柳田国男・高木敏雄の『郷土研究』の「紙上問答」中止について
柳田国男・高木敏雄の雑誌『郷土研究』には南方熊楠のアドヴァイスで設けられたとされている「紙上問答」の欄があったが、この欄は途中で廃止されている。この廃止理由は以下のように説明されている。
柳田はこの欄に投稿者が少なくなったことが廃止の理由と説明しているが、これは以下の記事で紹介した南方が『郷土研究』の休刊理由として分析した雑誌に柳田の記事ばかりが載ることによる読者の減少につながっているのだろうか。
ただ、柳田は引き続き『郷土研究』を同好者の交流の場と考えていたようで、「今後も成るたけ盛に読者同士の通信をして貰いたいと思う。それを仲介するのは此雑誌の大切な任務の一つとして居る」と述べている。当初から柳田が掲げていた方針を変えたわけではないようだ。
以下の記事で紹介したように各地域の郷土研究者は自分の地域のことに集中しやすい傾向にあり、柳田はそのことを危惧して研究者名簿を作成したが歓迎されなかったようだ。紙上問答の中止にはこのことも関連していたかもしれない。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートをよろしくお願いいたします。サポートは、研究や調査を進める際に必要な資料、書籍、論文の購入費用にさせていただきます。