2024年冬ドラマ『不適切にもほどがある』を観ました。宮藤官九郎作品を観たのは『いだてん』と幕末を舞台とした単発ドラマ『いちげき』以来です。
解説
1986年(昭和61年)東京、中学校教師・小川市郎(阿部サダヲ)は生徒への体罰を辞さない熱血ぶりを見せていましたが家庭では娘・純子(河合優実)の非行に頭を抱えていました。
ある日、市郎は学校の帰り、バスに乗って居眠りします。目覚めたら不思議な光景を目の当たりにします。
それは2024年(令和6年)の東京でした。彼は38年後の世界(未来)にタイムスリップし混乱します。市郎は想像もしなかった未来で様々な人と出会い、時代の変化に戸惑いながら昭和(1980年代)の価値観で閉塞感漂う21世紀日本を斬り込む展開を見せます。
感想
時代物、タイムスリップに興味を持つ私としては観ようと感じた作品でした。1980年代(昭和末期)と2020年代(令和)の違いを表すだけでなく、どの時代にも共通する不条理さを伝えています(現在放送中の『光る君へ』『虎に翼』にも言えます)。
また同時期に放送開始された『光る君へ』出演者(吉田羊、ロバート秋山竜次、ファーストサマーウイカ等)が当作品に出演したり、宮藤官九郎作品としては初出演の八嶋智人が本人役で登場し情報番組司会の代役を務めたり演劇出身者ならではの演技を披露し、松村雄基や小泉今日子も本人役として登場しました。
特に吉田羊演じるフェミニスト・向井サカエは息子キヨシと共に1986年にタイムスリップし市郎の中学校に来ますが教職員の校内喫煙等昭和後期では当然の行為に苦情を訴えたりします。21世紀日本に生きるサカエとしては当然の主張ですが1980年代後半(昭和末期)の教職員から見れば口うるさい保護者にしか映りません。そんな母に嫌気を差したのがキヨシでした。
先程触れましたが丁度その頃、吉田羊は『光る君へ』で息子・一条天皇に厳しく口出しする藤原詮子(ふじわら の あきこ)を演じています。つまり同時期、時代や立場が異なるとも自分の子供を苦しめる「毒親」を演じていることになります。
重要な場面がミュージカル仕立てになっているのが特徴で社会情勢を鮮明に伝えています。
※ 2024. 5. 1 追記
※ 2024. 11. 1 追記