鶴見俊輔『日本の地下水―小さなメディアから』についてのメモ⑥―波が引いた後で
以下の記事でも紹介したように、鶴見俊輔は、ある行動、出来事、思想などをかたちが変わったとしても「保ち続ける」ということを重んじていると私は考えている。最近、鶴見俊輔『日本の地下水―小さなメディアから』(編集グループSURE、2022年)を読み進めているが、鶴見のこの考えをよく表現された文章に出会い印象に残ったので紹介していきたい。
この本に収録されている「デモ学生はどこに行くか―「烽火」」は、1966年の早稲田大学の学費上げ反対闘争に敗北した全学四年生連絡協議会の参加者が発行した『烽火』という同人誌を紹介した文章である。鶴見はこの雑誌を以下のように評価している。
鶴見は、運動や闘争に敗北した後もかたちは違えど同じ問題意識(=権力への抵抗)を持ち続けていることを『烽火』の中に見出している。鶴見は以下のエピソードを引用して「『烽火』は、今日の日本で試みられている重要な実験の場所である」と述べている。
上記のような挫折を乗り越えて権力への抵抗という問題意識をいかに保ち続けるかという課題を引き受ける『烽火』に鶴見は期待を寄せていたのだろう。
<お知らせ>
鶴見俊輔『日本の地下水―小さなメディアから』(編集グループSURE、2022年)の読書会を以下のように開催しますので、ご関心がある方々はご覧覧ください。
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