生きる意味を仏教から考える。やりがい、生きがい編
皆さん、こんにちは。
浄土真宗本願寺派の僧侶、神崎修生です。
最初に質問です。
「あなたの本当にしたいことは何でしょうか?」
本当にしたいことが見つかり、やりがいや生きがいをもって日々が生きられれば、人生は充実したものになるでしょう。
やりがいや生きがいは、人生を豊かにも幸せにもします。
今回は、「生きる意味を仏教から考える。やりがい、生きがい編」と題して、「自分が、本当にしたいことは何だろうか?」という問いから、生きる意味について考えてみたいと思います。
生きる意味について、色々な角度から考えることもできますし、また色々な答えもあることでしょう。やりがいや生きがいだけが、生きる意味ではないことは前提におきながら、話をさせていただきます。
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時間の有限性
生きる意味について考える時に、おさえておくとよいキーワードの一つが、時間の有限性です。
人は必ず亡くなるということであり、健康な状態がいつまでも続くわけでもないということです。これは決して、ネガティブに考えているのではなく、時間は有限であることを現実として認識し、前提として生きるということです。
お釈迦様の言葉に、このような言葉があります。
諸々のことがらは 過ぎ去っていく。
怠ることなく 勤め励みなさい。
『大パリニッバーナ経』第6-7
ものごとには発生と消滅とがあることを理解せずに100年生きるよりも、
ものごとの発生と消滅とがあることを理解して1日生きるほうがすぐれている。
『ダンマパダ』113
ものごとは常に移り変わっていくという諸行無常のことわりについて、しっかりと理解し、認識することの大切さ、そして、時間の有限性を前提にして、日々励むことの重要性について語られている言葉かと思います。
時間が有限であることは、誰しもが頭では理解していることです。しかし、それが本当に腹おちして頷けるかというと、そうばかりでもないでしょう。
若くて健康な時には、自分が亡くなったり、病気になるなんて実感がわかないですし、また、考えたくもない場合もあるでしょう。死にたくないし、病気にもなりたくないのは、人の素直な感情です。
また、時間の有限性については、一生懸命理解しようとするという類いのものでもありません。私は死ぬ、私は病気になると、自分に言い聞かせると、気持ちが滅入りますよね。
基本的には、無理をせず、時間をかけながら年を重ねながら、自然と受け容れられてくるものです。
とはいえ、本当は若い時から、時間の有限性を意識して生きたかったと思われる方もいるでしょう。時間の有限性が感じられるからこそ、生きている実感がわいたり、頑張れたりもします。
お釈迦様の言葉からも、時間の有限性を意識して生きることや、日々を大切に生きることの大切さは伝わってきます。
では、どのようにすれば、時間の有限性を無理をせず感じながら、日々、やりがいや生きがいをもって生きるようになれるのでしょうか?
「自分が、本当にしたいことは何だろうか?」と問い続ける
時間の有限性を意識して、やりがいや生きがいをもって生きるために、私はこのように問い続け、考え続けることが良いと思います。
その問いが、前述した「自分が、本当にしたいことは何だろうか?」というものです。
「自分が、本当にしたいことは何だろうか?」と問い、考え続けることで、時間の有限性に意識が向いていきます。
どういうことかというと、この「本当にしたいこと」という「本当に」の言葉の中に、「自分が最もしたいことは何だろうか?」というように思考の制限がうまれ、必然的に、今したいことであったり、人生でしたいことであったり、時間に対して意識が向いていくということです。
「自分がしたいことは何か?」という問いであれば、あれが食べたいとか、あれがしたいとか、いくつかすぐに思いつくと思うのですが、「自分が本当にしたいことは何か?」と問われると、答えるのが結構難しいものです。
また、「自分が、本当にしたいことは何だろうか?」という問いは、「やりがいや生きがいとは何か?」という問いにもつながるものです。
このように、時間の有限性を意識して、やりがいや生きがいをもって生きるためには、「自分が、本当にしたいことは何だろうか?」と問い続け、考え続けることが良いと考えます。
やりがいや生きがいをもって生きていくことは、人生を豊かにも幸せにもします。
逆に、やりがいや生きがいを中々実感できないと、虚しい気持ちがわいてきます。虚しい気持ちをそのままにしたり、気付かないふりをして過ごすこともありますが、ずっと満たされないままです。
虚しさは誰でも感じることがあり、虚しく感じる状態の時は、中々幸せだとは感じられません。
「自分が、本当にしたいことは何だろうか?」と問い続け、考え続けることは、とても大切なことだと思います。
漠然と時間が過ぎていき、気付いてみたら年を重ね、何のために生きてきたのだろうかという嘆きを、僧侶という立場から伺うことが何度もありました。
ここから、我々は大切なことを教えられているように思います。
やりがいや生きがいのない人生を否定しているのではありません。それが見いだせない場合も勿論あるでしょう。ただし、やりがいや生きがいがあることで、それぞれの人生がより豊かにも幸せにもなります。
人との比較ではありません。それぞれの人生においての話です。
有限な時間を、どのように過ごしていくのか。
諸々のことがらは 過ぎ去っていく。
怠ることなく 勤め励みなさい。
お釈迦様の言葉が思い起こされます。
人生について考える習慣をつくる
日常の慌ただしい中では、立ち止まってゆっくりと考える機会はあまりないかもしれません。
仕事や育児や介護など、日々のやるべきことに追われ、あっという間に時間は過ぎ去っていきます。
ちょっとした時間でもいいと思うので、「自分が、本当にしたいことは何だろうか?」という問いについて考える時間を、日常の中にもってみませんか?
ちなみに、スティーブ・ジョブスは、毎朝この問いについて、考えていたそうです。ご存じの方もおられるかと思いますが、ジョブスの言葉を紹介致します。
私は毎朝、鏡に向かって「もし今日が自分の最後の日だとすれば、今日しようと思っていることが、本当にしたいことだろうか?」と自問するようにしている。
もし、その答えが「ノー」だという日が何日も何日も続くようであれば、何かを変える必要があると思うわけだ。
このように、毎日問い続けられるといいですし、一週間に一回でも、二週間に一回でも、一ヶ月に一回でも、「自分が、本当にしたいことは何だろうか?」と考える機会をつくれると素晴らしいと思います。
人生について考える時間を生活の中にもち、習慣化してみませんか?
でも実は、習慣化していくということは、難しいことでもあります。その時はやろうと思っても、段々と熱がさめたり、他の用事があったりして、継続が難しいものだからです。
ダイエットなども、自分一人では中々続きませんよね。
習慣化するコツは、一緒に取り組む仲間や機会をつくることです。
ちなみに、私が勤める信行寺では、二週間に一度、心身の健康をテーマにした、朝7時から30分間のオンライン朝会(ヘルシーテンプル)をおこなっています。そのうちの10分間、人生について参加者の皆さんと一緒に考える時間を設けています。
毎回、色々な角度からの問いを設け、人生について考えていきます。そこで、答えを出すわけではなく、二週間毎に人生について考える習慣をつくるという感覚です。
(オンライン朝会は、どなたでもご参加いただけますので、宜しければご活用ください)
また、人生の意味について考えるような文章や動画を、オンライン寺院 信行寺でも定期的に配信しております。これも、人生について考える習慣の一つのきっかけになればと思い、おこなっているものです。
(各SNSのフォローやYoutubeのチャンネル登録などもいただければ、更新情報が届きますので、宜しければご活用ください)
人生は有限です。わずかなことでもいいので、自分のやりがいや生きがいが見つかり、心豊かで幸せな時間が過ごせるといいですね。
今回は、「生きる意味を仏教から考える。やりがい、生きがい編」と題して、「自分が、本当にしたいことは何だろうか?」という問いから、生きる意味について考えてみました。
また、人生の豊かさは、掴んでいくという主体的なものだけではなく、生かされているという大きな流れとつながりの中にあることに気付かされていく中で、深まっていくという受動的な側面もあるかと思います。
別の機会に、別の角度から、生きる意味について考えてみたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございます。
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合掌
浄土真宗本願寺派 教證山信行寺
神崎修生
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