「kotoba」という雑誌の「マンガの現在」特集に寄稿しました
集英社インターナショナルさんからお話を頂きまして「kotoba」という季刊誌に少しページをいただきました。
記念の50号はマンガ特集、しかも「今の」という枕詞がついた「マンガの現在」。
そんな企画にお呼びいただきまして大変嬉しくもありがたいです。
まあ僕のことなんていいんですが、そもそも「マンガの現在」っていう特集の表紙がアイヌを描いた歴史漫画!歴史漫画なのになぜ今っぽいのかは読んでる人なら知っている歴史に被せた現代的パロディや、何よりこの少女アシリパがこれまでのマンガの文脈が積み上げた主人公を食っていく存在であり、これまでのマンガの文脈からアップデートされたアイコンらしさ、キャラらしさを排除したキャラクターであるというのがこの特集に対してとてもいいチョイスだなあと思うのです…というとんでもないマンガの歴史に残る作品「ゴールデンカムイ」を描かれた野田サトル先生から始まり、スポーツマンガのリアリズムとしかしマンガとしてのデフォルメを忘れない、現代スポーツ漫画の最前線、W杯さえも味方につけて(世間的にはアオアシとの関連性が語られがちでしたが、自分はどちらかといえば「ジャイアントキリング」の椿大介と三笘選手との類似性をめっちゃ感じて…若くて泣き虫のスピードスターなんてほぼ同じキャラじゃないですか…ですが全然誰も言ってなくてなんで!?ってなった話は横に置いて)突き進む「アオアシ」の小林有吾先生、そして大変お世話になりました、ゲーム会社出身がゆえ、真面目にマンガというものに向き合って分析して売れるものを描こう!と始めたらとんでもなくアーティスティックで唯一無二な「メイドインアビス」を誕生させたつくしあきひと先生、そして赤松健先生があの「ラブひな」の話を……全然してなくてガッツリ政治の話をしてくれてます。でもその角度がまさにマンガの現在!
ということで、めっちゃ面白い1冊となっておりますので関係各位、ここでいう関係各位とはマンガが好き、も含めてのマンガ関係者ですが、よろしければお買い上げの上ご覧いただければ幸いです。
個人的には「さようなら、ギャングたち」に大いに影響を受けて育ったもので、高橋源一郎先生と同じ紙面に載る日が来るとは…と過去の自分に教えてやりたい系の感慨に包まれております。
さてさて、最前線のマンガ家さんたちのプロダクトに寄り添ったインタビューもそうですが、マンガの現在ということで、僕が呼ばれたくらいだから電子書籍から海外事情などマーケティングやセールス方面の話題も盛りだくさん。
どうしても作品や作家さんメインになりがちの、この切り口で半分をバックヤードに割いた編集部さん、すごいですね。
でもそうなんです!
本文でも少し触れましたが、マンガはやはりビジネスと共にあり、大きくなっていったもの。
マンガを資本主義に落とし込む人間たちの努力の数々、この機会に見ていってください!