、世界中のファンのためにベストを尽くし続ける」とBTSは声明で述べ、また「デビュー前から私たちの将来の姿のビジョン」を示し、「世界と音楽に対する私たちの視点」から支援してくれた指導者でありBig Hitの創設者であるパン・シヒョク氏に敬意を表した。

同社はまた、BTSとそのキャリアに「体系的なサポートと投資を提供する」BTS専任チームを結成すると発表した。「前例のない世界的な成功を収めているアーティストに最高の対応をするのが私たちの哲学です」とBig Hitは述べた。 7年間の契約更新の発表は、Big Hitの従業員と株主全員に送信された電子メールを通じて行われた。

Forbus誌「BTS Extend Contracts With Big Hit Entertainment Until 2026(BTS、ビッグヒット・エンターテインメントとの契約を2026年まで延長)」より
※契約がいつまでかは、記事によって誤差あり

ちなみに、HYBEは2020/10/15に上場していますが、この数週間前にメンバーそれぞれに株を付与しています。
これも、「これまでの成功に対する正当な評価」に対する回答なのかなと思いました。

今回のIPOの数週間前、ビッグヒットはBTSの7人のメンバーに対し、計47万8695株の普通株を付与していた。そのため、同社の看板グループであるBTSは、15日には1億800万ドル(約113億円)相当の株式を手にする結果となった。

RollingStone誌「BTS所属事務所、IPOによりメンバーが株式約113億円を保有し億万長者に」より

2023:二度目の更新

今回も前倒しでの契約更新ですね。2018年より更に企業規模が巨大化し、また上場もしているため株式市場も注目していたので、記事が豊富でした。
もう兵役入隊が始まっているので、2025年の完全体復活を確実にできるか、ソロ活動の延長線上で分裂するのではないか、という点でハラハラ見守っていたARMYも多かった様子。

ナムさんが、契約書をインスタでチラ見せしてくれています。さすが、ファンダムの気持ちを知り尽くしているw
2025には一緒に会えるよって感じでしょうか💜

この契約更新により、2025の完全体復活が確実となりました。
また期間が確保されたことで、例えば「花様年華」アルバムの10周年記念プロジェクトや、大規模ワールドツアー(LY/SYツアーは合計すると1年以上やっていた)も現実的になったと思われます。楽しみですね!

パンPD直接のコメントは、ユ・クイズの動画がありましたので、下をご参照ください。

同社(ダオル投資証券株式会社)は、今回の再契約の契約金規模を、210億ウォン(約21億円)に上ると分析。この金額は、1度目の契約更新の時(2018年)の70億ウォンの3倍にあたる金額である。
(中略)
周知のとおり、2024年からSEVENTEEN(HYBE傘下のPLEDIS所属)の入隊ラッシュが始まるからだ。
HYBEとしては、収益の安定化を図り、投資家たちを安心させるためにも、BTSの早期活動再開は不可欠なのである。

ダンミ「BTS メンバー全員 2024年3月までの入隊が条件? 契約更新の裏に見え隠れしている「ある事情」」より

メンバーたちがパン議長に「お兄さん(パン議長)を信じてもう一度やってみたい」と言ったということだ。

中央日報「HYBEのパン・シヒョク議長「BTS全員再契約、20年マネジメント以来最も幸せ」」より

MC:まず、非常におめでたいことがありましたね。BTSのメンバー全員が再契約しました。
パンPD:BTSほどのアーティストであれば、多くの選択肢があったはずです。それにもかかわらず、彼らが私たちとの再契約を選んでくれたこと自体が、私にとってはマネジメントの責任者として、そして音楽レーベルの責任者として、BTSと共に歩んできた歴史を認めてもらい、私たちがBTSをしっかりとサポートしてきたことを十分に受け入れてもらえたような気がします。それは私にとって本当に嬉しいことでした。
実際、常に幸せなことばかりではありませんし、ほとんどの過程は調整の時間でした。そんな中で、BTSが「ヒョンを信じてもう一度一緒にやってみよう」と言ってくれたことは本当に……
マネジメントにとって、ストレスのない日というのはこういうものなんだと実感しました。

ユ・クイズ「BTS 전원 재계약 하고 방시혁 자기님이 들었던 생각#유퀴즈온더블럭 | YOU QUIZ ON THE BLOCK EP.217 | tvN 231101 방송」より(動画の3:00~4:00くらい)

感想

以前ナムさんが、友達に
「また同じ事務所と契約して、しかもまた長期だなんて、バカじゃないか」
と言われたというような発言をしており、一般的な感覚はそういうものなんだろうかと、興味深く思っていました。

自分は他の例をあまり知らないのですが、同じ事務所とずっと契約してる人がいないわけではないようなので(イ・ヒョンさんもずっとBig Hitに残ってるし)、要するに
「売れてるんだから選び放題だろ? 何を好き好んで縛られるんだ」
っていうことじゃないかと理解しています。

縛られるっていうより、他に合う箱がなさそうじゃないかと思っているのですが、どうなんでしょうね。

もし移籍するなら規模的に海外レーベルかなあと思いますが、バンタンは兵役にも行きましたし、韓国を愛してるので、国は出なさそうな気がしています。
彼らの経済規模は韓国GDPに影響するサイズなので、もしそんな話になったら、韓国政府が絶対に口を出すでしょうしね。

それに、世界的スターを支えるには長年の経験と蓄積を持つスタッフチームが不可欠です。
バンタンの周囲にはバンタン専用ノウハウを持つスタッフが結集していると思われるため、他でこれ以上の待遇を探すとなると、なかなか難しいんじゃないでしょうか。

演出家さんのツアー裏話を読んでも、バンタンはLYツアーくらいからもう「韓国初」「世界初」領域に行ってしまい、韓国では相談相手がいなくなって他国の技術チームに教えを乞うたりと、前例のない世界で国境を越えて協力先を探しています。そういうスタッフと作り上げているのが、チーム「BTS」なんだと思います。

今回のツアーで一番未来を感じる、ナムさんの『Trivia 承: Love』!
AR技術がバリバリ使われた当時世界最先端のステージで、見ていてめっちゃ面白いです。
その分苦労がすごく多かったらしくて、「リハーサルはいつも最後に駆け足」「上手く動かないこともあった」などのリスクをナムさんに背負わせたと、前述した本の中で演出家さんが述懐しています。

「【2019】LY/SYツアー in サンパウロ」より

別の事務所へ行けば、ARMYもARMYじゃなくなりますしね。
個人情報保護法があるからFCデータは移管できませんし、ファンネームの問題だけでなく、このあまりに巨大で口やかましい(えっ)ファンダムと付き合えるのは、長年の蓄積を持ちK-POP耐性を獲得しているHYBEくらいじゃないか……と、私はひそかに思っています。
天下のGoogleドライブをクラッシュさせる物量なのよ? 自重してw

2020 FESTAの際に行われたARMY参加型アンケート(獲得総票数、145,520)。
Googleフォームを利用して回答する形だったらしいんですが、入力が殺到しすぎてGoogleドライブがクラッシュしたようで、Twitter見に行ったらログが貼ってありました。さすがの物量です、アミヨロブンw

「「#2020防弾少年団音楽選挙」結果発表」より

バンタンがソロ活動も同じ事務所でやってる理由には、ARMYはARMYだから、というのがあるんじゃないかって、私は勝手に想像してます。

スタッフさんのこともARMYのことも、自分たちの立ち位置や特殊性についても、一番理解しているのはバンタンだと思います。私達ARMYは彼ら7人の選択を信じて、応援していきましょう!
次の契約がどうなるか、今からドキドキです( *´艸`)

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音色
コーヒー一杯奢ってください( *´艸`)