京都の趣味団体・洛葉会にも所属していた?民俗学研究者・日野巌―WATANABE様「日野巌の年譜」『みやざき民俗』第73号を読んで
以下のウェブページで紹介されているが、『みやざき民俗』第73号(宮崎民俗学会、2023年3月)が発行された。この雑誌にWATANABE様が「日野巌の年譜―民俗研究を中心に―」を投稿している。この文章は、民俗学研究者としての面を中心に日野巌の生涯や仕事を紹介したものである。今まで日野は妖怪研究の先行者として知られていた(注1)が、それ以外の面はほとんど知られていなかった。WATANABE様は日野の出生から晩年までを調査されておりnoteにまとめられていたが、それを論文化した形になるだろう。
また、この論文には日野の民俗関連文献リストが付属しており、日野がどのようなテーマの文章を執筆して、どのような雑誌に投稿していたのかを確認することができる。拙noteでも日野の投稿について、たとえば以下の記事で紹介しているが、私もいくつかの日野の投稿していた雑誌についてささやかながら情報提供を行わせていただいた。関心のある方々はぜひ読んでみて欲しい。
ところで、WATANABE様もこの論文の註釈で紹介されているが、日野には郷土玩具蒐集家・趣味人としての一面もあった。このことは以下のように拙noteでも紹介したことがある。今回、新しく日野が京都の趣味団体・洛葉会の発行した『蒐集家名簿』(洛葉会、昭和5年)の宮崎県の項に掲載されていることを確認したので以下に引用してみたい。
神仏御影守札、古代版画、郷土玩具、楊枝入、初期独逸語文献、古暦書
宮崎市宮崎高等農林学校
日野巌
蒐集分野は上記で紹介した『和漢楽(わからん)』の記述とほぼ同じである。名簿に載っていることから日野は洛葉会に所属していたように思われるが、具体的な交流が知りたいところだ。
(注1)たとえば、伊藤慎吾・氷厘亭氷泉編『列伝体 妖怪学前史』(勉誠出版、2021年)では日野巌が妖怪学の先行者として紹介されている。この本は以下のように拙noteでも度々紹介している。
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