オワリはじまり34 「もしかして、あれは認知症の前兆だった?」
前回の日曜日にMさんの家に行った際、僕は話の流れでMさんにこんなことを言った。
「Mさんさ、あのね。俺が大学4年の時によくばあちゃんの家に言ってたんだけど、実はあの時からばあちゃん謎の行動をしていたんよ。」
という、言葉の後にその当時の僕が感じていた「あれ?」という違和感を持った2つの行動をMさんに伝えることにした。
その話をMさんにすると…
「多分その時〇〇さんは認知症予備軍だったんだよ。早く気づいてあげてたら、予防できたかもね。〇〇ちゃん、ブログ書いているんだったらそのことについて書いてみたら?誰かのためになるかもよ。」
と言われたので、今日この場を借りて僕の後悔を共有したいと思う。
出来事1 「ばあちゃん、今授業中やから。邪魔しないで!」
僕が大学4年生だった2020年〜21年、コロナウィルスの関係で前期の授業のほとんどがオンラインで行われていた。確か1週間のうちに授業がある日は4日ぐらいだったと思うが、僕は初めの数週間は当時住んでいたマンションで受けていたものの、あまりにも退屈だという理由からそれ以降、ほぼ全ての授業をマンションから徒歩15分の祖母の家(現在僕と父が住んでいる)で授業を受けていた。
祖母の家に到着し、授業の準備をした後、
授業開始10分前に毎回祖母に「今からパソコンで授業があるけん、邪魔をしないでね。」と伝え、僕は毎回和室の隣にある細長いスペースにある長椅子で授業を受けていた。
しかし当時受けていた全ての授業中ではないものの、祖母が授業中に前述のスペースが面する2つの入り口のドアを開け、「〇〇ちゃん」と僕の名前を呼びながら入室することが多々あった。
そんな授業中に祖母が乱入するアクシデントはただただ教授の話を聞くだけの授業では基本的に発言せずミュート状態だったので問題なかったのだが、アメリカ人講師による英語の授業に関しては名指しされたのち、ミュートを解除して発言する場面があったので本当に神経を使っていたことを覚えている。
今思うと、僕が「授業があるから静かにしてね。」と伝えたことを忘れるほどの記憶力だったのかもしれない。
出来事2「〇〇ちゃん、はいこれあげる。気をつけて帰ってね。」
前述で僕はオンライン授業のために祖母の家をよく訪れていたと書いたが、あくまでそれは建前上の理由である。
恥ずかしながら、祖母の家を訪れる一番の目的は祖母からもらえるお小遣いだった。
僕が小さい頃から祖母は毎回僕が遊びにきた時にはお小遣いをくれていたのだが、大学生になる頃はお小遣いの桁がバグり毎回1万円をくれていた。
今の僕の生活水準や金銭感覚から言うと、1万円はかなり大きい額だ。
当時大学生の僕はそのお金を使ってかなり贅沢な大学生活を送っていたことを覚えている。
ここまで聞くと、単なる「孫を甘やかしているおばあちゃん」なのだが、問題なのは祖母がそんなお小遣いを1回ではなく、平均して毎回2回くれていたことが問題である。
当時の流れで言うと、祖母の家に到着して数時間経った後に祖母から「忘れないうちに」と1回目のお小遣いをもらい、帰り際にお小遣いを渡したかどうか忘れてしまった祖母からもう1回、1万円とは言わないもののお札をもらうということを繰り返していた。
今思い返すと、出来事1と同様にこの時から祖母はかなり記憶力が低下していることがわかる。ちなみ、当時の僕はこのお小遣いを2回もらうことにかなりの罪悪感を覚えていたが、小さい頃から母に言われていた「もらえる時にもらっときなさい」と言う言葉を心に秘め、「いつもありがとう」と言って事実を伝えることはしなかった。
お金に関する記憶力低下はかなり恐ろしいものだ。
当時の僕はそんな祖母を見て、高齢現象による単なる物忘れと思っていた。
「もし、祖母の家にオレオレ詐欺の電話があったら…」と想像するだけで、恐ろしい。
「あの時、こうしていたら…」と在宅介護が終わった今でもよく考えてしまう。
特に出来事2に関しては、あの時父とかに話をしていたら予防できたかもしれないと後悔してもしきれない。
まあ、在宅介護は無給なので、あの時のお小遣いはのちの介護代金だったと思えば帳消しにできたのかなと思っている。