「プロダクトマネージャーのしごと」を読んで、PM1ねんめが考えたこと、これからのこと(感想)
わたしは誰
こんにちは、あざみです。
2023年3月に大学を卒業し、晴れて社会人になって8ヶ月が経ちました。(大学時代に学んだアジャイル開発/スクラム実践の体験談を書いているので、よかったら読んでください。)
現在は、比較的大きなIT企業でUXデザイナーというか、プロダクトマネージャーというか、な仕事をしています。配属からは4ヶ月ちょいくらい。必死に食らいつく毎日です。
この度、株式会社アトラクタさんのプレゼント企画で、プロダクトマネージャーのしごとという本をいただきました。この記事ではその本の感想や、自分の仕事について考えたことを書いていこうと思います。(感想note1ヶ月ちょいすぎちゃいましたごめんなさい><)
この本は、「PMにはこんな仕事があるよ」「こうするといいよ」という明確なHowを並べた指南書ではありません。が、リアルな実践がそこにあります。
そもそもそんな正しさなんてものはないということが、この本が一貫して言いたいことです。PMという仕事の現実と、どう向きあっていくのかを示してくれる良本でした。
あまりに率直で、胸に刺さることがたくさんありました。
その前にまず自分の仕事について
この会社は、結構新卒に打席を与えてくれます。自分がメインで持っている仕事は5つです。
定常的にCSにヒアリングを実施するスキームの構築
ある機能のプロダクトにおける意義、あるべき、モニタリング指標や今後の発展させ方について考える
2の重要機能に関する横断的プロジェクトの分析、問題発見
CS問い合わせ対応等、プロダクトの管理機能についてのフロー構築
行政報告系の要件定義
他に個人で、社内にいるペルソナに近そうな人にヒアリングする100本ノックプロジェクトを実施、12月の大規模打ち上げの幹事をしています。
正直、毎日新しいことだらけで、かつ複数のコンテクストスイッチが必要、納期があったりなかったりと目まぐるしく、時々、自分、本当に一人前に仕事できるようになるんだろうか..と気弱な自分がでてくることがあります。
特にここ最近は5番目に挙げた仕事にずっとかかりきりでした。最近前任者(退職した)から引き継いだものですが、社内のあらゆる職種の人を巻き込むことが必要で、行政要求を読み解いたり、イレギュラー対応がいくつかあるものでした。
引き継いだ時点で納期まで○週間という期限がついていて、嵐のようでした。
そんななかでこの本に出会い、自分がやっていることがもしかしたら罠に陥りかけていた? とハッとさせられたり。たくさん、考えさせられたのでした。
セクションごとの感想、考えたこと
読みながら感想をメモしていました。語尾がばらばらなのはご容赦ください。ちょこちょこ修正します。とても長くなってしまった。。
はじめに
これ入社して本当にそう思う。明確に正しい、着実な方法をとりたくて、たくさんの先輩に色んな話を聞いて回った。みんな自分なりの考え方をもっていて、どれが自分に合うか、採用するべきなのか取捨選択から問われている。自分が目指している方針に、自信や勇気を持つことが必要だと思った。
そしたら、自信はどう持てばいいんだろう。考えのプロセスに根拠を持つことかなと思った。
第1章
率直な一言である。
ちょうど、期限が明確にある(しかも出来ないと事業が出来なくなる)案件を引き継いで(もちろんチームリーダーなどはいるが)自分の責任で推進している。あれもこれも自分でやらない限り何も進まない。生活のあらゆることが自分がいないと進まないという意味で、ひとり暮らしを始めた時の感覚にも近いかもしれない。引き継ぎ元の人はもう居ないし、この案件推進に関わる全てのことに責任を持つんだって、広いな!?と初めてまるっと案件を手にして、思わず武者震いをした。
しかも、誰も明確に「こうするのが正解」だとは言ってくれない。私は半ば強迫的に「なにか正しい方法があるのでは無いか」という考えになることがある。が、そんなものはなくて、唯一正しいと言えるのは事業が進んでいるという事実にしかないのだなと。頭では分かっているけど、気持ちが追いついていなくて「𓏸𓏸で合ってますかね…?」ていうコミュニケーション取ってること、あるなと思った。
「悪いプロダクトマネージャー」のキャラクターにドキッとさせられた。時間長めに働いていて、疲れている所を人に見られているな!?と思った。一緒に働く人たちを元気にモチベートできているのか?で言うと今の状態はNOだな、と。。舵をとるひとが元気無かったら、一緒に船に乗る人はその人と自信を持って働くいてくれないと思った。
時間が無いとか、準備が出来ていない場合じゃないと思った。PMのしごとは曖昧で、その中を進まないといけないなら、全く同じ状況というのはなかなか現れなくて、最良の選択肢を自分でとっていくしかない。
第2章
COREスキルという考え方を初めてみたが、確かに大きく分けるとそれらが必要だなと思った。プロダクトマネジメントトライアングルの三象限のどこかだと思っていると、なにかハードスキルを持ってないといけないのかと考えがちになっていたから少しすっきりした。
仕事相手と、心地のいいコミュニケーションをするのではなくて、明確に理解することだ、と書いてあって本当に耳が痛かった。日本語の曖昧さに頼って「もし良かったら〜」や「とか」と言いがちで、明確にする作業を面倒なものとして避けている節がある。誰にとって、何が、どう決まったのか、をはっきりさせることから、逃げちゃダメだ。
依頼した相手がきっと何とかしてくれる、と思うのではなくて。次何やるかこの人は分かっているかな?というスタンスで会話していく。PMって面倒くさがりにはできないぞと思った。最後まで走って、形になるまで意識を巡らせ続けなければ。
透明性と検査と適応というスクラムのことばが好きだが、それに尽きるなと思った。自分自身とその周囲の透明性が上がっているか。周りは不安じゃないか。いつでも事業のために、人のことを助けられるか。
新人というのもあり、メンターさんもTLも声をかけてくれたり助けに来てくれるが、なんでみんな忙しいのにこんなに出来るんだろうって本気で思ってたことがあった。これは優しさとか以上に、事業推進を止めないためにというオーナーシップなんだなと思った
自分ができるかとか失敗しないかとか、自分起点の話ではなくて、事業のために権限を超えたことに手を出せるか、学べるのかという事だなと思った。
PMのしごとは、就職前に想像していたよりよっぽど泥臭い。最近の自分の仕事、調整が多くて、今は期限が設定されているから注目度高いけど、まわりはじめたら絶対みんなが忘れる仕事で。でも、これがないと事業に大影響がある。存在が忘れられるほど問題なく回っていないといけない。どんな仕事だってそうで、自分自身が評価されるかなんかより、組織とプロダクトとそれによって得られるアウトカムで自分の仕事を評価しなくては。
そういう意味で、ハードスキルがある人々が多い職場だからこそ評価軸がちょっと違うので異質なのかもしれないなと思った。
第3章
「コーヒーどうですか」は「よもやましませんか」だなと思った。人に会えそうな場面に積極的に顔を出している。先輩からアドバイスされたことですぐに出来そうだったのが、仕事で関係しそうな人によもやまを依頼することだったんだけど、実際少しづつ活きてきている気がする。まだあまり一緒に仕事をしていない自分が、仕事を依頼するときや相談を持ち込むときに、相手の顔をお互い想像できるかということは多少信頼につながっていると思う。
仕事は往々にして非公式ルートで進むことも多い。人脈一本勝負で生きてきたことにかけては自信があるんだけど、「人と繋がり力」はこれからも伸ばしたいポイントだなと思った。
自分のことは信じつつも、事業のことを真っ直ぐ考えた上で、当初とは違う結論になることを受け入れる。自らが「1番良いと思うものを選び取れる力がある」ことを信じよう。
起こったこと全てに「終わりじゃない」「死ぬようなことじゃない」と、オプティミズムで考えることから始めよう、てことかなとも思った。
素直と好奇心、そして楽天家って私は「ギャルになりたい」で言語化していた。ワンピースのルフィのようにも思えてきた。
第4章
プロダクトを前に進めるためにやれることは全部やる。けど、失敗の原因を正しく掴みその対策もする。全部自分がなんでも被るのはプロダクトのためにならない。
沈黙=OKにはならない!!これ重要だなと思った。前に会議で、発言がない人に振ってみたら、意外と質問がでてきたり疑問点を持っていたなってことを思い出した。反対意見を如何に押し出して、自分が見えない範囲の観点を出してもらうかってことなんだなと思った。
第5章
組織で働くにあたっては、自分よりも大きな権限を持っている人がいる。「新卒だから」と思ってた時期もあったが、本に書かれているくらいなのでずっとそうなんだな。そういう人とどう働くかという話。自分は結構権威性に弱いので要注意だ。
アジャイルの文脈だと当たり前なんだけど、時々見失っている。大きな決断を急にしない。インクリメンタルにちょっとずつ合意をとる。
誰が、いつ、どう思うか分からないし、人と働くということは不確実性の中で働くと同義なのだと思った。アナロジーするとアジャイルのマインドに似か寄るところがあって、解釈しやすい。
例示それぞれに「実際に起こっていること」という解説の欄があるのが気になった。最近、一緒に働く人のチャットや会議中の発言、それらから実際何が起きているということなのかを汲み取るのに苦労している。話を聞いた、じゃあ実際何が起きてる??という問いをして自分で解釈できるようにならないとなと思った。これ、どうしたらいいのかまだ分かってない。まだまだ相手の仕事に興味を持ちきれていないということなのだろうか。
第6章
ユーザーと対話を重ねているプロダクトマネジメントをしよう、とある。弊社組織にこれがうまく回っている組織あるんだろうか。定量強めな気がしている..
今自分がやっている施策であるCSヒアリング定常化はとても重要なテーマのように思えてきた。しかし、ヒアリング自体が重要なのではなくて、これをどう意思決定に活かすのかまではデザインできていない。。ますます上記の良い例を社内で見つけたい(誰か教えてください)
ユーザーリサーチの難しさを感じている。ある程度鍛錬が必要だなと思う。ただ、この本に明確に習得に時間はかかるし鍛錬は必要、とあって鍛錬に時間がかかること自体を許せる気がした。100本ノック頑張るぞ
インサイトを見えるようになっていることが重要らしい。このインサイトってヒアリング結果からどう見つけるのが良いんだろう。明確なサインなどがないから時々困ることがある。このHowについてはこの本には書かれていない。。カスタマーインサイトリポジトリとかは薦められたけど実戦まで行ってないなぁ.
▼カスタマーインサイトリポジトリ
https://uxmilk.jp/79164
第7章
ここでの最大の学びは、もっと自分にとって良い環境があるはずだ、ということばかり考える意味はそんなにない。どんな環境にも、何かしらの制約があって、その中で如何にベストを尽くすか。環境を求めてたら確かに、価値を作る方に力のベクトルは向かないよな..何のために我々は集まっているのか。
学生時代のチーム開発をしていたときのことを思い出した。正直良いチームになろうということ、そのものに対する努力は明確にはしていなかった。価値をスプリントごとに確実にデリバリーできるかということを意識してたら、いつの間にかチームもプロダクトも成長していた。
スクラムのイベントに行かせてもらうことが何度かあったが、最近はどう活かせば良いのかわからなくなっていた。良いプラクティスや体験談を聞いてふむふむと思うけれど、実際にそのまま、デウスエクスマキナのように、どうにもならない現状を変えてくれるわけではない。本書で「スタート地点でしかない」と書かれているように、そういったプラクティスをたくさん知るのではなくて、課題に対する処方箋として持ってきて、そこから自分たちのものにしていくしかないのだということを再認識した。そしてそれは同時に、早くかなえられるものじゃなくて、時間がかかるものだという覚悟も必要だと思った。
ずっと、自分の仕事の成功に再現性を持ちたいと思っていた。過去に別のチームでうまくいったから、こうすれば、こう考えればうまくいくだろうと思っていたらそんなことはなかった。本書を読むとそれが当たり前だなと思うようになった。むしろ最近得るべきは、アンラーンすることと変化に対応する柔軟性なのだと思った。
第8章
刺さりました。そして同時に、自分がアジャイルについて良いと思っていることに対しての確信にもなりました。
私はアジャイルのプロセスがとてもいいと思っているわけではなく、アジャイルという考え方、マインドセットが良い、というか合理的だと思っています。この考え方を共通して持つアジャイルチームだからこそ、同じ価値観で話し合いをできるのが素敵だなと思っています。
また、同じ文脈でアジャイルが言いたいことは結局ごく当たり前のことなのだということにも大いに賛成です。しかし、仕事をしていると当たり前がそうじゃなくなることも往々にしてある。そこで同じマインドセットを共有して進められる。
スクラムとかのような、アジャイルを実践するための方法論も単なる「スタート」でしかない。難しい単語(レトロスペクティブなど)を並べてわざと難しくて高尚なことをやろうとしているよりも、自分の言葉でなぜやるのに必要か、何に効く方法なのかを説明できるように始めていくのも重要だなと思いました。ハサミよりも使い方が難しいかもしれない
第9章
ここまで読んできて、それはプロダクトの価値のデリバリーにつながっていますか?ということを終始問われているなと思った。
(本来と意味とは違うかもしれないが、)ある意味PMが陥るビルドトラップなのかもしれないなとも思いました。先輩が持ち込む資料が完璧すぎて、最初そこまでちゃんと検討がトレースできるような資料を作るべきなのかと思っていました。が、それは価値を届けていない。。どうしたら完璧な構造化ができるか考えて手が長いこと止まってしまっていたかもしれない..と振り返って、直近の自分の時間の使い方を反省しました。
ペライチでいいから、自分のアイデアをまとめて、みんなでつくれるようにする。
第10章
わたしの職種は、いわゆるプロダクトマネージャーのようなことをするものの、別にプロマネもいて全体統括していたり戦略を考えていたりする。他の組織はわからないが、みんなで共通して持っているシンプルで明確な目標、みたいなものを自分たちで考えられてはいない気がする。案件推進をするときにKPIとかは考えるけど..
第11章
データ見てるのとても面白いです。それはとても明確に示唆を与えてくれるからだと思います。しかし本書はユーザーを見ろとずっといっていて、それは人間はもっと複雑ですよ、と言いたいんだと思う。ITで、パソコンを使って仕事をしているけど、この仕事が最終価値を届けるのは人なんだよなということを再認識しました。
第12章
改めてプロダクトマネージャーは不確実性のなかを探索する仕事なんだなと思った。意思決定に明確な正解なんてなくトレードオフなのだと。そこで勇気を持って選択できるか、というか「お前はどうしたい」に答えられるかだなと思った。
機能を足すと褒められる、というか私は配属当初どんな仕事をするんだろう..という想像にどんな機能を実装しよう、と考えていた気がする。
逆に機能を削るという意思決定をしようと思うと、どう考えていったらいいのだろう..となった。機能を減らすことで実は使ってた3人くらいのユーザーの使い勝手を毀損する。。?そしたら残していても害はないか、となってしまうかもしれない。そうやってゴミみたいな機能だらけになった、何をしたいのかよくわからないプロダクトも散見されるので、この意思決定を必要に応じてできるような、本当にプロダクトの体験そのものを考えられるPMになりたいなと思った。
弊社の初心者向けUX研修を受講していて行きあった違和感に近いものを感じた。お題としては、たとえばある既存旅行サービスのファミリー層の検索結果一覧からのCVR向上だったのだが、局所解はでたもののこれは他の層の体験を損ねる結果になっているんじゃないかとも思った。(研修のお題だから仕方がないが)局所解を出し続けて機能を追加し続けてふと顔を上げたらカオスな画面になるのではないか..と、そういう意味でも、同じ目標を持って考えるというのは大事なんじゃないかと思った。
第13章
実感として、リモートと対面のハイブリットは全然有効だと思っています。むしろ働きやすくなっている。
学生時代にハイブリットチームで開発を半年やっていました。すごくうまくいったのですが、これがうまくいったのはちゃんと序盤に雑談をしまくったこと(対面で)、ワーキングアグリーメントを丁寧に文書化していたからだと思います。
弊社では..というとフレキシブルで働きやすい半分、やりづらさを感じること半分、です。大きな組織で、誰がどんな顔でどうやって働いているのかもわかりづらい。弊社の空気感もわからないまま、たとえばロイヤルの人とは実はこんな話し方がいい、とかそういった肌感を掴むのが難しい。。周りがどれくらい忙しい働き方をしているのかもわかりづらく話しかけづらい..もっとこのリモートでの働き方を丁寧にしてもいい気がしている。
第14/15/16章
プロダクトマネージャーという職業は、複雑で、正しい方法なんてものはなくて、かつ落とし穴がたくさんあって、気持ちよく良い人間としていろんな人と関わり合いながら力強く漕いでいく仕事なんだなと思いました。
私はエゴの強い人間なので、人から褒められたいし、willが強いタイプだと思う。本書だと喜びを他者から与えられようと思うよりも、自分と価値をデリバリーして起こった良い影響から受けよと言われている気がした。双方間違って取り違えないように、このバランスが難しいなと思った。素直な気持ちで、無邪気にユーザーと向き合って、ともに働く人にリスペクトを持ち、ユーザーに価値を届けて行きたい。
この記事の最後に
まだまだ一人前に仕事進められるほどではないです。これからもっともっと成長していきたい、学んでいこうと思っています。何度だって立ち返ろう、長く付き合おうと思える本に出会ったなと思いました。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました