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【K-POP】消費者の不満:5年間で1511件は多いか少ないか


【K-POP】消費者の不満は5年間で1511件

ちょっと前にこういうニュースがありました。興味深かったので、記録として残しておきます。
要するに、日本の消費者庁とか消費者センターに当たる「韓国消費者院」に寄せられた、K‐POPカテゴリの苦情がこの件数だったよ、という話です。

このニュースを知った時の最初の感想は、「少なすぎる……!」でした。だって5年で1500件て平均300件/年でしょ。K‐POP全体で。
韓国消費者院に苦情を申し立てるのは韓国人だけですし、不満を事務所窓口ではなく消費者院へ持って行ったK-POPファン……となるとかなり限定されるとは思うので、こんなものなのでしょうか。

BIG4を比較するのは適切か

ちなみに大手事務所の中ではHYBEへのものが一番多かったらしいです。
おっと思って内訳見てみたんですが、ライブストリーミングの苦情なども含まれてました。なるほど、会社で切り分けたんですね。

累積相談件数(5年分)
HYBE:708件、SM:334件、カカオ:157件、YG:11件
※カカオはSMの親会社なので足したとすると、HYBEとSMで全体の8割

HYBEはWeverse運営やゲーム開発も含む複合企業で、エンターテインメント専門の事務所とは業種が違うので、件数的にはそんなものかと思わなくもないです。
正しく比較するため、そこは切り分けておいてほしかった。惜しい!

他の事務所は子会社含め、基本芸能中心の業種

バンタンは「Map of the Soul ON:E」「MUSTER SOWOOZOO」「PTD ON STAGE-LA/SEOUL/LAS VEGAS」「釜山コン」などでオンライン配信公演を行っているため、正直「バンタンのライブストリーミング公演が繋がらなくて見られないんですけど!?」だけで1500件文句来ても驚かないんですが……。
チケット前売り式のライブ公演なら、事前に接続人数が予想できるから前もってサーバー増設できるだろうし、そこまで苦情はなかったのかしら。

色々気になったので、検索してみました。

報道記事

根拠になる件数表を載せていた記事を、ようやく発見。偉いぞ!

消費者の不満が最も多かったのは、大手芸能事務所が主催する公演、アルバム販売、ファンミーティングなどで提供される商品やサービスが当初約束したものに及ばない契約不履行(不完全履行)の問題で、過去5年間で566件と全体の相談の37%を占めました。
次いで、クーリングオフ(返金)関連の相談が313件(21%)、品質(物品・サービス)関連の問題が312件(21%)、契約解除・解約および違約金関連の相談が167件(11%)などの順でした。

苦情の事例

韓国消費者院が明らかにした主な事例としては、芸能人グッズ(商品)の品質が期待と異なることや配送が遅れたことを理由に返金を要請したケース、ツアーコンサートのオンラインライブストリーミング利用権をサイトエラーで使用できなかったケースなどがあった。

「ハイブ・SMなど大手企画会社の消費者不満、5年間で1511件に達する」より
[資料=国会民兵徳議員室提供] 출처 : 신경제신문(http://www.theneweconomy.kr)
2024年は8月途中までなので少ないことに注意(年度切り替わりで出せばよかったのに)

内容
1位 公演、アルバム販売、ファンミーティング関連の契約不履行:566件(37%)
2位 クーリングオフ(返金):313件(21%)
3位 品質問題:312件(21%)
4位 違約金:167件(11%)

一番多かったのが「契約不履行」です。
想像するに、公演やペンミのキャンセル・延期・ライブストリーミングが繋がらない・期待した画質が出ない、アルバムの発送遅延、特典の変更・出演するはずだったメンバーが出ないなどの事前告知との食い違い、といったところでしょうか。

区分がわりと珍しいので、注釈が欲しいですね……!
「約款」「取引慣行」ってどんな苦情だったんだろう。興味津々です。

苦情への対応状況

500件を超える消費者不満の中で実際に消費者の被害救済処理結果につながったのは281件、19%に過ぎず、4件中3件は救済されていないことになる。

「ハイブ・SMなど大手企画会社の消費者不満、5年間で1511件に達する」より
[資料=国会民兵徳議員室提供] 출처 : 신경제신문(http://www.theneweconomy.kr)
「処理不能」って何だろう

消費者被害救済率
19%(281件)

この救済率の数字については、正確には「その後の経緯を追えた数字」なんじゃないかと思います。

19%しか救済されてない!と言われても、その19%には「取り下げ・中止」「処理不能」なども入ってるので、それは救済されたうちに入りません。この表から判断するなら、救済率はもっと低いはずではないでしょうか。
こういった情報追跡は、会社と訴えた当人と消費者院とのキャッチボールが上手くいかないと回収できないと思われるので、今後に期待です。

前項の「クーリングオフ(返金):313件」に対し、「返金/交換/賠償」が合計98と1/3なのが興味深いですね。この図だけ見ると、消費者保護の法整備が待たれる、という感じでしょうか。

日本と比べてみよう

ちなみに、日本の場合は消費者庁が毎年消費者白書を出しています。

「令和6年版 消費者白書」の場合、消費者生活相談の件数は67万3766件。
日本の人口は韓国の倍以上であることを念頭に置いて見ても、件数多いですね。私が5年で1511件って言われて少なっ!って思った理由、お判りいただけますでしょうか。

K-POPとかアイドルに関する項目は独立してないので、直接比較できない
(逆に言うとそのデータ独立して出せる韓国すごい……のか件数が少ないのか……)

18歳・19歳の消費生活相談(略)
女性では、「コンサート」に関する相談が上位にみられました(図表Ⅰ-1-4-2)。

2023年のトピックスより
この中だったら「コンサート」「商品一般」あたりが該当するだろうか……
「18歳・19歳の女性」だけで100件くらいはありそう

日本人が文句言いすぎなのか、もしくは消費者庁への信頼度が高いのか(言えば直ると思える間は言う=言ってるということは信頼度が高い説)、興味は尽きません。
わりと面白いので、お暇な方はどうぞ。

前提:日韓の違い

日本人は高い品質を求める傾向があり、「お客様は神様」という考え方が根付いているせいもあって、全国各地に消費生活センターがあるなど、相談しやすい環境が整っています。

韓国の場合は「韓国消費者院」が中心となってオンライン受付を充実させているようですが、スピード重視の文化から、SNSなどを通じて会社と消費者が直接的なコミュニケーションを取る例も多いようです。てことは1511件は氷山の一角である可能性が高いですね。

こういった両国の文化の違いから、相談件数には実際以上の開きが生まれている可能性があります。

まとめ

今回の記事を読んでみて、K-POPという音楽界の1ジャンルへの不満を切り出せる(会社別件数が出ているということは、詳細情報にもアクセスできてる)あたりがすごいなと思いました。韓国経済における、K-POPの存在感を改めて見直しましたが、若干個人情報大丈夫?という気がしないではない。

業種の切り分けや救済率の計算がちょっと雑なように感じられたので、その辺が整備されていくとより明確化しそうなんだけどな、と思っています。

先日FCの新規受付窓口統合のお知らせがありましたね。もし色んなものが一本化されていった場合、私たちはどこに不満を持っていくんでしょう。やっぱWeverse経由でHYBEかなあ、イルアミは細かいぞw
相対的に韓国消費者院へ蓄積される情報が減りそうですが、FB義務とかあるのかな。

とりあえず発送遅延は頑張って修正してください。ファイティン!
いつ来るのかわからんのも、サプライズプレゼントみたいでちょっと慣れてきちゃいましたがw

コーヒー一杯奢ってください( *´艸`)