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【第4話】『BTS Monuments: Beyond The Star』


ある日世界が止まった

ここまでは1話につき2年ずつくらい進んでて、やや駆け足気味だったんですが、今回はペースダウンし、2020年にフォーカスしています。

新型コロナが蔓延し、公演どころか移動や集合すらままならなくなった日々。全く変わってしまった世界を前に、目的を見失うメンバーたち。
2024年を生きる私たちにとっては、もう日常になりつつあるコロナですが、映像の中で大きすぎる変化を前に何とか進もうとするバンタンの姿を見ると、当時の混乱が思い出されます。

2023年、デビュー10周年を迎えた21世紀のポップ・アイコンであるBTSが、これまでの軌跡を振り返る。
前人未踏の地に至るまでに経験した、数えきれぬほどの苦悩と挑戦。 そして、初めて明かされる7人の日常と本音。
生きることの意味、人生の目標を見つけるべく走り続ける7人の物語。BTSの10年。そして、その先のストーリー。

「Disney+」の番組説明より

感想:第4話「離ればなれ」(2020~2021)

前例のないパンデミック危機で、ライブができない状況に陥る。彼らはアーティスト人生の危機をどう乗り越えるのか。

「Disney+」の番組説明より

メガネの大人ナムさんが、「『No more Dream』の時は、悪目立ちした」と、いきなり赤裸々に自分たちを振り返るシーンからスタート。

僕たちはよく頑張ったと思う。それに尽きます。今までの選択は、すべてが最善ではなかったかもしれない。でもその時々ベストを尽くしました。

ナムさんの言葉

『ON (Kinetic Manifesto Film)』の撮影現場でのビハインドを中心に組み立てられたインタビュー。
歌詞の「Bring the pain(痛みを持ってこい)」が印象的です。痛みを糧にして成長してきたバンタンの、不屈の決意が表れている一言だと思います。

「MAP OF THE SOUL : 7」タイトル曲『ON』をリリースし、ワクワクしながら待っていた、4月のお披露目公演。
本来は、そこからワールドツアーを行う予定でした。大掛かりなゲリライベントや舞台装置も計画し、盛大なツアーを計画していたそう。

しかし、ここで新型コロナが流行します。
当時韓国では2020/1/20に最初の感染者が確認された後、社会を上げて国家レベルの対策を強化したそうです。高い動員力を誇るBTSのライブ開催は、当然ながら中止。再開の目途が立たない状況に陥りました。

楽屋で「4月の公演はキャンセル」と聞かされ、皆が失望の声を上げる中、すぐ「チケット購入者は?」と訊いたのはSUGA。ナムさんは薄々予感していたような反応。

「4月の公演はキャンセル。これは不可抗力です」

今後のスケジュールが、全て不透明になってしまったバンタン。
ジミンちゃんが公演できる可能性はないのか確認しますが、それはないとはっきり告げられます。「ファンは活動もライブも見られないのか」とやり切れない様子のホビ。
グクが「何を楽しみに生きればいい? ライブが全てなのに」と眉間のあたりをこすっています。

JK「一番大好きなものを失った気がしました。悔しくないと言ったらウソになります。ステージが僕たちの原動力だから」
JM「心にぽっかりと穴が開いたようでした。この状況になった時はまだあまり実感がなくて、すぐ元の生活に戻れると思ってました」

喪失感の大きさを語る二人

自宅で自主隔離生活中のジミンちゃん。広くておしゃれだけど何も物がないのが印象的な部屋に、一人でいる姿が映っています。孤独が際立ち、何とも言えず切ない気分にさせられます。

ベッドで寝なさい(´・ω・`)

掃除機をかけた後、ホビから送られたメッセージを見せてくれます。

JH「일어나자 쨔마나 치우는건 바로바로 해야지(起きよう チャマナ、片付けはすぐやる)」
JM「네...갑니다요(はい···行きます)」

「チャマナ」はホビがよく口にするジミンちゃんの愛称。内容がオンマwww

ソファや椅子を無視して床に座り、ナムさんからの電話に退屈を訴えているジミンちゃん。
ナムさんが「僕もすぐそうなる」と言っているので、自主隔離に入る時期には少しズレがあったのかなと思いました。

ほんとにやることないみたいで、手持無沙汰感が半端ないですね。
同じ場所でスマホやTVを見て、食事をして、仮眠をして……。仕事と仲間が大好きなジミンちゃんにとっては、この降って湧いた空白が「喪失」でしかなかったことが伝わってきます。

ホビとグクは、かわいいティースタンドを前にシャンパンを飲んでおり、どうせ明日の予定はない、という刹那的な楽しさが感じられます。笑顔の裏に、コンサートに向けて念入りに準備してきたものが全て白紙になった、ダンス長の口惜しさがにじんでいるようです。
両手でグラスを持ってコクコク飲んでるグクのバブさがすごすぎて、鬼リピしました。いやこれはするわ。

ジン君は、ご飯以外ゲーム三昧の様子。釣りにも行ったようです。
寝起きのような顔でぼーっとスポーツ中継を眺めているSUGA。息苦しい閉塞感の中、変化を期待して日々を過ごすテテ。

アーティストとして全盛期を迎えているときに、活動が中断された。ライブは彼らの命だから、大きな無力感を味わったわけです。そこから困難を克服する術を学び、メンバーたちは人間的にも成長したと思います。

パンPDの言葉

普段わりと「現実を受け入れて進もう」と周りを説得する役のリーダー・ナムさん。このドキュメンタリー内でも前向きな発言が多いのですが、一か所だけ珍しく弱音を吐く姿を見せています。
それが、夜のキャンプ場でホビと交わした会話のシーン。ここ、クサズの同期らしさが表れていて、とても好き。

コロナ禍という抗えないものを前に色んなものが中断し、また放棄や変化を避けられなかった時期。やるせなさを口にするナムさんに、ホビが現実的な答えを返す姿が印象的です。

RM「今日が5/26だから、もうすぐ6月だ」
JH「今頃はツアーを回ってたはず」
RM「練習で踊ってみたけど、どこか気が抜けてる」
JH「緊張感が違う」
RM「全然違うね。このままでいいのかなと考えてしまう」
JH「状態を維持できないのは自然なことだよ。時間の流れと共に、体も変化するから。変わらないのは難しい」
(中略)
JH「世界中がストップしてる」
RM「いつになったらライブができるかな」
JH「年内は無理だろう。こんな状況は想像もしなかった」

「BTS In The Soop Season1」の撮影中(2020/5/26)

前に別の記事で書いたんですが、私はナムさんを「考えるのを止められない人」だと思っています。
ジミンちゃんは、彼と考えの方向が似ているけど違う目を持っているので、時々ナムさんの枝分かれしすぎた道を刈り取ってくれる印象があって、とても好き。

考えるのを止められないナムさんの前には、たくさんの道が伸びています。選択肢(可能性)の数だけ道があり、それが彼を悩ませます。
でもジミンちゃんは時々、「ヒョン、その道いらないですよ」と言ってくれます。

「【RPWP/MMM】BTSリーダー・RMのストレスと消しゴム【ミニモニ】」より

ホビも別の方向から、同じことをしてくれているように見えます。
彼の場合、自分もパフォーマーとして踊り全身に神経を行きわたらせながら、同時に仲間の動きや観客からの視点を意識できる俯瞰性の高さが特徴的なのですが、ダンス以外の場でも同じ物の見方をしているような印象です。

ナムさんほどたくさんの道は見えないけれど、ホビには悩みや混乱を一旦地上に置いて、高みから客観的に行くべき道を探し出す力があるように思います。そして一度選んだ道を固く踏みしめ、着実に渡っていく感じ。
ホビは以前「夢を叶えるには?」という質問に「まず自分の適性を知ること」と返しており、非常に現実的でいい考え方だなと思いました。

ホビの地に足の着いた現実性は、灯台や北極星のように揺るがない光となって、ナムさんに一筋の道を見せてくれるように見えます。同じ方向へ行くかどうかはわからないけれど、でもそれがあることで霧が少し晴れ、新しい進路が見える。
そんなふうに整理を手伝ってくれるホビを、ナムさんも頼りにしているように感じられます。私はそういうクサズの距離感や関係性がすごく好き。妄想入ってすみません!

映像内では語られてませんが、コロナ禍はバンタンのリリース・兵役スケジュールにも影響を与えたと見られます。

インタビュー発言を見る限りでは、BTS側は2020年の『ON』発表後のツアーを区切りとして、順次兵役に入る予定だったようですね。
HYBEの株式上場も2020年なので、会社を含め皆が軍白期を受け止める覚悟をしていた時期なのだと思われます。

「【MUSE/MMM】BTSが歌わない感情【ミニモニ】」より

いつ再開可能になるかわからないオフラインコンサートを一旦断念し、オンラインコンサートにシフトチェンジしていくバンタン。

その第一歩となった2020 BTS FESTAの「BANG BANG CON The Live(2020/6/14)」は、全世界で75万人以上が視聴したそうです。最高同時アクセスは約756,600人。スタジアムサイズのライブ動員が平均11万前後くらいなので、その6倍以上の人が同時アクセスしたことになります。

ちなみに、2023年に日本で生まれた赤ちゃんが75万人くらいです(伝わらない例え)

このLiveの時の学生服『FRIENS』も、その後のユニットインタビューも、めちゃめちゃ好きです。もしまだユニットインタビュー見たことない人がいたらどうぞ! ジン君・ホビ・グクVer. とナムシュガVer.もあります。

2020/7/27、はちみつFMのジジンジョンラジオで、新曲を発表。そう、『Dynamite』です!

あ、タイトルにあった「重大発表」は、『Dynamite』の件でした!
アルバム準備中、「弾けるような、とても楽しい子(ナムさん)」に出会い、コロナの中皆さんに今すぐ活力を差し上げたいという気持ちもあって、先行シングルにしました、とのこと。皆のワクワクが伝わってきます!

「BTS】シュプDのはちみつFM@SUGA①【Weverse】」より

該当箇所は、「꿀FM <지진정의 R.A.D.I.O 라디오> #중대발표(はちみつFM「ジジンジョンR.A.D.I.Oラジオ」#重大発表 )」の27:20~くらい。

2020/8/21にリリースした『Dynamite』は世界中から歓声を持って迎えられます。コロナ禍の影響により生まれたリリースの谷間で、まさかこんな大ヒットが炸裂するなんて!

服装からして、2020/9/1の日の映像。ビルボードのHot100で一位になり、喜んでいるバンタン。「これ一位を撮るカメラなの?」ってボケてるナムSUGAが愛しいですね!
BTSの音楽をけん引していくこの二人が、一番喜んだんじゃないかと思ってます( *´艸`)

はしゃぐナムシュガがかわいい

泣いちゃったと言ってるグク。ビルボードの結果を見て飛び上がった後、即ナムさんに「ウソみたい……」って半泣きで連絡したらしいジミンちゃんも、たまらなくかわいいです( ;∀;)

この日のバンタンは大忙しで、明け方大騒ぎしたせいで皆眠そうなのに、BANGTAN BOMB&SKITを撮って、Weverse配信もして、振付け練習までしました。ビルボード一位歌手、忙しいな( ;∀;)

2020/9/8、米NBCの人気番組「ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジミー・ファロン」で披露した、景福宮 慶会楼での『Mikrokosmos』撮影風景。
この時、2週連続ビルボードHOT100で一位になった報が届いたらしく、パンPDに電話で報告しています。「君たちはこれが本当にどんなに凄いことなのか知らないでしょう」って涙ぐむパンPDかわいいw

ビルボードHOT100一位になった時のインタビューを中心に、彼らの率直な驚きや喜びが語られ、コロナ禍に生きる人たちへの励ましの想いが伝わります。
挿入される『Dynamite』MVが何故かジン君カット集になってて、しかもどの顔もかわいい。編集した人の趣味を感じますw

コロナ禍をきっかけに、あらゆる物事がオンラインへ移行し、公演の形も変わりました。
2020/10/6、行われるはずだった「Map of the Soul Tour」ワールドツアーの代わりに開催された、非対面式コンサート「BTS Map of the Soul ON:E」のリハーサル風景。

この状況に慣れる必要があると思いました。オンラインだからこそ伝えられるものを準備すべきだと考えたんです。
その1つが『Filter』の事前収録でした。

ジミンちゃんの言葉

冒頭では「すぐ元の生活に戻れると思っていた」と語っていたジミンちゃんも、「慣れる必要がある」と状況を受け入れだしている様子。

オンラインだとレスポンスがないのでテンションが上がり切らず、100%の姿を見せることが難しいと感じていたメンバー達。ジン君が、VCR撮影みたいだという感想を洩らしています。
それでも、パフォーマンスに集中し、目の前にいない観客を楽しませるため、気持ちを切り替えようとするメンバー達。

直接会えなくなったことへの戸惑いや悲しみを口にしながら、涙を抑えられなくなるジミンちゃん。ARMYが見えなくて、プロモーションのようだと感じていたジン君。
それぞれが苦しみや喪失感、それでも一緒にいようという決意を語ります。
ナムさんの「僕たちBTSは7人ではなく、あなたと、僕と、そして僕たちみんなの物語です」が心に響きます。

「【2020】Map of the Soul ON:E」より

途中で、『Filter』のジミンちゃんが映ってますが、息が止まりました。
胸元がへその近くまでがっつり開いてる紫衣装のメイク濃いめジミンちゃんは極悪……!(興奮すると句読点が消えるオタク)

手のひらに書かれてるのは「お茶しない?」って意味だそうです

楽屋で、ユンギのギターに合わせて『Dynamite』を歌っているグク。そこにホプミンも参加してきて歌い踊り始める様子が本当にかわいいです!

JH「多分、後は僕たち次第です。演出は特に問題ないと思います」
JH「ボクさえがんばればいいんです」←高い子供声
JH「僕らが上手くやればいいと思うよ」
JM「ボクがんばる!」
JH「そうだな、お前さえ上手くやればいいよw」

唐突にホビヒョンの膝に転がり込んでくるジミンちゃんと、普通に受け止め背中ポンするホビ

2020/10/10、コンサート当日。ARMYの前で行うライブとしては、2019/11/24の5thペンミ「Magic Shop」以来、320日ぶりです。
モニターを挟んでの再会ではありましたが、ずっと聴きたいと願い続けてきたARMYの声はイヤホンから伝わり、彼らに安堵を届けられたようです。

コロナ禍になる前が恋しいし、できれば戻りたい。
でも恋しがってばかりではいられないでしょう。

ホビの言葉

ここで、コンサート映像に被って流れる『ON』の「Bring the pain」がエモい。今回このフレーズがテーマソングですね。

僕たちとARMYが共に築いてきたものが、会えないだけで失われてしまうのか?
僕は違うと思います。失われはしません。
このライブによって、「僕たちはこんな状況でも繋がれる」「一緒に何かを創れる」と示したかった。
姿を見るだけで触れ合えないけど、それでも僕たちは変わらず一緒です。

ナムさんの言葉。彼らが兵役に行っている今聞くと、改めて胸に迫るものがある。

伝説のグラミー賞ノミネート発表の夜。ナムさんとマンネラインが集まって、その時を待っています。

【グラミー賞】
今日世界で最も権威ある音楽賞のひとつとみなされており、テレビにおけるエミー賞、舞台におけるトニー賞、映画におけるアカデミー賞と同列に扱われる。

Wikipediaより

普通グラミー賞ノミネートの発表待ちといえば、パーティ会場でシャンペン飲みながらじゃないかと思うんですが、ナーバスになってるヒョンの横で、すっぴん私服の年下組がコンビニ飯食べるわ寝転がってスマホゲーするわのフリーダムな姿を見せてます。
ここまで来ても、カッコつける気配ゼロなこの子達が愛しいwww

BANGTAN BOMB」とは別角度で嬉しい!って思ってたら、テテの「하나 둘 셋(ハナ ドゥル セッ)!*3」が一回目で切れてるやないかあああ!( ゚Д゚)
この解説で伝わるんだろうか。伝われ……!

BTS!!!!!!!!

ナムさんがスマホ投げ捨てるとこがめっちゃ映ってていいw
勢い的には、PTD MVのジミンちゃんによる雑誌投げ捨てに匹敵しますね。

背後にいる不審者の首でも飛ばしてそうな鋭さで捨てられる雑誌

困難な時期に、僕たちの音楽を聴いてくださり、共感してくださったすべての方々に感謝いたします。何よりも、グラミー賞候補アーティストという奇跡を作ってくださったのはARMYの皆さまです。いつも感謝し、愛しています。
レコーディング・アカデミーの皆様、この大きな栄誉をありがとうございます!

ナムさんが回収したスマホで即打ったと思われるツイート

ホビが朝起きて即グルチャを見たら、テテの「ノミネート歌手がトークを見てる場合?」って書き込みがあって、受賞を知ったという話が好きw

2021/3/15、グラミー賞授賞式発表会とライブ!
台本チェックしながら身支度を進めるバンタン。今回はパフォーマンスも披露できるので、世界にBTSここにありと知らしめる絶好の機会です。

ドキドキしながら発表を待ったものの、期待した結果には至らず。残念!
でも新しいモチベーションを得て、グラミーより大事な存在に改めて気付いたと前向きに語るバンタン。どんな時も最終的にARMYへの愛に着地していくブレなさが愛しいです。

ここで何故かクレジットと、メンバーコメントが流れます。あれっ?
これで終わるつもりだったんだけど、公表につき第2シーズン開始!とかなんでしょうか。これ全8話ですよね。キョロキョロしちゃうんだけど( ゚Д゚)

と、とりあえず次……と思ったけど、チラ見した感じ #5は「PTDinLA」コンサートの話が入ってますね。流れ的に当然か。それ私まだ観てないので、ちょっと行ってきます!

今回、コロナ禍をきっかけに性格が変わった、とメンバー達が何度か語っているのですが、トップアイドルとしての怒涛のスケジュールがふいに途切れたことで、期せずして自分を見つめ直す時間が生まれ、成長や成熟のきっかけとなったことが窺えます。
彼らがまさにこれから!という時期にコロナ禍で活動を制限されたことは残念ですが、結果としては次に繋がる形で乗り越えていったという見方ができるように思いました。


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シリーズ記事

コーヒー一杯奢ってください( *´艸`)