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何がしたいか分からず、生きがいややりがいを感じない人へ【坊さん日記005】

何がしたいか分からない方や、日々に生きがいややりがいを感じない方もおられるでしょう。

「何のために生きているのか?」「何のために日々を過ごしているのか?」私も自分にそう問いかける時があります。皆さんはいかがでしょうか?

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この問いに対し、一応自分なりの答えを口にすることはできます。

私は僧侶なので、「仏教やお寺をもっと身近に感じていただきたい」と思い、色々な活動をおこなっています。これが志であり、使命とも思っています。

それは間違いないのですが、なぜそう思うのか?と理由を考えてみると、説明し尽くせないところがあります。そして思うのは、その説明し尽くせない部分がかなり大切であるということです。

私は自分自身、僧侶になろうと決意して僧侶になりました。しかし、父が僧侶であり、お寺と関りがあったことの影響はありますし、そうでないと僧侶にはなっていなかったし、なる機会もなかったと思います。

また、日本に生まれたこと、今の時代に生まれたことも影響があるはずです。古代のヨーロッパに生まれていたら、アフリカに生まれていたら、僧侶にはなっていないでしょうし、今のように「仏教やお寺をもっと身近に感じていただきたい」と思ったり、活動もしていないでしょう。

我々は生まれや育ってきた環境、受けた教育、立場や状況などの様々な影響を受けています。自分が意思決定をしたり、道を選んでいるようで、実はその意思決定にも、多くの影響がはたらいています。

今この時代の、この国の、この家族に生まれ、どういうものに出あったかということを抜きにしては自分という存在は語れません。

これをご縁といい、自分が今ここにいることや、日々送っている生活は、自分がこうしたいという意志もありつつも、自分の意志以外のご縁による影響が大きいのですね。

そうすると「自分が何をしたいのか?」「どんなことに生きがいややりがいを感じるのか?」について考える時にも、ご縁を抜きにして考えると一部分しか見えていないことになります。

私もそうで、生きがいややりがいを、自分の内側ばかりに答えを求めた時は、かえって分からなくなり、行先の分からない迷ってしまう自分をだめだと思ってしまうことがありました。

ご縁のことを抜きにして、やりたいことや生きがいを自分の内側ばかりに求めて探してしまうと、結局見つからず、自分探しの迷子になったり、行き詰まることも多いのですね。

私が、なぜ僧侶になったのかや、「仏教やお寺をもっと身近に感じていただきたい」となぜ思い、そうした活動をしているのか問われた時に、自分の内側だけみて、自分の意志を中心に話をすることもできます。

私が僧侶になったのは、自分自身が仏教に出遇って、その価値観に共感したり、救われたと思ったからです。

だからこそ、必要としている方に、その良さや価値をお伝えできればと思い、活動をしています。自分が良いと思ったから僧侶となり、僧侶となって必要とする方にお伝えをしたいということが、志や使命となっています。

このように、自分の内側を見て、自分の意志を中心にして説明はできますし、これらは決して嘘ではありません。しかし、自分自身としては、それは理由の一部であり、全く説明し尽くしているとは思えないのです。

つまり、自分が僧侶になろうと意志決定をしたわけですが、僧侶になったのは、父母の思いがはたらいていて、それより以前の祖父母やお寺にたずさわる方々、または私が預かる信行寺にご縁のある方々の存在が大きいわけです。

信行寺は、400年続いてきていますし、浄土真宗はもっと以前から、仏教はさらにその以前からあり、命がけでそれを伝えてくださった方がいます。

私はたまたまご縁があって、父の代の時に信行寺に入ることになり、そこから人生も変わりました。そして、僧侶になるかどうかとは別に、人間として育ててくれた多くの方の存在もあります。

こうした様々な要素が重なりあって、僧侶というところに落ち着いているわけで、その中で自分なりの役割を見出し、志や使命となって活動をしているといったほうがしっくりくるのですね。


自分の意志は勿論大事ですが、ちょっと近視眼的すぎて、それだけでは全く説明しきれている感じがしない。

もっと大きなご縁というはたらきの中で、自分が育まれている、生かされている。やはりそう思うのですね。

そして、そのご縁ある方々一人一人の思いは想像しきれませんし、説明し尽くせません。とてもじゃないが語れない。

そして、その説明し尽くせない部分、ご縁ともいうべき部分が実は大切であると思うのです。

では、生きがいややりがいを見つける時に、どうすればよいでしょうか?

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