催眠術にかかった話
小学2年から5年まで書道を習っていた。
The昭和人間なので、
そろばん・お習字・スイミングスクールと
お約束の習い事は一通り経験済み。
で、その習字の時間にすごく不思議な体験をした話。
習字は週1回、毎週土曜日の昼から
1時間程度?だったと思う。
当時は小学校も土曜日は半日授業で
家に帰って昼ごはん食べて、徒歩20分ほどかけて
教室へ。
高田先生という
たぶん60〜70歳くらいの男性で
僕達にジョークを言って笑わせる優しい
人だったと記憶している。
教室には小学校低学年から高学年まで約10名程度。
一部屋に集まり、年齢に関係なく、
それぞれが与えられた課題を練習し
書けたら先生に見せにいく。
修正箇所を先生が上から赤い墨で訂正し、
また練習…の繰り返し。
まぁそんな変化のない習字教室で
ある日、先生が
「今から君たちの誰もが絶対に読めない漢字を
書きます。」
「もし、一人でも読むことができたら今日の授業は
ここまでにします!」 と言った。
別にイヤイヤ教室に通っている訳ではないが
早く終わるとなればそこは小学生魂に
火が付くわけで…
全員が、ヤッター!絶対読むぜ! みたいな
モードになったのは言うまでもない。
僕だって読書好きだし漢字は知っているほうだと
自負していた。
そして先生が半紙に漢字一文字を書き
みんなに見せた!
そこに書かれた漢字は 羊 だった。
それを見た全員が ん? なんやこの漢字?
こんな漢字ある? わからん…わからん…
結局降参となり、先生ニンマリ。
そして先生が
「では答えを言いますよ〜」と言った次の瞬間
手をパーンとかしわ手を打ったのだ。
急な動作に僕はビクッとした。
「答えは ひつじ です。」
次の瞬間、みんなが
「そうや!ひつじや!」
「えー知ってるのに! 何でや?」
書道の先生特有の崩した字や
イラスト化したような字ではなく
しっかりと 羊 という漢字を書いていたのに
僕達は誰も読めなかったのだ!
集団催眠にかかったのか?
高田先生は何者だったのか?
いまだになぜ読めなかったのか答えがでない。
すごく不思議な経験だった。