認知症介護日記56 「なってないか、そうか。」

昨日スマホのメモを整理していると、こんなメモを発見した。

乳がんのこと忘れる 8/3

この日から10数日経っているのに、僕はこの出来事を鮮明に覚えている。
正直なところメモしたことを忘れていたが、メモを見た瞬間、全てを思い出した。


本題

8月3日の夕方、リビングに行くと、父と祖母が何かを話している。
父は悲しい顔、祖母は不機嫌な顔をしていた。

「〇〇(自分)、今から俺がばあちゃんにある質問をする。よく会話を聞いて覚えていてほしい。」

と、父が言ったので僕は了承した。

父 「ばあちゃん、ばあちゃんは昔乳癌を患ったよね?」
祖母「は?なってないよ。私は脳梗塞しかしてない。」
僕 「なってないか、そうか。」

祖母お得意の話のすり替えで、なぜか乳がんから脳梗塞の話になったものの、父が僕に何を伝えようとしていたのかわかった。

悲しいことだが、祖母の頭の中には乳がんの記憶がないらしい。

その日の午前中、父が祖母が現在加入している保険の内容を保険屋に確認しに行った。そこで聞いた話(どの保険がどの病気に適応される)を祖母に共有した際、上述のやりとりがあったとのこと。

認知症で物事を忘れていくのは慣れたつもりだったが、今回の件については正直ショックだった。祖母が脳梗塞を患ったのは20年以上前、乳がんは10年以上前、これらの闘病経験は祖母自身の人生を説明する上で重要な出来事だったのに、まさか乳がんの記憶のみ忘れるとは…










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