【BTS】私の知らない世界【ヒップホップとラップ】
ラップと縁のない人生からの急降下
ラップとラッパーのイメージ
私は、多分平均よりは音楽に親しんで生きてきたのですが、基本クラシックがベースだったので、ヒップホップなどのストリート系にはほぼ触れたことがありませんでした。
当然ながら、ラップに関しても「キャップを逆さに被って太い金鎖をつけた人が、韻を踏みながらHEY YO言うやつ」くらいのイメージしかありませんでした。
このような認識の日本人を、よくラッパーが3人もいる韓国人グループに落としたな、と改めて『Permission To Dance』の威力に感心しますね。戦略的には大正解だったんじゃないでしょうか。
というわけで、遅まきながら「ラップあるんや……えっヒップホップアイドル?」と気づいて勉強を開始したのですが、当然ながら驚きの連続でした。
韓国では何故ヒップホップ/ラップが人気なの?
そもそもバンタンの歴史を遡ると、パンPDがヒップホップにハマってたあたりまで行きつくんですよね。
パンPDがオンラインで運営していたヒップホップカフェ(作曲コミュニティみたいなもの?)に、PdoggPDが参加
PdoggPDが投稿した曲がパンPDの目に留まり、Big Hit入社の流れに
PdoggPDが地元の友達(スリーピーさん)からナムさんを紹介される
PdoggPDがパンPDにナムさんを紹介する
ナムさんを中心としたヒップホップチーム(防弾クルー)計画発動
アイドルに方向性を変え、ヒップホップアイドル防弾少年団が爆誕
この流れを見ると、「どうして、韓国音楽界ではヒップホップがそんなにメジャーなの?」という疑問に行きつきますよね。もちろん調べました!
ラップと言っても多種多様で、ラップラインの話を聞いていると、例えばナムさんがテテに「最近流行のフロー(歌い回し)にするとこう」と教え込んでたり、SUGAが新しいスタイル試したがってたりと、研究に余念がない様子が窺えます。
私のラップ知識はバンタンだけで構成されてるので、大変ありがたいです。いつも知らない世界をありがとう!
バンタンで知った、新しい世界
ラップとラッパーについて適当なイメージしか持ってなかった私は、こうして付け焼刃の知識を手に入れ、BTS楽曲で実地研修に入りました。
ラップは歌唱の一種
最初に驚いたのが、「ラップは歌唱だ」ということでした(/ω\)
ナムさんのアルバムビハインドを聞いていると、「ラップもメロディーがあるから、曲のキーが上がりすぎると別物になる」とか「僕がこのパートを低めに終わったから続けるホビが大変だった」みたいな話がちょいちょい出てくるので、楽譜に起こすような形じゃなくても、ラップを作る作業は作詞&作曲なのだと理解しています。
学習が進んだきっかけ
ラップに関する学習が一気に進んだのは、ユンギの映画「D-DAY」が来たのがきっかけでした。
初めてのBTS映画体験だったので、行かない選択肢はありません。
しかし、「韓国語のラッパーの公演映画」に行くという初めて尽くしの体験なので、これは予習しなければならない!と覚悟しました。
ことほどさような第一印象により、あえてSUGAソロ曲履修を後回しにしていたため、この時まとめ聴きする羽目になりまして、溺れ死ぬかと思いました。濃いわ。良い子は用法用量を守って適切に摂取してね!
後から思えば、この予習による詰め込みと通いまくった映画「D-DAY」、そして8月の免停事件が、私の中でSUGAへの距離を変えましたね。明らかに「ユンギ」呼びが増えましたもの。劇薬でしたが結果オーライ。なのか?
私の印象を変えたラップ曲
テンプレみたいな先入観をBTS曲で上書きし、更にそこへ「D-DAY」を添加した私。
ラップラインへの愛も手伝って、「ヒップホップ&ラッパー」に対するイメージはグイグイ修正されていき、ラップを「カッコいい」と感じる価値観を獲得します。
ねいろの レベルが あがった!ジャーン
中でも、自分にとって大きい変化をもたらした曲を、ご紹介しますね。
『First Love』:SUGA
自分の中では、メロディアスで流れるような音の層が重なる管弦楽と、ターンテーブルやドラムベースでビートを刻むイメージが強いヒップホップは、全然共存しないものでした。
でもこの曲は、ピアノメインで伴奏だけ聞いたら映画のBGMみたいだし、管弦楽厚めアレンジもあるしで、固定概念が崩れましたね。ビックリしました!
その視点でよく聞いてみたら、バンタンの曲ってすごく多様でオーケストラが入ってるのもあるんですが、そのどれにもラップが自然に存在してるんですよね。
ラップは「ヒップホップで使う手法」に留まらず、メッセージを伝えるための表現の1つなんだなと知ると同時に、改めて文化としての成熟や広がりを感じました。
『해금 (Haegeum)』:Agust D (SUGA)
他の記事でも書いたんですが、私は民族音楽や伝統楽器が好きなんですよね。なので、この曲は出だしからもうノックアウトでした。好き……!
なるほど、弦楽器やオーケストラがありならこういうのもいけるはずだと、思い切り膝を打ちましたね。言われれば納得だけど、実際聞くまでその発想がありませんでした。生涯一ド素人。
私はバンタン以外の韓国ラップシーンを知らないので、これが新しい試みなのかはわかりませんが、米兵文化として入って来たヒップホップ・ラップが韓国土着の音色と交じり合い、独自の文化として生まれ変わり花開く姿を見たと感じました。
音楽が世界に広がる中で、それぞれの土地のものと融合し、新たなジャンルを確立していくというのは自然な流れですが、これもその一つなのだと思いました。
異文化を違和感なく溶け合わせ、祖国の血を通わせる力量に感服です!
『우산(Umbrella)』:ナムさん&YUIKO
ナムさんが「Duet Song Festival(2016/07/01)」で、日本人ボーカリストのYUIKOさん(当時学生)と、Epik Highの曲をデュエットした時の映像は衝撃でした。
「내 눈엔 너무 컸던 우산(2:21~)」で二人の声が重なるシーンでは、全く同じ歌詞をメロディとラップで歌っており、こういうのもありなんだ!と心から驚きました。
ボーカルがダブリングからハモリへと移り変わる様子は、樹にまとわりついてすり抜けていく風のようでもあり、2人の間で歌の主軸が自由に入れ替わる様が非常に印象的です。
どこか懐かしさのあるYUIKOさんの歌声が、切ない思いを叩きつけるナムさんの言葉を包み込むようで、二人の若さがこの曲を輝かせていました。美しかった!
まるで短いドラマを見るようで、何度も聴き返しました。
ちなみに、YUIKOさん採用~空港お出迎えの様子はこちら。
この後コメントタイムに、YUIKOさんが言い間違えて「ポッポ(ちゅー)してくださってありがとうございました」と言ってしまい、えっ?と戸惑うナムさん。
MCに「ポッポモンスターさん」といじられており、かわいいですw
Epik high の原曲はこちら。
YUIKOさんは今もボーカリストとして活動されているようで、YouTubeでも彼女の歌を聴けます。BTS曲もカバーされてます!
私の好きな『Wild Flower』貼っておきますね(´- `*)
以上!
エポックメイキングな曲は他にもありますが(そもそも出発地点で知識不足なもので……)、今回は特に思い入れ深い3曲をご紹介しました。
これらの曲は、知らぬ間に自分の中に居座っていた「イメージ」を壊してくれました。
もたらされた驚きが、音楽はもっと自由で血の通った美しさを持つものだということを思い出させてくれ、新鮮な感動を覚えました。
そういう意味で、何度も聴き返したくなる思い出の曲です。
聴いて驚いた曲はラップやヒップホップに限らずたくさんあるものの、これらが特に忘れがたいのは、自分の中のイメージや聴いた時期も影響しています。
例えば「ラップはDisりを含む」という知識が薄かったので、ホビの『MAMA』は「Disらないポジラップ!?」より「ゴスペルか!」が勝ちましたし、ナムさんのソロアルバム「RPWP」が出る頃にはヒップホップとか関係なく「バンタンの曲」というジャンルとして受け入れるようになっていたため、「ナムさんがやると罵りさえアートだなあ」という感想に落ち着いていました。
もし最初に行った映画が「D-DAY」じゃなく「RPWP」で、いきなり『DOMODACHI』をかまされたら、ビックリしてたと思いますねw
こちらの受容範囲が広がったとはいえ、まだまだ膨大にあるバンタン曲。しかもソロを経てジャンルは拡大の一途。
すべてを聞き、理解したとはとても言えませんので、改めて聴き返したり、新しい動画に出会ったりするうちに、また驚きが生まれるでしょう。
その時どんな世界が見えるのか、とても楽しみです💜