「土の香の思ひ出」柳田国男に関するメモ
先日、柳田国男の「土の香の思ひ出」という文章を読み直す機会があった。この文章は楳垣実編『加賀紫水翁記念誌』(蝸牛工房、1951年)に掲載された加賀紫水や彼の編集していた雑誌『土の香』のことを回想した文章である。(注1)なお、この文章は礫川全次さんのブログの以下の記事からも閲覧できる。
以下に興味深い部分を引用してみたい。
柳田がこの文章を執筆したのは晩年であるが、上記の引用部分で太字にした箇所は自分の学問人生を振り返ってのことばであると思われる。柳田は自分の仕事を振り返るときに後悔が多くなることが知られているので、この部分もその傾向があるように思われる。一方で、この文章は柳田が自分の仕事の意図を正しく理解して引き継ぐ人々がいないのではないかと考えていたようにも読むことができる。この時期に柳田が次世代に何を伝えようとして、実際にどのように伝わったのかは他の柳田の文章も読んで検討していく必要があるだろう。
(注1)柳田と加賀の『土の香』の関係に関しては、以下の記事で紹介したことがあるので、こちらを参照して欲しい。
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