交渉テクニック(ビジネス・外交)、相手の妥協ラインを知る

交渉テクニックは、非常に重要である。ビジネスや、人質をとった犯罪者との交渉、外交など、あらゆる場面で有効である。

人によって、妥協ラインは異なる。やり取りを通して、相手の心理的・合理的な妥協ラインを正確に理解することが極めて重要だ。

歴史を例にとって説明しよう。アメリカと日本は、太平洋戦争(大東亜戦争)直前に、なんとか戦争を避けるために交渉していた。日本軍としては、なんとか中国での権益を守りたいと考えていた。満洲などは日本の生命線と考えられていた。これは、人気ブロガーのイブリースさんも書かれているが、人口膨張すると、他の国の領土を侵食する圧力が内部から生まれるとの仮説で説明できる。戦前の日本は、農村を中心に貧困があり、産まれた子供を捨てたり、売らなくてはならないほどだった。そのため、新天地を求めて、ある者はハワイへ渡り、ある者はブラジルへ渡り、ある者は満洲へ渡ったのだ。

ところが、アメリカ政府は日本の事情を正確に理解できず、ハル・ノートを突きつけて、インドシナ半島や中国からの全面撤退を要求した。しかも、それは交渉開始の条件とされたため、その後も何かを突きつけられる可能性すらあったのだ。日本としては、そんなものは当然のめるはずはなく、悲壮な覚悟で真珠湾攻撃を決意したのだ。日本としても、真珠湾攻撃でアメリカ国民の世論がそこまで激怒するとは想定していなかった。アメリカ世論は当時は、戦争を嫌がる厭戦気分が盛り上がっていたためだ。ところが、当時、アメリカではラジオが普及していた。フランクリン・ルーズベルト大統領は、巧みな演説を通して、対日戦争を国民に呼びかけたのだ。
※ちなみに、アメリカは、交渉の失敗ではなく、本当は日本が戦争をしかけてくることを承知の上でハル・ノートを通達したとの説もある。今となっては真実は闇のなかだ。

なお、相手の妥協ラインを正確に把握するのは、口で言うほど簡単なものではない。相手が立たされた状況、相手の心理などを正確に見抜き、分析しなくてはならない。頭では理解できても、相手の声色や表情を読み取るのが苦手な人もいる。私自身が、テクニックとしては理解できても、相手の心を読むことは苦手である。特別なトレーニングが必要なのかもしれない。

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