幻に終わった加賀紫水の『土の香』復刻計画ー運命の分かれ道
先日、『伊那民俗研究』第30号(柳田国男記念伊那民俗学研究所、2023年3月)を購入した。その中で私が特に関心を持った論文は伊藤正英「民俗雑誌『設楽』をめぐる人々―『夏目一平日記』(早川孝太郎関係抄)を中心に―」という民俗学関連の雑誌、郷土研究者の資料が論じられたものである。この論文の註14に拙noteでも度々紹介している加賀紫水の『土の香』についての興味深い情報があったので、以下に引用してみたい。
『土の香』復刻は樹林社・人間舎が進めており、10年前に柳田国男も投稿していた『土の香』第9巻が第1回の配本として出版された。上記によれば、これ以前にも『土の香』の復刻計画があったが、完本ではなかったため計画が『設楽』の復刻に変更されたという。かつて地域で発行されていた民俗学関係雑誌の復刻ブームがあったが、『設楽』はその流れに乗り、『土の香』は乗ることができなかった。当時『土の香』が復刻されていれば、現在のような幻の雑誌にならなかったであろう。
ここからは宣伝になってしまうが、この『土の香』の総目次を作成して解題、索引とともに調査趣味誌『深夜の調べ』第1号に投稿した。この雑誌を11/11(土)に行われる文学フリマ東京に出展をさせていただく。詳細は以下の記事で紹介しているので、関心のある方はぜひお立ち寄りください。(ちなみに『深夜の調べ』は部数が限られていますが、Webでも販売しています。)
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