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【HYBE/T&D】新人育成チームとジミンちゃんの守護天使【K-POP】
【追記:2025/2/13】BIGHITオーディションの再生リストから、「【BTS】BIGHITを選んだ理由と練習生時代【TXT】」を追加
BIGHITの新代表は、T&D統括
ナムさん曰く「ジミンちゃんの守護天使」
この度、BTSが所属しているBIGHIT(HYBEの子レーベル)の代表が変更になりました。
新任者は、前にナムさん(RM)が「ジミンちゃんの守護天使」と呼んでいた、新人育成チーム(現名称:T&D)統括ことシン・ソンジョンさん……これは気になりますね!
早速、ソンジョンさんの出演されている動画がないか探したら、HYBEチャンネルにありました。灯台下暗しとはこのことよ。
しかも「HYBE T&D(旧名:新人開発チーム) Stories」特集シリーズで5話もあります。これは、前から知りたいと思ってた「T&D」について知るチャンス!
というわけで、今回はその話です。めっちゃいい動画なので、下の再生リストから元動画も是非ご覧ください!
BTSの話だけでいいです、という方は目次からジャンプしてくださいね。
動画「HYBE T&D Stories」全5話
Part01:デビューしたら別れる間柄
Part02:練習生は初めてなので
Part03:優秀な練習生はいるのでしょうか?
Part04:We believe in music
Part05:私たちはT&Dです
【動画に登場しているHYBE系列アーティスト】
BTS RM
TOMORROW X TOGETHER スビン / テヒョン(カンテ)
LE SSERAFIM ウンチェ
ENHYPEN ジョンウォン / ソヌ
&TEAM タキ
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尺の長さは不定(一言の場合もあるし、ロングインタビューもある)。
その他、思い出に残る優秀な練習生として名前が挙がったのが、BTSのジミンちゃんと以下のメンバー。
「生まれ持った才能といえば、(TXTの)ヨンジュンさん」
「うわ~と感嘆した練習生は、ENHYPENのニキさん」
「LE SSERAFIMのユンジンさん」
「粘り強い練習生というと、ENHYPENのソンフンさん」
ハーバードBSの論文にも記述があった
練習生システムや、育成過程を作り上げるまでの話が詳しく書かれていました。こっちは直接転載できないので、要約して書いておきますね。
T&D(旧名:新人開発チーム)とは
T&Dは、TRAINING & DEVELOPMENT(人材育成)の略で、デビュー前の練習生達を導く役割です。
動画で発言していた育成者たち
実際はもっと多いと思われますが、動画で発言していたソンジョンさん以外のT&D担当者は8名で、全員女性。
カウンセラー、教師、音楽家など、様々なキャリアの人がいました。
他にも、ダンストレーナー&ボーカルトレーナーさんが登場していました。
T&Dが関わるプロセス
T&Dは練習生の選出と教育を担当します。
この場合の「選出」は、練習生期間中の評価でふるいにかけ、誰を残すか決定する過程も含まれていると思われます。
【応募からデビューまで】
・Big Hit Entertainment時代で、年間2万件の応募→約30人が残る
・研修は週6日で(通学中の子は学校の後で受ける)、必要があれば宿舎も提供される
・3か月目の節目を乗り越えると、最低1年更なる指導が続き、デビュー前に平均3年の訓練を受ける
・6~7人のメンバーの場合、40~60人程度が席を争うことになる
・デビュー準備ができたグループは共に住み、互いの評価をしてリーダーや方向性を決める
この過程で、アイドル候補生からプロデュース系へ転身している人もいるようで、教育内容の幅広さが新しい可能性を生んでいることが窺えます。
練習生期間は平均3年。その間T&Dは難しい年頃の、しかも厳しい競争にさらされる練習生達に寄り添い、家族や親や教師のように見守り続けます。
彼らが関わるのはデビューまで。その後はプロジェクトチームやマネージャーチームに引き継ぐため、練習生とは別れることになります。
ナムさんの発言:
「正直言って練習生は愛していません(笑) デビューして初めて知るんです。デビューして、初めて気付くんです」
「だから苦い薬だったんです。苦い薬。僕はそれがすべて必要なものだと思います」
BIGHITによる練習生教育の内容
練習生は提供された教育プログラムから自ら練習スケジュールを立て、足りない能力については見直して、計画を修正することができます。
これはどのような音楽をやり、どのようなアーティストになりたいかは、本人が計画を立てるべきだという考えに基づいているようです。
アイドルとしての教育
練習生ごとにオーダーメイドのカリキュラムを作成。ボーカル、ダンス、作詞・作曲など個人の長所を伸ばし、短所を補完。
多様な音楽経験をさせ、ジャンルごとの講義などで音楽理解度を高める。楽曲作成やダンスバトルでステージ経験を積むイベントも。
社会構成員としての教育と心理ケア
基本的な人文科学の教養、性の認識、文化的多様性などを含む教育。
自己価値に対する認識と習慣のコーチングを含め、「自ら判断し、実践する力」を育成し、社会構成員としての成熟を目標とする。
心理検診を年1回義務化するなど、心理状態のケアにも注力。
ナムさん
「会社のスタッフが10人しかいなかった頃なのに、当時メンタルケアもしてくれて、パーソナルトレーニングも受けさせてくれて……そういうものから削りに削って最後に残ったのが、今のシステムなのでしょうね。あの時僕たちが一緒に成長していったように、会社も一緒にぶつかり合いながら、一緒に成長していったんです」
また、練習生の自主性に任せるだけでなく、トレーニングを与える側も悩み、各人に合わせてより良い方向を模索していることが、以下の発言からも窺えます。
ソンジョンさん
「BTSは、ヒップホップをしながらもファンの心を動かすことのできるチームを作ろう、というのが目標でした。ダンスの才能があるメンバーの場合、先輩歌手のステージに上がる経験を提供し、ラップが上手な子たちには、有名なラッパーの先生たちと一緒に音楽を作りながら学べる時間を提供しました。デビューが目前に迫ると、ステージ上でプロになれるように最終点検をし、写真撮影やパフォーマンス、そしてインタビューなど、デビュー後にお見せする姿に関する準備をします」
ダンストレーナー
「表面的には自分に対して冷静で冷たいと感じるかもしれませんが、裏ではトレーナーの方たちといつも一人一人について、この子はどうだった、この子はどう進むべきだ、この子は何が得意でこの子は何が不得意だからこれをこうすべきだ……こんなふうに、一つ一つ悩んでいるんです」
BIGHITの教育課程はどう作られたか
K-POP業界には、元々「会社による先行投資(発掘・教育・デビュー)」という流れがありましたが、BIGHITは教育期間に通常より長いコスト(時間と資金)をかけているようです。
これまで読んだ記事・論文の内容を統合すると、この教育方針は2011年頃に始まり、BTSの教育~成功過程からの学びを得て完成されていったように思われます。
【2011年に行われたワークショップ】
・バンタンデビュー前の2011年、Big Hit Entertainmentは収益が落ち込み、苦境にいた
・この時期に、数カ月かけて市場調査や業界分析を行い、改善点について話し合う3日間の「ワークショップ」を行った
・得た知見は同社のアーティストラインナップ、商業的アプローチ、コンテンツの形成方法などに影響を与え、企業文化の土台となった
・アーティストが搾取される環境を変え、ファンに還元する
→実践例:当時の業界には珍しい、アーティストに対しての敬称の使用
ハーバードBSの論文「Big Hit Entertainment and Blockbuster Band BTS: K-Pop Goes Global」から、かいつまんで要約
会社がBTSから得た学び
こういった土壌から生まれたのが、BTS。
GLAM以前のアーティストは、SOURCE MUSICとの共同輩出ですので、実質的には、Big Hit Entertainmentが一から育てた初めてのグループということになります。
T&Dとしても、BTSから得た学びは大きかったようで、動画の中でソンジョンさんが何度か言及しています。
前提:あまり音楽を聴かないメンバーに、ナムさんがプレイリストを作り、実際に音楽を入れたデータをあげたりしていた。
ソンジョンさん「それによってどんなメリットが生まれるのかを目にしましたから。後になって自分のためになったことを知るんだと、TOMORROW X TOGETHERを見ていて分かりましたし、それでその時RMさんがやってくれたことがシステム化されたらいいな、(音楽を)たくさん聴く経験をするきっかけになったらいいなと」
前提:アーティストになる上で、音楽であれ何であれ、軸になるものがなければならない。それが仕事をする上での「自律と責任」を育てる――という話題の中での発言。
ソンジョンさん
「この仕事をする時、それがどれだけ逆風が吹く中で強く自分を支えてくれるかを、RMさんを見て知ったような気がします。それで今思ったのが、その話を私がたくさんしているんだと思います。悩んでいる子たちに、この仕事を通じて何をしたいかを見つけなければならない、またはそれがどこから始まったのか(を知るべきだと)」
これらの発言からは、練習生期間もT&Dが手を離した後も、会社としてBTSを見守り、フィードバックを蓄積してTXTを育てることで、アイドルとしてのスキルだけでなく音楽家としての、そして全人的な側面を強化すべきだと信じるようになっていった過程が窺えます。
BTSはデビュー後、上昇の機運に恵まれるまで非常に叩かれた時期がありましたが、その経験は会社にも逆風に晒されるアーティストをどう支えるか、という視点を与えたのだなと思いました。
ナムさん
「K-POPアーティストは、誰よりも能動性と主体性を強調する人達ですよね。ステージで、僕は自由だと。それが自律と責任なんです」
ソンジョンさん
「以前のトレーニングシステムには多くの限界があったので、新たな答えを探るために努力しました。そうして見つけたHYBEだけの答えは、自律と責任、そして会社との健全な信頼関係でした」
2011年の苦境で得た知見がBTSを育てるベースを作り、BTSの育成から学んだことがTXTで更に洗練されて、HYBEによる練習生システムが出来上がった、と見てよいのではないでしょうか。
ちなみに、今では多くのレーベル・アーティストを抱えるHYBEですが、その前身となったBig Hit EntertainmentからデビューしているアイドルはBTSとTXTだけと少なく、育成は慎重に行われたことがわかります。
(GLAMの早期解散による資金難も影響したと思います)
2013/06/13:BTSデビュー
2019/03/04:TOMORROW X TOGETHERデビュー
K-POP業界では「デビューしたグループが人気のピークに達したら次へリソースを振り分ける」流れが普通で、この空白期間の長さは異例だったようです。BTSにはまだ可能性があると信じてシフト期間をずらした(BTSに賭けた)、とパンPDが論文内で語っていました。
T&Dと純正HYBE世代
練習生の平均期間は3年程度と聞きます。
現状活躍しているHYBE系列アイドルの場合は、吸収された各レーベルの個性が残っている状態だと思いますが、HYBEのオーディション番組から出たILLIT、KATSEYEくらいからは純正HYBE世代に入ったと思われます。T&Dの成果が問われるのは、これからですね!
HYBEはT&Dシステムを韓国のみならず米国や日本などの市場に移植することで、K-POPのグローバル化に拍車をかけています。HYBE T&Dは日本を活動拠点とするグローバルグループ&TEAMの育成に続き、最近では世界最大の音楽市場である米国でグローバルガールグループ「KATSEYE(キャッツアイ)」のデビューを支援しています。
グローバル化の進行が速いので、T&Dのノウハウ確立→各拠点への普及は喫緊の課題でしょうね。
特に欧米へK-POPのやり方を持って行って定着させられるかどうかは、勝負どころだと思います。考え方が全く違いますからね……。
BTSとT&D
ジミンちゃんとT&D
今ではBTSの中でボーカル・ダンサーとしてなくてはならない存在であるジミンちゃんですが、BTSメンバーの中では最も練習生期間が短く、防弾少年団のメンバーに入るかどうかも、最後まで決まらなかったようです。
ここで大きな影響を与え、運命を変えたのが、T&Dチームでした。
ナムさん
「この方(ソンジョンさん)があの当時JIMINさんを守った、2人の守護神のうちの1人なんです。ある意味JIMINさんを守ったことがBTSを守ったことだと言えますが、とにかくあの判断が正しかったですよね。JIMINさんがいなかったら大変なことになったでしょう」
パンPD
「ジミンさんは特殊です。確かに才能もあるし、魅力的なキャラクターだけど、まだまだだと思ったので、選ばないつもりでした。でも彼のようなキャラクターが絶対にいるべきだと、周りに説得されたんです。
常に自分が正しいとは思いませんし、ここまで言うのには理由があるはずだと思い、受け入れました。あの時我を通していたらと思うと、ゾッとしますよ」
ジミンちゃんが毎日2時間半しか寝ずに練習していた話は有名ですが、その様子を育成チームも心配していたようです。
聞けば当然のことなのですが、「そうか、周りに見守ってる大人がいたんだな」とホッとしてしまいました。いや、無茶は無茶なんですが( ;∀;)
VOCAL TRAINER
「一生懸命練習する練習生たちがとても多いのですが、私はBTSのJIMINさんがダントツだと思います。JIMINさんは、自分自身を非常に厳しく扱うので、T&Dは、彼のことを非常に気にかけていました」
ユ・クイズのインタビューでも、T&Dチームが毎回評価のフィードバックを行い、早朝練習にも付き合っていた様子が語られています。
毎月のように「今回は本当に危険だったよ」と言われていました。何かが足りないということを伝えたかったのだと思います。
新人開発チームのヌナには、とても助けていただきました。夜明けに練習する時も残ってくださって……。
ソンジョンさん
「JIMINさんは外部で舞踊を学んできたメンバーなので、ダンスをする時しなやかに踊る習慣が既に身についていました。それは、大衆歌手として力強いダンスをするには直さなければならない部分だったのですが、実際にそのミッションを課された次の月の評価で、ものすごく良くなったというフィードバックを受けました。私もとても驚きましたし、どれだけたくさん練習したのだろうか、すごいと思いました」
こうした経緯があっての、T&Dチームからの推薦だったのかと思うと、改めてジミンちゃんが努力の積み重ねにより勝ち得た信頼を、尊く思います。
彼を導き、傍で見守り、必要な時に強く進言してくれたT&Dスタッフには、感謝しかありません……!
ナムさんの言葉
動画の中で、ナムさんが語っている内容からは、スタッフと音楽、そして練習生を含む仲間達への深い愛情が感じられます。
「感謝と愛と尊敬」は、それをベースに自分が育ち、支えられ、厳しい時代を乗り越えて来られたと感じるからこそ、自然に出る言葉なのではないでしょうか。
「アーティストの成長曲線を木に例えるとしたら、古い木は根がとても広く深く張っていますよね。でもその根っこがどこから来たのかと考えてみると、僕は結局は、自分の周りにいるスタッフたちに対する感謝と愛と尊敬からだと思うんです」
「僕は本当に重要なことは――とても才能があってかっこいい子たち、きれいで上手な子たちがとても多くて、僕もいつも感嘆しながら見ていますが――良いアーティストになるには、僕は結局はまず良い大人にならなければならないと思います」
ナムさんが中心になり、ボーカルラインメンバー(ジン君・ジミンちゃん・テテ・グク)に音楽を教えたという話は有名ですが、その裏にあった思いも語られていました。
おかげでボーカルラインは全員ヒップホップの薫陶を受け、ラップ大好きになりました。尊い( ;∀;)
「音楽に対する愛情と理解度がなければ、結局はこの仕事を長く続けられないし、苦しくなるはずなんです。だから苦しんでほしくない、と思いました。僕はバラードが好きなのに、どうして『No More Dream』みたいな曲をやっているんだろう、と思わないでほしいと願いました」
最初はパンPDが、練習生に色んなアーティストの音楽を聴かせ、練習させていたようですが、そのうちナムさんを中心とするラップラインが、ボーカルラインのため年中無休のラップ教室を開くようになります。
デビューは決まったが何をすればいいのかわからない状況で、ひたすら自分の知識を伝え、時には夜を徹して話し合いを続ける日々。
以上!
動画に出演したT&Aメンバーの方の言葉からは、練習生に対する深い愛情が感じられ、オンマ属性ARMYの私としては胸に迫るものがありました。
Part01
「こうして君たちの後ろから無限に応援している人がいるから、怖がらないで。1人は必ずいるから、頑張って」
Part03
「担当している練習生が前に出て歌ってダンスを踊ると、私たちも手に汗を握ります。何故かと言うと、この子が1か月間、どんなふうに練習したか知っているからです」
「この子たちが大きく成長して、私がガイドして一緒にやってきたことができた時、その時が一番嬉しくて、胸がいっぱいになります」
Part05
「努力してきたことが、愛になって返ってくることを願います」
ソンジュンさんの言葉からも、担当した練習生への愛情を感じます。
BTSを巣立たせた時の回想には、切なくさせられました。こんなん、泣いてしまうわ……。
「ジャケットの撮影現場にもMVの撮影現場にも行ったのですが、その時から少しずつ感じたんです。本当に別れの時が来たんだと。この、人と人の繋がりによる感情をどう整理すればいいのか……断ち切ることができないと思いました」
会社に所属するアイドル・アーティストは職業人であり、K-POPは産業です。いったんデビューすれば闘いの日々が待っています。
それを知り尽くした人々が心を傾け、戦場に出る前の子達を全力で育てるのが練習生期間です。T&Dと過ごした日々は、振り返った時きっと心を支えるよすがになってくれるだろうと感じました。
バンタンのファンとしては、こういうふうに心を寄せてくれた人が、会社を支える立場に来てくれたことを、とても嬉しく思います。
HYBEアイドルとT&D、そしてソンジョン代表による新BIGHITの今後が楽しみです!
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画像に映っている文章は、 #BTS の自伝本とも言える「Beyond The Story」のP207~(カン・ミョンソク著)。
— 音色 (@thracia776_bts) December 15, 2024
歌詞のミソジニー批判を受けた件について、ナムさんが発言者の立場への理解と受けた影響を語っている。
この件を受け、HYBEは練習生にジェンダーに配慮した行動を取るよう教育しているとある。 https://t.co/SkhIB4eiwr
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