郷土玩具蒐集家・須知善一のコレクションが見られる本
先日、『満州を駆け抜けた男 須知善一』市道和豊(室町書房, 2010年)を読み終わった。この本は、昭和前期に満州を中心に郷土玩具を、昭和後期には煙草に関する物を蒐集していた実業家・須知善一の生涯を須知が雑誌へ投稿した記事や友人への書簡などの分析を通してえがいた本である。須知は満州で仕事をしながら満州の郷土玩具を蒐集していた。この本によると、須知は終戦後に満州から復帰する際に、郷土玩具のコレクションを持ち帰ってきたとのことだが、このコレクションの一部は民俗学研究者・本山桂川の『満洲北支民芸図選』(国民文化編纂所, 1941年)に載っている。『満洲北支民芸図選』の自序に、「土俗玩具については、在大連の友人須知善一君の多年に亘る蒐集品を基本とし」と書かれている。前述の『満州を駆け抜けた男 須知善一』に収録されている須知の年譜によれば、本山は1939年11月に須知の自宅を訪問している。おそらくこの時に須知のコレクションを見せてもらったのだろう。
余談だが、須知の評伝はこの記事の冒頭で紹介した本以外にも何冊かあるようだが、「日本の古本屋」にもない。これらの本もいつか購入してみたいものである。
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