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【BTS】ファンダムが共有する物語と偶像


人は『偶像』のどこに夢を見るのか

アイドルは「偶像」なので、私たちは彼らに色んな夢を見ます。
ある意味、彼らは私たちにとっての鏡。キラキラしたものを見る人もいるし、そうでない人もいて、見つめる視線の数だけ像が結ばれます。

その中から、多くの人の共感を呼び、ファンダム内で共有される物語が生まれることもありますね。
二次元における大手設定(準公式設定扱いになるくらい皆が理解しているお約束)みたいなものだと思ってます。

これには様々なものが含まれており、「ジミンちゃんを1人にしないため、1995年が終わる前にテテが急いで生まれてきた」伝説みたいなファンタジックかわいいものから「事務所に迫害される可哀そうな推し」妄想まで、幅広く取りそろえられています。あ、ちょっと危険なとこ踏みましたか(/ω\)

ちなみにこの記事の内容を平たく言うと、「妄想を呼ぶポイントはどこか」であり、妄想を批判する内容ではありませんので、悪しからず。
妄想に関する私の意見については、以下の記事をお読みください。

全部終わってからが始まりだった

私はメンバーが全員兵役に行ってから本格的に沼落ちしました。
バンタンの歴史の中でも例を見ないくらい、色んなことが「一区切り」ついたタイミングだったんじゃないかと思います。

メインがいない状態でしたので、一気にコンテンツを見ました。
全てが「過去」になった時期に予備知識なしであれこれ見まくったものだから、当然時系列は混ざりまくり、後からドキュメンタリーなどを追って一生懸命整理しました(/ω\)

「お約束」が伝わらない問題

最初はまとめ動画を見まくってただけだったんですが、そのうちSNSを始めてファンダム内に流れる情報の奔流に触れだすと、時々違和感を覚えるようになります。
古参にとっての「お約束=物語」を理解していないから、主に情緒面で流れについていけないことがあるんですね。

私にとって、グクやジミンちゃんは最初からタトゥーが入ってる大人です。テテは気づいたら86キロでしたし、SUGAは「シュチタ」で全力の砂糖対応してました。
そういう彼らと先に出会ってしまったので、過去ARMYが残してくれた「キャラ解説」を見たり、会話内で共有されている背景を推察したりしながら、「そう……なのかな?」などと首をひねることがありました。

BTSの不思議枠といえば、「四次元」「五歳児」と言われるテテ。
これはもう鉄板の共通認識なのですが、まだそこまで多くの発言を見ていない段階の自分にとっては、グクの自由さが一番衝撃的でした。

「BTS入門編:新規、バンタンに驚かされる」より

今回色々読んでみて、後発新規の私は、長年成長を見守って来たARMYとは違う視点で見ているんじゃないかと思いました。
最初からグクやジミンちゃんにはタトゥーが入ってましたし、SUGAはお砂糖モードだったし、出発点が違うんですよね。

だから、かわいいグクが世界に出た途端バッチイのがついた!っていうショックを共有していない、ということを先にお断りしておきます。こればかりはしゃーないのです( ;∀;)

「グクのソロ曲『3D』の話【歌詞と不適切表現】」より

テテについても「守りたい」と感じているARMYが多いようなのですが、私は「僕は皆が思ってるより強いよ」と言って事務所やグクと一緒に悪質YouTuberを訴えた、戦う力を持っているテテを沼入り初期に見ているので、彼を庇護対象と感じたことがありません。

そもそもアーティストに対して「守ってあげたい」というスタンスになったことがないので、そこはKPOP沼の特殊性への理解も足りてない可能性はありますが。

そういう言葉で残りにくい感情の部分は、一回逃すと後からの共有がとても難しいです。推しはリアルタイムで推せ、と今沼入りをためらっている方には強くお勧めしておきます!

防弾少年団の物語

こういった「物語の共有できなさ」は、マンネライン関係でよく感じます。私の守備範囲もあるかもしれませんが、ヒョンライン界隈ではあまり感じません。
何故だろうと思っていたんですが、ドキュメンタリー映画を観たり本を読んだりしているうちに、一番大きいのは発言量の違いだなと思いました。

ヒョンラインが語る物語

ラップラインってめちゃめちゃ語るんですよね。
ヒップホップ出身でラップにメッセージを乗せるし、初期からパンPDが
「自分たちの話をすべき」っていう方針だったので、語り慣れている。
ナムシュガもかなりのものですが、普段聞き役に回るホビも語り出したらすごくて、内側でめっちゃ整理されてる感があります。

ラップラインはダントツ

そして意外とジン君も語っている。ドキュメンタリーなどを観ていると、初期の防弾少年団の物語を語るのはヒョンラインなんですよね。物心ついてたし、主体的に対応してたから記憶が明確なのだと思います。
マンネラインが未成年の頃は、メンバー内でも今より保護者/被保護者的な部分がはっきりしてたんだろうなと想像しています。

飲み込むのが追い付かない情報量で「自分達の物語」を語るラップライン。最年長だけあってわりと大人の立ち位置から話をまとめ、ARMYへの愛に着地させていくジン君。

それに対し、マンネラインは後から追いかけるように語り始めています。
年齢や精神的な成熟、ソロ曲との向かい合い、成長による役割の変化などが、影響しているのかなと思っています。

マンネラインが語る物語

マンネラインの発言は、わりと解釈の余地が多いです。
ヒョンラインの語る物語が解説ブログなら、マンネラインのは風景写真のようだと感じることがあります。ストーリーとシーンの差がある。
(これは比較した上での印象なので、もちろんそういう部分ばかりではない、ということはお断りしておきます)

この「解釈の余地」が夢、もしくは妄想を生むんだろうな、と私は思っています。
観る人の心境によって、同じ夕日がまったく違う印象を与えるように、風景写真のような彼らの言葉は聞く者の想像で補完しうる余白が大きく、想像を搔き立てます。

ヒョンラインの言葉がそうじゃないというわけではないんですが、彼らの場合は相対的に書き込める余白が少ないです。
物語をトッピングしようとすると、まず本人発信の言葉を消化する必要があるんですよね。妄想したいところ、もう大体先回りして語られてるから。
「俺の屍を越えて行け!」って曲と歌詞とミクテとライブ配信詰まれてる状態。通れないんで、ちょっと端っこ空けてもらっていいですか?

マンネラインの場合はそこまで道が渋滞してないので、ARMYが色々想像して埋める隙間がある感じがします。それが「解釈の余地」。

妄想生産地TOPは誰か

マンネラインの中でも、深い沼を感じるのがクオズです。すごい濃い醸造している一角を感じます。

二人とも「自分の物語」を見せる最大の武器がパフォーマンスであること、すべてを語るタイプではなく相手に委ねる幅が大きいため、ビジュアルや歌声などの魅力と相まって妄想が大変捗ること、が大きいのではないかと思います。
バンタンの中でもっとも「偶像」適性の高い2人が同期って、奇跡ですね!

ただジミンちゃんは「FACE」で自分の物語を紡ぐことを覚えたような気もしますので、今後の展開がとても楽しみです( *´艸`)

グクには、そこまでの濃密な沼っぽさを感じません。
彼は基本言葉を駆使するより行動で出してくるタイプなので、その結果タトゥーや口ピアスや『3D』などのあれこれで、意図せずファンをふるいにかけちゃう形になり、いわゆる大手妄想が継続形成されにくいんじゃないかと思っています。

いや、グクにはバンタン界隈最大級と言える「黄金マンネはワシが育てた」物語があるんですけどね……!

以上!

アイドル(偶像)は、ファンにとっては、様々な夢や妄想を投影する美しい鏡でもあります。私はそんな夢を見せてくれるバンタンのことが大好きですし、色んな絵を描き出すARMYの多彩さにも興味を惹かれます。
個性的な7人がバンタンを作り、ARMYが彼らを通して様々なものを映し出しながら巨大ファンダムを築き上げている姿は、本当に興味深いですね。

広いバンタン海を埋め尽くしている「物語」たち。
それらを時に共有し、共有できなくても手のひらに乗せて子細に眺め、自分も誰かと共有できたらいいなと思いながら夢を吐き出す。

そんな推し活を今日も楽しんでおります。……って、要するに生来のウォッチャー気質がファン心理とミックスされて、好奇心が暴走してるだけなんですけどね。推すだけでは満足できない、業の深さよ。

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音色
コーヒー一杯奢ってください( *´艸`)