【学校教育】結局学校で学ぶ価値のある教科は何なのか?
思い返してみれば、小学校から高校までの12年間は学校の教室に箱詰めになって膨大な時間を勉強に費やしていたなと感じることがある。あの頃は嫌で仕方なかった勉強も、いざ大人になって勉強の時間が取れなくなると、「ああ、あの時あの勉強してたらよかったな」と思いをはせることは、一般的にも多いのではないだろうか。
このように、「大人の視点」になると何が価値のある教科なのかが客観的に見えてくることがある。今回は、あらゆる「視点」から結局学校で学ぶ価値のある科目は何なのかを書いてみたい。
1.「学生の視点」から見る価値のある科目
筆者は文系の学生だったが、中学・高校の時に、将来的に意味があると考えていた科目は以下の通りだった。
1位 英語
2位 世界史
その他ランク外
筆者が、15~20年くらい前に田舎の中学・高校に通っていたころは、どことなく「グローバリゼーション」という言葉がはびこっており、海外に関係する仕事につくことがどことなく「イケている」風潮があった。学校ではTOEICの重要性なども教えられ、英語ができれば大学に受かるだけでなく、就職にも有利だという話をされていたため、1位に英語がランクインしている。
世界史もこれと同様で、海外の人とコミュニケーションをとるためにはその国々の歴史的背景を知ることが重要だと思っていたため、2位に世界史がランクインしている。(ただ、実際に世界史を使った場面は、ドイツ人ビジネスマンと2人でバーで飲んだ別れ際に「今度はイタリア抜きでやろうな」というブラックジョークをかましたことくらいである。)
その他の科目については、当時は大学受験に受かるために仕方なくやっていたという感じで、その結果あまり高校の時の成績は芳しくなかったのが実情である。
2.「大人の視点」から見る価値のある科目
筆者は、現在いわゆる文系の学生の延長のような職業についているが、そんな筆者が学生の時に勉強しておいたらもっと人生が豊かになったのではないかと思う科目が以下である。
1位 数学
2位 情報(IT / プログラミング)
3位 英語
4位 地理 / 世界史
「学生の視点」と比較すると、まず、1位・2位に数学・情報の科目が入ってきている。これはなぜかというと、数学と情報の科目は一種の「世界言語」となっているからである。私は数学者でもエンジニアでもないので、特段数学を解いたり何かプログラミングをすることはない。しかしながら、例えば「最近AIが騒がれているな。ちょっと調べてみよう。」と思って調べてみても、ある程度進んでいくと数学やITの専門的な言語が使われるようになり、ここで「ちんぷんかんぷん」になってしまうのだ。そういう意味では数学や情報はある意味「英語」に近い。
次に英語が3位までランクダウンしているが、これには理由は二つある。一つは、近年翻訳システムが非常に進化してきており、ほとんどのWeb上の記事は日本語に訳しても意味がある程度わかってしまうレベルになったからだ。そしてもう1つの理由は、私が結局海外に関係する仕事についていないからである…。
そのような中で、英語・世界史・地理は私の中で趣味的な役割としての学問となる。私は海外旅行が好きなのだが、英語はツールとして、世界史と地理は旅行を楽しむための要素として人生を豊かにしてくれている。
3.「企業の採用担当の視点」から見る価値のある科目
筆者は、これまで何度か企業の新卒・中途採用の担当となる機会があったが、この視点から候補者を見たときに価値のある科目は以下である。
1位 小論文
2位 簿記(3級程度)
3位 国語(現代文)
どのような科目が重要になるかについては企業や業種によるかもしれないが、少なくとも文系関連の職業においては、小学校~大学において勉強した専門性などほとんど役に立たない(厳密にいえば「役立てようという素地が企業側にない」)。私は、例えば経済学だったり哲学の要素をビジネスへ結び付けるという試みは非常に好きなのだが、少なくとも企業という上意下達の組織においてはそのような独自性のある動きは許されない。
そのような中で何を重要視するか、と言えば「読み・書き・そろばん」という単純なスキルである。「なんだ、そんなの誰でもできるじゃないか」と思うかもしれないが、全くそうではないのが実情だと筆者は思っている。
「大量の情報が入っているが要点を得ないメールを出す人」「会計を全く考慮しない突発的なアイデアをだす人」「上司や顧客の指示・メールを誤った意味でとらえてしまう人」…。これらはおそらく全ビジネスパーソンが出会ったことがあるはずだ。
逆を言えば、これらが完璧にできる人であれば、正しくインプットし、正しくアウトプットしてくれるということが期待でき、そういう人はいずれ組織内で「エース」的な存在となっている(ジョブズのような「スター」になるかはわからないが)。「いやいや、専門的な知見も必要だろう」という意見もあるかもしれないが、弁護士事務所等ならいざしらず、一般的な企業においては専門的な知見のある人に仕事を外注するだけで済む場合がほとんどである。
筆者は何となく、高学歴であればあるほど、「読み・書き・そろばん」はゴリゴリに訓練してきただろうと期待するのでそういう意味では学歴は1つの指標になっている。が、これらは日常生活の中でも鍛えることができるので、本当にセンスのある採用担当は、(人件費が高くつく高学歴の人ではなく)学歴が芳しくない人の中から「読み・書き・そろばん」ができる優秀な人を引っ張ってくることだと思っている。
4.最後に
他にも、「国家の視点」から考えてみるのも面白いかもしれない。教育システムはその国家が中長期的にどの方向性に人材リソースを誘導するかという非常に重要な要素である。
昨今の少子高齢化社会の問題も踏まえると、筆者としてはぜひどっかのタイミングで「恋愛学」を入れてほしかったなと切実に思っている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?