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スタートアップのCOOと、上場企業のCOO。

スタートアップのCOOは、何でも屋さん。
制度も出来上がってないし、体制も酷い。
そんななかで、日々、新しい問題が出てくる。そうしたものに、適宜対応していく役割を担う。
そもそも、事業内容も不明瞭な状態でアレコレちょっとやってみて、ダメならサクッとピボットしたりするわけなので、やることがコロコロ変わる。
柔軟性と行動力が大切。
知らない領域でも平均点以上を取ることが求められる。(ここで、80点以上を出し続けられれば、超優秀に分類される。)

一方、事業の方向性が固まり、社員も増えて体制が整い、制度設計も見えてくると、COOは「事業運営」の核となる。
最も分かりやすいタイミングは、上場。事業の方向性が固まって、バックオフィス機能がしっかり整っていないと、IPOの審査プロセスに耐えられない。
スタートアップ期のCOOが担当していたことの大半は、管理本部長が担当してくれる。経理財務は早いタイミングから専門職がいるケースが多いけれど、法務とか人事とか総務とかの機能は、初期段階ではCOOが持つことになる。そうしたものが切り離されて管理本部に集約されることで、COOは「事業」に集中できる。
もちろん、どういうビジネスモデルで事業を推進しているかによって、事業の核となる部分は変わる。営業なのか、プロジェクトデリバリーなのか、プロダクト開発なのか。ただ、その核の部分と、その周辺領域をバランス良く管理運営していくことが、COOに求められる。

少し視点を変えて表現すると、「スタートアップにおいても、COOが事業運営の核なのだけど、その時点では事業そのものがフワフワしてるから、守備範囲もフワフワしてしまう」とも言える。こっちの方が、より正確かもしれない。

草野球チームで言えば、スタートアップのCOOは、「日程調整」「グラウンドの予約」なんかをした上で、「当日のメンバーの集まり具合に合わせて、空きポジョンを自ら担当」という感じ。流石にピッチャーとか4番を任せる人がいないと試合が成立しないので、そこは創業メンバーで固定されてるはずだけど、その他のポジションは、助っ人を呼んできたりしてる状態。だから日によって、外野を守ったり、サードを守ったりする。
会社が大きくなると、日程調整やグラウンドの予約は、総務がやってくれる。メンバーのスケジュール確認や、有望な人材のリクルーティングは、人事が中心になって進めてくれる。外野やサードなどの各ポジションにそれぞれ適切なタレントが配置されているから、試合に出る必要もなくなる。つまり、COOは、監督やGMという位置付けを担うことになる。

当然ながら「さぁ、今、この瞬間に全ての必要機能が出揃ったから、COOは今日からGMをやってください!」とはならない。
事業の方向性とか、採用の進み方とか、売上や収益の安定度合いとか、そういったさまじまなものが、それぞれ少しずつ色合いが変わっていくグラデーションのなかで、徐々に役割をシフトしていく必要がある。
このタイミングを見誤ると、会社組織が空中分解してしまうリスクがある。

そう考えると、ある程度、事業の方向性が固まり、会社としての制度や体制が見えてきたら、COOを外部から雇う、という考え方に、一定の妥当性が見えてくる。
自社のビジネスモデルに合わせて、求められる経験やスキルを見極める必要があるけれど、そこをしっかりと見極められれば、むしろ外部人材の方が、制約や常識にとらわれずに円滑な事業運営を推進してくれるのかもしれない。

まだまだ、断言できるほどの確信はないのだけれど、なんとなく、業種業態も成長ステージもバラバラのいくつかの会社を、遠近さまざまな距離から眺め続けてきたこの15年ほどの印象をまとめると、こんな感じになる。

また、そのうち、アップデートしたい。
(なんとなく、3-5年後くらいかなぁ。)

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