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旅行雑誌『遊覧と名物』の編集者・石川喜四雄について

 以前以下の記事で旅行、蒐集趣味をテーマにした雑誌『遊覧と名物』を紹介したが、この雑誌の編集兼発行人は石川喜四雄という人物である。『郷土玩具文献解題』川口栄三(郷土玩具研究会、1966年)によると、『遊覧と名物』の前身である『名物及特産』、『趣味と名物』の編集も行っていたようだ。

石川に関して、上記の記事を投稿した際に少し調べてみたが、『昭和前期蒐書家リスト 趣味人・在野研究者・学者4500人』(編集:トム・リバーフィールド、監修・解説:書物蔵, 2019年)にも記載されておらず、よく分からなかったのでしばらくそのままにしておいた。しかしながら、先日、以下の記事で紹介した京都の趣味団体である洛葉会の発行した『全国蒐集家名簿』を見直していた際に、石川がこの名簿に載っていることに気が付いた。(たまにあることだが、灯台元暗しだ。)石川のことは以下のように紹介されている。

陶器製木製名物容器、鼠に関するもの、土俗玩具 大阪市田中町五ノ五(遊覧と名物主刊) 石川喜四雄

石川は郷土玩具の蒐集家であったようだ。『遊覧と名物』などの発行は石川の趣味の延長線上であったのだろう。しかしながら、石川についてこれ以上のことは現状分からないままなので引き続き調査が必要である。

 また、上記の記述から『遊覧と名物』が『全国蒐集家名簿』が発行された1927年2月ごろまで発行されていたことが分かった。この雑誌はいつまで継続していたか不明であるが、あらためて調べてみると大阪府立中之島図書館に7巻6号(1928年6月)が所蔵されていることが分かった。少なくとも終刊したのはこの号かもしくはそれ以降ということになる。

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