【和訳】アメリカが出会ったARMY戦略【インタビュー】
出会いはBillboard
スミン・ミュスに関する記事を書いていた際、そういえばチャート関連で欧米音楽界と揉めてたことがあったな、という記憶が甦りました。
これわりと長く話題が続いてたんですよね。直接質問してきた記者もいたんですが、ナムさんが上手に反論してました。
私はバンタン沼住人ですから、普段K-POP側から物を見ているのですが、欧米音楽界側から見た記事はないのかな?と思って探してみたら、ビルボード誌のインタビューが引っかかりました。
ナムさんの反論も収録されてますし、ARMYのチャート攻略戦略についても触れられていて面白いのですが、ちょっと長いw
というわけで、和訳してみました。
時期的には、コロナ禍による自粛期間の最後の方、PTD on Stageなどが発表されるのはもうちょっと先、くらいのタイミングです。
注意書き
申し訳ないですが、素人仕事なので品質保証はしかねます💦
引用する時は、この記事へのリンクを貼っていただければと思います。
※読みやすさ重視のため、一部改行を追加しています。
BTS ビジネスの内幕と今後の課題
BTSとそのチームがバンドの仕事量、ビジネス革新、HYBEの将来について語る
By Jeyup S. Kwaak(ジェユップ ・S・クワッ) 2021年8月26日
HYBE Corp.のソウル新本社の廊下のはるか先から、遠くの足音やざわめきにかき消されて、透き通ったファルセットの声が響いてきます。今年のビルボードホット100で最長1位の座を維持したシングルとなった、大ヒットK-POPグループBTSのサマージャム「Butter」のリフレインを歌っています。音が近づくと、全員がフェイスマスクを着けた12人ほどの集団が通り過ぎていきます。
数分後、世界最大のボーイズグループが再び姿を現すまで、廊下にいた12人が、BTSとその両脇を取り囲む5人のマネージメントチームだと気づくのは難しかったです。
BTSのメンバーは皆、ごく普通の男性服(特大のTシャツとパンツ、素足にサンダル)でラフな格好をしており、寮へ向かう大学生のようでした。彼らは昨夜のひどい二日酔いやアルコールが肌に与える影響について冗談を言い合っていましたが、これはここの若者の間ではよくある話題です。
しかし、7人のメンバー(ジンとSUGA28歳、J-HOPE27歳、RM26歳、Vとジミン25歳、そして謎の廊下の歌い手であるジョングク23歳)が座って質問に答え始めると、彼らはベテランのポップスターそのものに見え、聞こえます。折りたたみ椅子に座った彼らは、最近『ジミー・ファロン・ショー』のライブ配信で使われた白い舞台(靴跡や他の跡が残っている)で、丁寧に、雄弁に、そして確信を持って話します。何百万人ものファンを魅了し、ほぼ宗教的な熱意で支持させる謙虚なカリスマ性を放っています。
「僕たちは特別な人間じゃありません。器が小さいんです」と、グループの本の虫であるラッパーのSUGAは、能力不足や小心を表す韓国の表現を使って言います。「僕たちは茶碗サイズの人間なのに、たくさんのものが注がれて、あふれそうなんです」
Vが続けます。「プレッシャーは圧倒的でした」
「2017年以来、自分たちを褒めるのを避けてきました。いつか報いがあるんじゃないかと恐れているからです」と、事実上のスポークスマン兼リーダーを務めるラッパーのRMが付け加えます。「常にカルマのことを考えています」
このような自己卑下は、RMによれば、少なくともある程度はBTSの「韓国のDNA」の一部だと言います。しかし、それはまた、グループ自身が認めるように、予想外だった世界的なスターダムへの急上昇と異例の持続力の産物でもあります。
2012年にPSYのダンスアンセム「江南スタイル」がウイルス的に成功した後、2010年代初頭の複数のK-POPアーティストが海外で一定の牽引力を得ましたが、その曲のようにメインストリームのポップに浸透したものはありませんでした。Big Hit Entertainment(最近HYBEにリブランドされ、10月に上場)のような資金難の事務所から出たボーイズグループが、数年後にグローバルな音楽業界を征服するなんて考えられませんでした。
「僕たちはそんな小さな会社からデビューして、初日から大変でした」とSUGAは言います。「僕の夢は決して大きくありませんでした」
2014年、BTSはロサンゼルスの路上で無料チケットを配り、ウェストハリウッドのトルバドールで約200人の観客の前でパフォーマンスをしました。
3年後の2017年のビルボード・ミュージック・アワードで、グループが初めてアメリカのファンの力を目の当たりにしたと言う時、ジャスティン・ビーバーの6年連続記録を破ってトップ・ソーシャル・アーティスト賞を受賞しました。翌年までに、BTSは世界中(アメリカを含む)のスタジアムをソールドアウトさせ、定期的に記録を更新していました。
2018年以来ビルボード200で5枚の1位アルバム(ビートルズの1966~68年以来、グループとして最速の記録)、1年以内にホット100で5曲の1位ヒット(マイケル・ジャクソンの1987~88年以来最速の5曲連続)、YouTubeで10億回以上の視聴回数を記録した複数のミュージックビデオ。グラミー賞にノミネートされた初のK-POPアーティストとなり、今年初めには4つのBBMAを受賞しました。IFPIによると、アルバム『Map of the Soul: 7』は昨年世界で最も売れ、続編の『BE』は11月下旬にリリースされたにもかかわらず4位にランクインしました。
BTSの国際的な成功に伴い、HYBEも同様に変貌を遂げました。3月のリブランディングから1ヶ月後、同社は10億5000万ドルを投じて大物マネージャーのスクーター・ブラウンのイサカ・ホールディングスを買収しました。
これにより、2011年に100億ウォン(当時約930万ドル)の評価額だった小さな事務所から、1000倍以上の価値(約95億ドル)を持つ業界の巨人へと成長しました。
その結果、HYBEの株式を所有するBTSのメンバーたちは、それぞれ約200億ウォン(1700万ドル)相当の株式を保有する億万長者となりました。
「年を重ねるにつれて、僕たちの視野が広がりました」と、ファンの熱狂的な歓声を浴びながらよく自身を「WWH」と紹介するボーカルのジンは語ります。
「経験は無視できません」と、グループのリードダンサーで最も明るいメンバーのJ-HOPEが付け加えます。「20歳の頃は度胸がありました。先のことを考えずに突き進んでいました。今はより慎重になりました」
「僕は落ち着いてきました」とジミンは言います。「頭の中で考慮すべきことが増えました」
7人のメンバーは最近、さらに多くのことを心に抱えています。韓国の文化大使としての重要性が高まり、昨年12月には前例のない動きとして、政府が法律を変更し、グループが30歳まで兵役を延期できるようになりました(以前は28歳でした)。
しかし、ジンが2022年末に30歳になることで、BTSは少なくとも1人のメンバーが不在となる長期間に直面します。韓国の一部の株式アナリストが予測するように、全員が同時に兵役に就くことを選択した場合、グループの活動休止期間は約18ヶ月(最低服務期間)に及ぶ可能性があります。
これはHYBEにとって悪いニュースです。BTSは同社の収入の主要な原動力であり、2020年の総収入7963億ウォン(6億8000万ドル)の約85%を占めています。
HYBEは新たなK-POPアーティストの獲得や、来年からユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)とパートナーシップを組んでアメリカを拠点とするボーイバンドのタレントショーを開始するなど、タレントのポートフォリオの多様化を始めていますが、BTSに代わるものが同社の貸借対照表に現れるかどうかは不透明なままです。
これらのプレッシャーに加えて、BTSの最近のチャートでの成功について、グループと事務所の両方が精査を受けています。一部の競合アーティストのファンは、これらの成功が世界で最も人気のあるアーティストを正確に示すというチャートの目的に反し、協力して「操作」することによって達成されていると主張しています。
「Butter」とエド・シーランとの共作「Permission to Dance」がHot 100で1位デビューし、「Butter」が9週間(連続ではない)1位を維持した後、グループのファンであるARMYがソーシャルメディアで組織化し、物理的なアルバムの大量購入や共同でのデジタル購入などの戦術を使用してチャートのパフォーマンスに影響を与えていることが指摘されました。
HYBEとBTSの両方は、チャート操作がグループの成功の要因だとする非難を否定しています。
BTSのメンバーは、自分たちの人気がピークを迎え、いずれ消えていくことを受け入れていると言います。結局のところ、BTSはすでにK-POPグループの業界標準である7年の寿命を超えています。
しかし、その間、彼らの驚異的な成功は業界に再考を促しました。BTSがグローバルな規模でファンダムを動員し続けられるか、そして他のアーティストにも同様のことが可能かどうかは、BTSとHYBEの未来を決めるだけでなく、彼らの遺産を定義することにもなるでしょう。
コンサルティング会社MIDiA Researchの音楽業界アナリスト、マーク・マリガンは次のように述べています。
「HYBEは音楽の未来が過去を見据える必要があること、つまり音楽が人々のアイデンティティを形成するものだということを理解していて、非常に賢明でした」
近年のストリーミングの台頭により、アーティストと消費者の間の感情的な絆が弱まったと彼は付け加えます。
「韓国以外の米国や英国では、BTSがまだ主に韓国語で歌っていた頃、自分の音楽的魂に穴があることを感じていた十代の若者たちがいました。何かが欠けていると分かっていても、それが何なのか分からなかったのです。そして突然、BTSが現れ、彼らは『これだ。このバンドのファンであることで自分を表現できる』と気づいたのです」
BTSの未来がどのようなものになるか、何が最も記憶に残るかは、特にグループ自身にとっても未知数です。
RMは次のように語ります。「僕たちの歴史が終わったとき、それはもっと明確になるでしょう。騒ぎが収まり、僕たちが台座から降りたとき、語ることができるでしょう。今の僕たちは台風の目の中にいます。僕たちも、他の誰も正確なことは言えないと思います」
ライブパフォーマンスであれ、カラフルなMVであれ、BTSは常に洗練された自然体を演出してきました。完璧なダンス、滑らかなライブボーカル、絶妙に調整されたハーモニー。しかし、メンバーたちが語るところによると、ここ数年、BTSであることは決して楽ではありませんでした。
注意深く見ている人にとって、これは驚くべきことではありません。2018年、年末のMnet Asia Music Awardsの授賞式で大賞を受賞した後、BTSのほとんどのメンバーが壇上で涙を流し、ジンは精神的な苦難のため、その年の初めに解散を考えたことを告白しました。
今日、その瞬間を振り返り、バンドは解散を真剣に考えたことはないと主張しますが、メンバーたちがバーンアウトに苦しんでいたことを認めています。
ジンは「以前は月のカレンダーに28.5日も仕事が入っていました」と語ります。これはK-POPグループにとっては過酷ではあるものの、珍しくはないスケジュールです。Mnetの授賞式と同じ年の契約更新交渉の際、彼らは翌年1ヶ月の休暇を得ました。これは、彼らが練習生として会社に入って以来、初めての本当の休暇でした。
リードボーカルのジョングクは「ここまでの道のりは厳しいものでした。健康に影響を与え、僕たちは青春のすべてを、それ以上のものを注ぎ込んできたと思います」と語っています。
ここ韓国では――アメリカ、中国、ロシアなどの超大国に挟まれた小国と自らを見なす愛国的な国――国際舞台での勝利という考えは常に大きな重みを持ってきました。
そのため、韓国語で歌を歌う韓国のアーティストが自国の境界を越えて多くの人々の心を動かしたという事実は、国民的誇りの巨大な源となり、BTSに対して通常の文化輸出をはるかに超えるプレッシャーをかけることになりました。
韓国国防省が12月に発表した、ポップスターに兵役を延期して芸能活動を続けることを許可するという発表は――現時点でBTSのみが満たす厳格な条件付きで――歴史的なものでした。
現行法では一部のエリートアスリート、クラシック音楽家、ダンサーのみが免除されており、BTSは完全に免除されているわけではありませんが、この決定はBTSが国のソフトパワーにとってどれほど重要になったかを明確に示しています。
7月下旬、文在寅大統領はBTSを未来世代と文化のための特別大統領特使に任命し、グループに外交官パスポートを付与しました。この地位により、BTSは不足に苦しんでいた国でのCOVID-19ワクチン接種の最優先順位となり――これは本当の特権でした――そして9月には、グループは3度目の国連総会への出席を予定しています。
当時、青瓦台として知られる大統領府は声明で「ポストコロナ時代の先進国としての我が国の威信を高めるためにBTSが大きな貢献をすることを期待している」と述べました。
HYBEはBTSに対して独自の期待を持っています。HYBEの最新の目論見書によると、2019年にBTSが収益の97.4%を占めていた時期から、同社はBTSの積極的な参加を直接必要としない収益源(ファングッズ、ビデオゲームなど)を成長させてきました。
目論見書によると、2024年にBTSの契約が切れることに備えて、HYBEは2022年頃から少なくとも6つの新しいグループをデビューさせる計画があります。それでも、HYBE幹部(そしてBTS自身も)は、バンドの今後の兵役にどう対処するかについてまだ固定的な計画はないと言っています。
これは財政的な打撃となる可能性があります。――そしてBTSは、自分たちの継続的な成功がその可能性を回避するのに役立っていることをよく認識しているようです。
SUGAは言います。「オリンピックを見ると、選手たちがその舞台に立つためにどれだけ努力してきたかがよくわかります。でも、一般の人が求めているのはメダルですよね? これは僕たちがどう話し合っても変わらないことです。僕たちはただ、僕たちを愛してくれる人々に対して、良い存在でありたいだけです。それが長い目で見て大切なことなんです」
特に、その人々がARMYを構成している場合はなおさらです。
事実上すべての主要なポップスターは、最新リリースを購入しストリーミングするために団結する忠実なファンダムに頼っています。しかし、ARMYはその新しい基準を全く別のレベルに引き上げました。
RMは自分たちのグループの成功について「これは苦闘の結果であり、それを見過ごしたくありません」と言います。――自分たちの舞台裏での苦労ではなく、ARMYが彼らの崇拝の対象を世界とチャートのトップに留めるために払う努力の量を指しているのです。
ワーナーミュージックグループのK-popとJ-popの責任者であるシン・チョは、これはK-popの特定のファン文化に由来すると言います。その文化は、支持する対象が主流の注目を集めることを確実にするためにあらゆる手段を尽くします。
チョは「ファンはサクセスストーリーを作るためにできることは何でもします」と言います。
しかし、彼らがどこまでやるかについては最近疑問が投げかけられています。
ARMYは長年、合法的な手段を通じて音楽チャートのルールの抜け穴(ビルボードのものを含む)を利用し、BTSのシングルの成績を押し上げてきました。
例えば、ビルボードのルールでは、1週間に一定数のバージョンの曲やアルバムを購入することが許可されており、各バージョンの販売数がその上限を超えた場合、アーティストの週間売上総数やチャート順位には反映されません。BTSのようなK-POPグループは通常、デジタルと物理的な両方を含む複数のバージョンの特定のシングルをリリースするため、1人の消費者による複数の購入につながる可能性があります(例えば、「Butter」には6つのデジタルバージョンと2つの物理的シングルがありました)。
BTSが3800万人以上のフォロワーを持つTwitterでは、ARMYを代表するファンたちが、チャート成績に最も影響を与えられる日に特定のシングルを押し上げるための協力を呼びかけます。
そのため、Hot 100の他のシングルが通常、重み付けポイントの大部分をストリーミングに頼っている(次にエアプレイ、そして販売)のに対し、7月のBTSの「Butter」のチャートトップの成績は、主に販売によって推進されました。
その大部分はBTS自身のウェブストアを通じて直接流れていたと、事情に詳しい情報筋は述べています。これらの情報筋によると、そのウェブストアは、以前の購入を認識したり、ファンが購入できる数を制限したりしません。一方、iTunesは誰かがすでにコピーを所有していることを記録します。
他のアーティストのファン集団も、持続的な販売実績のために直接消費者への販売を好み、ARMYと同様の戦術を試みていますが、ARMYほど効果的に、あるいは明らかな調整をもって行っている集団はないと、これらの情報筋は述べています。
そして今夏、「Butter」と「Permission to Dance」が合計10週連続でHot 100の1位を独占した際、オリビア・ロドリゴやデュア・リパなど、その間1位の座を奪われたアーティストのファンたちは、ARMYの行為を不正行為に近いものと呼び始めました。
MRCデータによると、2021年7月24日のチャートでは「Permission to Dance」が140,100の総売上で1位デビューし、「Butter」は6位下がって7位に、ロドリゴの「good 4 u」は2位を維持しました。しかし、その後非常に珍しいことが起こりました。
翌週、「Butter」が1位に返り咲き(ロドリゴらを飛び越えて)、「Permission」と順位を入れ替え、7位に滑り落ちたのです。
ロドリゴのファンたちは、これは偶然ではないと主張しました。@scrappysealは、この逆転を指摘し、BTSには「一般大衆の支持が0」だと述べ、「本当のヒット曲は一般大衆の支持によって持続される」とツイートしました。ロドリゴとリパの両方のファンである@lipaanostalgiaは、BTSの方法を「不正」と表現し、そのファンたちを「チャート操作に関与」し「大量購入」していると描写しました。
ARMYのクラウドファンディングの取り組みは、この時点でほぼ伝説的なものとなっています。
Billboardが確認したTwitter上の口座残高や大量購入レシートのスクリーンショットが示すように、BTSファンはPayPalを使って世界中のARMYからお金を集め、アメリカの売上にカウントされる購入を行っています。
「ARMY、どこにいるの??」と@borakore52は8月5日のツイートで尋ねました。「PTD 16セット448組とButter 24枚分の資金があります!!後で買えない人も、リクエストをできるだけ早く出してください!!」
一部のARMY主催者は、他のファンに購入の払い戻しを提案しています。これらの資金の出所は不明のままで、一部のBTSファンは自分たちの方法についてもっと明かすことに懸念を表明しています。
「タイムライン上で私たちが何をどのようにしているかについて、もう少し慎重になる必要を感じています」と@RafranzDavisは8月初めの資金調達の際に書きました。「面倒ですが、ただ理解してくれる皆さんに感謝します」(MRCデータには、疑わしいチャート活動を調査する標準的なプロセスがあります。Billboardは、アーティストやそのレーベル/マネジメントが資金提供した売上をチャート実績にカウントすることを許可していません)
これらの取り組みは、BTSの一部のポップ界の同時代のアーティストと比べてストリーミング数やラジオ再生が少ないにもかかわらず、グループのシングルがチャートのトップに躍り出る後押しとなっています。
ARMYの活動がチャート操作に相当するという批判について、RMは「それは正当な疑問だと思います」と述べています。
「しかし、1位が何を表すべきかについてビルボード内で議論があるのなら、ルールを変更してストリーミングの比重を高めるのは彼らの役目です。CDの売上やダウンロード数で1位になった僕たちやファンを非難するのが正しいのかどうかは、わかりません……。ただ、僕たちがボーイズバンドでK-POPグループで、ファンの忠誠心が高いから、標的にされやすいように思います」
HYBEがチャート操作のためにファンを組織しているかどうかを尋ねられたとき、BTSのレーベルであるBigHit Music(HYBEの子会社)の社長シン・ヨンジェは笑いながら答えます。
「そんなことを仕掛ける能力が本当にあればいいのですが」と彼は言います。
「BTSに関連して、一部の人々には理解しがたい市場の動きがあることは理解しています。しかし、アメリカ市場はダウンロードだけで簡単にトップに立てる市場ではないと思います。楽曲の影響力は様々な形で示されたと考えており、その成果を誇りに思っています」
それでも、HYBEはBTSのファンダムを近くに保つために最善を尽くしているようです。近年、同社はWeverseというプラットフォームを推進しており、そこではYouTubeやTwitterを必要とせずに、スターとファンがテキストや動画の更新、その他の独占コンテンツをアップロードしています。
2021年上半期の決算報告書で、HYBEは「Weverseはファンダムを統合し強化するだけでなく、ファン同士のコミュニティ活動を育成することでファンダムの長寿を支援している」と述べ、HYBEはグッズやコンテンツの購入を通じて直接収益を生み出していると付け加えています。
HYBEはまた、8月18日にARMYを迎え入れた新しいスーパーファン・エンゲージメント・プラットフォームであるFaveの主要投資家となりました。
CEO兼創設者のジャクエル・アマンコナ・ホートンによると、HYBEは特にFaveのマーケットプレイス機能に興味を持っており、これによりファンはユニークなアーティストグッズを作成して販売できるようになります。
「彼らは、ファン同士が互いに興味を持ち、交流したがっていること、そしてファンが作ったものからお金を稼ぐ方法があることを理解しています」とアマンコナ・ホートンは言います。
「私は、K-POPファンダムについて詳しいHYBEから学べると思っていました。しかし、HYBEは逆に、私たちFaveの取り組みに興味を示しました。なぜなら、Faveはファン同士のつながりを重視しており、それがHYBEのビジネスモデルを新しい方向に広げる可能性があるからです」
まだ初期段階ではありますが、HYBEのWeverseやFaveのような取り組みへの関与は、業界におけるファンエンゲージメントの新しいテンプレートを設定する可能性があります。HYBEとUMGの戦略的パートナーシップにより、すでにグレイシー・エイブラムスやジェレミー・ザッカーのような若手アーティストがWeverseアカウントを開設しています。BLACKPINKのようなライバル事務所のK-POPアーティストも参加しています。
一方で、BTSのようにファンとの関係を維持する意欲のあるアーティストを見つけることは課題かもしれません。
このボーイズグループは、アメリカで授賞式のアフターパーティーに参加したことは一度もないと言います。代わりに、いつもホテルに戻ってV-Live(現在はWeverseと統合されたライブストリーミングアプリ)に接続し、ARMYと祝福し合うのです。
「これは僕たちにとって儀式のようなものです」とRMは言います。BTSは2013年のデビュー前から、人々が初めて4G LTE対応スマートフォンを購入し始めた頃から、ファンとつながるためにライブストリーミングを使用してきたと、HYBE AmericaのCEOであるレンゾ・ユンは言います。ユンは最初にビデオエンゲージメントのアイデアを提案し、初期から運営を管理していました。
現状、BTSが週に数回ARMYと共有する瞬間は、それが画期的なものであれ日常的なものであれ、それぞれ何百万ものビューを集めています。
ファンたちは、ライブパフォーマンスの後、BTSのチームから「パフォーマンスについて好きだったことと嫌いだったこと」を尋ねるメールを受け取るのだと、ビルボード誌に語りました。
昨年、BTSは何年も考えられなかったことをせざるを得なくなりました。それは、無観客での公演です。
コロナウイルスによるパンデミックの中、グループはライブストリーミングのペイパービューコンサートシリーズを提供し、約190カ国・地域から200万人近くを集めました。
しかし、生の観客がいないことは衝撃でした。「幕が上がるのを待っているときは緊張しましたが、舞台に上がると、観客がいるはずの場所にはたくさんのビデオカメラがあるだけでした」とジミンは言います。
「公演する機会があること自体に感謝すべきだとは分かっていますが、辛かったです」
突然、ポップミュージックで最も特別なグループが、無期限に計画が延期された他のすべてのアーティストと同じ立場になりました。メンバーたちは孤独を感じ、いつもの生活リズムの突然の変化に戸惑いました。
「エネルギーを奪われ、士気を削がれました」とRMは言います。
「最近、とても物思いにふけるようになりました」とSUGAは認めます。「1年半も公演ができず、僕たちがやるべき仕事ができないんです」
「最近は普段よりも考えがまとまりません」とJ-HOPEは言います。「時には少し休みたいと思うこともあります。また、動き続ける必要があると感じることもあります」
自分は感情的で気分の浮き沈みがあると言うVは、バンドが2年前からツアーを計画していたことを思い出しますが、待ち時間は長引き続けています。「こういった感情に悩まされ、苦しめられて、心の中で叫びたくなるのは本当に辛かったです」(枯葉、昨年その感情のはけ口として「Blue & Grey」という曲を書いたと付け加えています)
2020年に予定されていた世界ツアーの代わりに、BTSは予想外の方向に転換しました。完全に英語で歌うことです。
彼らは英語で3つのシングル(「Dynamite」「Butter」「Permission to Dance」)をリリースし、すべてが1位を獲得しました。「Dynamite」と「Butter」はメインストリームでエアプレイを獲得し、バンド初の真のクロスオーバーポップ成功となりました。これは、韓国人だけのグループの楽曲がビルボードのメインストリームTop 40エアプレイチャートのトップ10入りを果たした初めてのことでした。
しかし、メンバーたちは英語が良いアイデアだということに全員が賛成したわけではないと言います。BTSとHYBE幹部の両方が詳細を述べることを控え、BigHit Musicのシンはすべての議論が友好的だったと言います。
「このグループの強みを示すものだと思います。友好的な解決策を見出し、会社のニーズを考慮できる方法です」と彼は述べています。
RMはこのアイデアを好んでいませんでしたが、パンデミック中に話題を維持するための重要な方法だったことを認めています。「他に選択肢はありませんでした」と彼は言います。
そして、ジンは英語で歌うことが最初は全く不自然に感じたと認め、ガイドトラックの発音を韓国語の文字で書き写すことで覚えたと言います。
「授業で習った英語は、曲の中の英語とはまったく違いました」と彼は説明します。「まず頭の中のすべてを消去しなければなりませんでした」
現在、韓国でのライブパフォーマンスが中止され、世界ツアーもパンデミック関連の物流上の困難により最近キャンセルされたため、BTSは「ほぼ毎日一緒に過ごす」という、馴染みのあるルーティンに落ち着いたと言います。
しかし、いつもよりリラックスできたのは、「9時から7時」のスケジュールという変化があったからでした。
「おそらく10年ぶりに、仕事と生活の間にはっきりとした線引きができています」とRMは言います。
「それが唯一の良い点かもしれません」とジミンは答えます。「まだコロナの時代ですからね」
ジョングクは自分を奮い立たせるためにオンラインの批評的なフィードバックを読んでいると言います。彼は「ホテルの部屋や家にいるときでも、顔に枕を当てて、いつも歌の練習をしています」と述べています。
現在、この時期に生まれる音楽について、バンドのメンバーたちはほとんど語っていません。BTSの最優先目標について具体的に述べているのはRMだけです。そして、実は母国以外での業界を変えるような支配は、その目標に含まれていません。
彼は数年前から主張している点を繰り返します。グループは「アウトサイダー」の立場を維持し、歌詞を主に韓国語で書き続ける必要があるということです。
「僕たちがアメリカのメインストリームの一部になれるとは思わないし、そうなりたいとも思いません」と彼は言います。「僕たちの究極の目標は、そこで大規模なスタジアムツアーを行うことです。それだけです」
7人の目は、ツアーの話が出るたびに明らかに期待に満ちた光を放ちます。他のことは、良いことも悪いことも、重要ではないようです。「僕たちはいつでも準備ができています」とジョングクは言います。
ジンは2018年のBTSの契約更新をめぐる難しい話し合いと、それ以降に起こったことを思い出します。「事務所は、僕たちのパフォーマンスへの情熱を支援するために全力を尽くすと約束してくれました。彼らはその約束を守ってくれたと思います」と彼は言います。
「結局、僕たちはお互いに、ここまで一生懸命頑張ってきたのだから、どこまで行けるか見てみようと言い合いました。こんなことを言っていいのかわかりませんが、『事務所のことも、他の全てのことも気にするな。ただメンバーとファンを信じて、もう一度始めよう』と」
補足
一番最後のジン君発言について。
これ、乱暴に訳すと「事務所も何もかもクソだ」になるため、自動翻訳で読んで事務所への非難と誤解した人もいたんじゃないかと思い、補足しておきますね。
この言葉からは、すべての中心にあるのは「BTSとARMY」だから、それを信じて再スタートを切ろう、という結束と信頼を感じます。
決断するのは自分達であるという彼らの主体性や、その隣にARMYを置いてくれている誠実さに感謝ですね!
特に非難のニュアンスは感じません。現発言は韓国語だと思われるので、そこがどうだったのかはわかりませんが、元々韓国語は日本語より罵り言葉が豊富な言語だということを理解した上で、意図を読み取っていきたいところです。