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宮本常一の発行していた雑誌『口承文学』最終号の目次

 先日、別の資料を調査するついでに以前から気になっていた宮本常一の発行していた雑誌『口承文学』第12号(最終号)を確認してきたので目次を紹介したい。この雑誌は復刻されておらず、発行していた部数(100部程度か?)も少なかったため、所蔵している研究機関もほとんどなく稀覯本になっているが、以下の記事で紹介したように宮本常一『口承文学論集』(田村善次郎編、八坂書房、2014年)に部分的に目次や宮本の文章を収録しているので、どのような雑誌であったのかのアウトラインを知ることができる。以下の記事でも第12号以外の目次を簡単に紹介しておいた。

『口承文学』第12号の書誌情報、目次は以下のようになっている。

口承文学 第12号
印刷    :昭和十一年三月十五日
発行    :昭和十一年三月二十日
編集兼印刷者:山口康男 堺市北向陽町一ノ三一
発行者   :織戸健造 堺市東之町中浜
発行所   :(織戸方)口承文学の会
ページ数  :60項

酒もり塩もり 柳田国男
部落初寄書 櫻田勝徳
白米伝説二つ 山口康男 織戸健造
民俗採集の実際問題(二) 宮本常一
亥の子問題資料的に 小林存
奈良生駒町字谷田の年中餅搗行事について 和泉国夫
我家の正月行事と俗信―陸中花巻中根子― 藤原貞次郎
泉南郡西葛城村旧正月行事 織戸健造
泉南郡東信達村葛畑旧正月行事 山口康男
泉北郡南横山村父鬼の旧正月行事 鈴木東一
亥の日の祭りと火の神 岩倉市郎 ※岩倉から宮本にあてた書簡の抜粋
大和南阿太村記 片岡長治
西能勢村の伝説 水越郁代
和泉の伝説 高松八重
和泉の昔話 宇澤正太郎
既刊「口承文学」総目次

『口承文学』第12号を確認して記載した。

柳田国男が「酒もり塩もり」を投稿しているが、この文章は柳田国男『食物と心臓』(創元社、1940年)に収録されているので読んだことのある方もいらっしゃると思われる。

 『口承文学』で興味深いのは、発行されていた大阪の報告だけでなく全国各地からの事例が紹介、報告されている点である。最終号にも藤原貞次郎が岩手県花巻の事例を報告している。同じ地域で発行されていた横井照秀の雑誌『田舎』も東北地方の投稿者、読者がいたことを以下の記事で紹介したが、関西で発行されていた小さな雑誌が東北地方の研究者、同好者の関心を集めていたのは興味深い。

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