
原価を知って本の本質的な価値を知ろう
目安時間:5分
当記事は、ビジネスや就活で役立つコンテンツを5分程度で読めて、直ぐに実践できるをコンセプトにTHEProfessional運営メンバーが執筆したものです。
皆さんはこんな経験をしたことがありませんか?
「この本は値段も高いからきっといい本に違いない!」
買ってみると・・・
「内容薄すぎ!!!高いだけやん!!」
実は私もあります。w
デューク大学マーケティング学科のカーマン助教授は研究によって、高い値段をつけることが消費者の商品への期待値を高めるという消費者心理の存在を証明しています。
博士が220名の女性の被験者にいくつかの靴を見せてその品質の評価をしてもらったところ、作るまでにかかったコストが高ければ高い靴ほど女性たちの評価が高くなったのです。
(これまでに支払ったコストに気を取られて、正常な判断ができなくなるサンクコスト効果(コンコルド効果)に通ずるところがありますね。)
サンクコスト効果について詳しくはこちら(※順次公開予定)
つまり私たちは、作る過程で発生した労力や、使われた費用の大きさを無意識に想像して見積もることで、物事の品質に対する評価を変えてしまう心理バイヤスを持っているのです。
私たちはこうした消費者としてのバイヤスをいくつも抱えながら、日々ものを買っている訳です。
話を戻しましょう。
このような中でバイアスがかかった状態で正しく本を選ぶことは難しいと思われがちです。
今回は「数字は嘘をつかない」という言葉になぞって、
本の原価率を知ることで、自分の求める内容の本質的な価値(値段)をみていきましょう。
本の原価費は?
いよいよ本の原価を見ていきます。
・編集者の人件費
・本のデザイン費(カバーデザイン、本文デザイン)
・DTP費(印刷するための専用アプリにデータを変換し、調整する費用)
・校閲費(てにをは、文章の修正。内容の確認をしてもらう必要)
・イラスト費(イラストが入る場合のみ)
・印刷代
・用紙代
などが原価費の要素になります。
では、質問です。
これらの費用で一番コストがかかっているのはどこだと思いますか?
正解は、
印紙・用紙代です。
(原価費全体の約45%を占めています。)
そして、読者が本に求めているのは(一般的には)本の内容とすれば、この構成要素の中で本の内容を良くする要因となるのは、
編集者の人件費と校閲費(と印税を含めても)で、
原価費のわずか ”30%” に過ぎません。
さらに定価から考えると、本の原価は約75%で残りが本を置く書店の売上になるので、
例えば、1500円の本があるとすると、
書店売上:1500円×25%=375円/冊
原価:1500円×75%=1125円/冊
→原価の1125円のうち本の内容を左右するのが、30%なので、
1125円×30%=337.5円/冊
が読者の求める内容の本質的な価値です。
(全体×75%×30%=22.5%=本の内容の本質的な価値)
ご覧の通り、値段を構成する要素のうち、ほんの22%ほどしか自分が求める内容を作るのにコストがかかっていないことがよくわかります。
まとめ
ここまで本の原価の内訳を見てきましたが、いかに私たちが求める内容には費用がかけられていないことがわかっていただけたかと思います。
しかしだからと言って、本そのものの価値が低いわけではなく、有用性に変わりはありません。
むしろその逆で、
1500円の本であれば、我々が本来求める内容の価値(337.5円)以外の部分(1162.5円)に対して目を向けることで、その分を取り返す気持ちで、
買った本を細部までしっかり読もうと思える動機付けになると思います。
(ちなみにこれがサンクコスト効果でもあるわけですw)
ぜひ参考にして見てください。
この記事はビジネスの基礎力を身に着ける、外コン/外銀/ベンチャー/企業を目指す若者向けのコミュニティ、The Professional運営が書いたものです。
URL:https://www.professional2020.work/
Twitter:https://twitter.com/the_pro2020
Facebook:https://www.facebook.com/The-Professional-106079614341895/?modal=admin_todo_tour
執筆担当 樋口
THE Professional 運営
福岡出身。趣味は釣りとバスケとカラオケ。
EC領域での採用業務経験あり。将来的には都会の喧騒から抜け出し、田舎で小洒落なカフェを開いて隠居したい若者。