What can you do to help authors getting their books to be reborn?
実は,DHCが出版業務をやめて絶版になるというニューズを聞くよりも前から,ぼくは現在絶版となっている上の本を復刊しようとしていて,それはまだ実現に至っていません.この本のコンテンツを出版してくるという出版社がまだ見つからず,他の手はないだろうか,と考え始めています.PDFにして,このnoteで公開する方がよいのか,とかオンデマンド出版のサーヴィスを使ったほうがよいのかとか.近いうちに答えを出さなければいけない時期に来ていると思います.
こういう中で思い知らされることは,著者と読者が本がいかにして生まれ,書店(それは当然オンラインも含みます)に並び,消費されていき続けるのか,あるいは見捨てられて死んでいくのか,というシステムに対して無知であり,そのことがいまの出版状況に密接に関わっているということです.DHCの出版業務停止ということはその中のごくごくわずかに起きていることに過ぎません.そして,「この出版業務停止でAAAさんの『BBB』が絶版になる.これは学習者にとって大きな損失だ!」とか騒いでいる英語学習者の声を目にすると,「いや,でもその状況を招いたのはあなた(がた)ですよね」と云いたくなります.
断っておきますが,ぼくは少なくとも主観的には,物書き/ライターであり「英語のセンセイ」ではないつもりなので(実際,この仕事をしていると「先生」と呼んでくる人がいますが,いやでしょうがないです.「さん」にできませんか,といつ云おうか悩んでいます),英語学習者に変に媚びるつもりはありません.英語の教材を書いているときも,「こういう英語に触れれば,こういう考え方をすれば,うまくいくかもしれませんよ.でも,気に入らないなら他の方法もありますし,気に入った部分だけお使いください」ぐらいのつもりでいます.変に教育したり,自分の方向性を気に入ってくれたファンを集めるようなことをする気はありません.本当のところ,英語本の著者に限らず,コンテンツクリエイターはコンテンツを練り上げる(英語ではiron outといいます)ことに腐心したほうがいいのに,と実は思っているので.
とはいえ,語学書(各資格試験対策本も含む)であれ学習参考書(業界の人は「学参」と呼びます)は自己PRが上手い人が売れています.各出版社も商売ですから,大概はそういう人に出版の話を持っていきます.それはそれで仕方がないし,ぼく自身も最低限のPRはします.だから,このnoteを書いているわけだし,Booklogのここに自分の本をまとめてはいます.でも,トップを走っている人の自己表現に適(かな)うわけがないし,それよりもあることを気にして一般的な学習者とのsocial mediaでのやり取りは意図的に避けています.
「あること」というのは,わざわざ著者に連絡をとろうとする学習者はかなり特殊であり,その人たちに悪気はなくても,彼らからのフィードバックを頼りに修正や変更をすると,逆にコンテンツの質を下げてしまうのではという懸念です.上でもさらりと書きましたが,ぼくは出版社から語学書を出すとき,知らない/会ったこともない学習者に向けて書いているのであり,それがいいと思っています.いまの世の中の流行はコアなファン層を見つけて彼らを囲い込み高額商品を売ることですが,アイドルとか経営者がやっていることをELT writer / materials writerがすべきか/できるか,というと疑問です.
ちょっと長くなってきたので,本当に書きたかったことは次回の記事に譲りますが,そこでそれほどPRもうまくない著者(これから本を出したいと思っている人も含む)はとりあえずPRと原稿の作成以外の版元との契約・印刷・流通のシステムをある程度知ろう.また,現在の語学書の出版状況をよく思っていない学習者(普通の人でなく,一般よりもかなり英語ができたり,相当数の語学書に目を通していたり,インターネット上でコメントをしたり)に向けて「応援しています」とか「できることがあれば何かしらの協力をさせていただきたい」いうならば「本の出版と流通に関するシステムの勉強が先では?」と思ってしまう,ということを書くわけです.嫌味な云い方をすれば,英語を勉強するのにしくみの勉強が大事だ自分より下に見ている学習者にはいう人に限って,自分は別の分野でのしくみの勉強をしたくない訳です.人のことをぼくも云えないかもしれませんが,変に群れるよりもスマートにしくみをそれぞれが勉強して局面を打開することを考えないと,と思っています.