山下俊男の『郷土趣味』別冊「白水荘だより」
先日、山下俊男の発行していた『郷土趣味』を紹介したが、この雑誌の第2輯によれば、「白水荘だより」という別冊子があったようだ。第2輯の「白水荘より」では、この「白水荘だより」について以下のように紹介されている。
「白水荘だより」は、『郷土趣味』に掲載しなかった簡単な文章を投稿するための冊子であったことがわかる。特に初期の民俗学関連雑誌に多く投稿されていた資料紹介や報告は「白水荘だより」に掲載されていたようである。
「白水荘だより」が何号まで出ていたかどうかは不明だが、私の方で九・十月号の1冊を確認することができたので、以下に書誌情報を紹介しておきたい。発行日から上記の記事で紹介した第3輯の後に発行されたことがわかる。
予告では第4輯の目次は以下のようになっている。
予告が出ているので第4輯も発行されたようにみえるが、実際は発行されていないと考えられる。以下の記事で紹介したように、後に『郷土趣味』は、加賀紫水の発行していた『土の香』と合同したが、『土の香』第19巻第1号には、上記の予告に登場した市橋鐸「小野木鉦三翁覚書―軽輩の見たる幕末挿話―」、吉川芳秋「高野長英と名古屋の人々」が掲載されている。また、第19巻第5号に安藤直太朗「尾張に於ける日本武尊に関する伝説(補遺)」が掲載されており、上記の予告中の安藤の文章と標題は異なっているが、同じテーマの文章である。
したがって、『土の香』が『郷土趣味』第4輯に掲載されるはずであった原稿を引き継いでいるため、『郷土趣味』第4輯は発行されなかったと言えるだろう。そして、最初に引用した記事の中で推測したように、『郷土趣味』は第3輯まで発行された後に『土の香』に合同したということになる。
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