課題によってやる気を引き出す教員は要らない

今年も更に不登校が増えたというニュースが報じられている。

不登校の一番の原因は『やる気が出ない』ことだそうだ。

教員らは、子どもたちにやる気を出させるために日々工夫を凝らしている。

少し頑張れば達成できそうな課題を設定して、スモールステップを意図的に作り出すことで子どものモチベーションを引き出そうとしたり、
子どもの極々軽微な成長を見逃さずに称賛することで自信をつけさせたりするなど、あの手この手と繰り出している状況だ。

これは、指導のテクニックとしては正解だ。

しかし、子どものモチベーションの根源は、課題が達成できそうか、できなさそうか、などという打算的なものではない。

やる気の源はとても単純で
『自分の好きな人を喜ばせたい』
ただそれだけである。

自分の家族や友達、先生が自分の成長を喜んでくれるというのが子どものモチベーションの根源なのだ。

このことから考えると
『やる気が出ない』ことの根本原因は、人間関係が希薄になってしまったことではないだろうか。

それは友達関係だけでなく、家族や教員との関係も例外ではない。

子どもはデジタルデバイスに相手をしてもらう時間が増えたことで、家族や友達とのコミュニケーションが減り、
多忙な教員や、力量不足の教員は子どもに向き合う時間が減り、半ば諦めの境地と言った所であろう。

だから、子どもたちは自分の頑張りや成果を見て喜んで欲しい、認めて欲しいと思うような対象が身近にいないのである。

認めてもらえないのではない。
喜ばせたい人がおらず、そもそもの頑張る目的を失ってしまっているのだ。

そんな状況でも頑張れる者は大人でも少ないだろう。
それができるのは余程ストイックな人間だけだ。

そんな子どもたちに教員ができることは、まず第一に、子どもたちにとって大切で、喜ばせたいと思える存在になることである。

単純に子どもに慕われ信頼される存在になることなのだ。

だがこれができないのである。
どうしたら信頼関係が築けるのかがわからないのだ。

このことから、教員が子どもと信頼関係を築けないことが、昨今の不登校児童生徒の増加の原因の一つであることは間違いない。
そして、それは現代の教員が希薄な人間関係の中で育ってきたことの副作用でもある。

そして、これは教員と保護者との希薄さにもつながっている。
『子どもの成長』という重要かつ困難な責務に対して、教員と保護者に堅固な協力関係がなくては上手く行くはずがない。

更に言うと、教員同士の人間関係や校内の業務についても同じことが言える。

すべては、教員の人間関係に対する考え方が粗末であるからなのだ。

子どもたちへの課題を工夫する前に、自分の身近な人々との人間関係について見直すことが、この問題の解決への第一歩であろう。

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