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戦後に復刊した雑誌『土の香』を待ち望んでいた人々

 以下の記事で紹介したように加賀紫水の編集していた雑誌『土の香』は1936年に休刊しているが、敗戦した年である1945年に復刊している。復刊した当時『土の香』は休刊になってから復刊まで10年近くの期間が空いているが、『土の香』の復刊を待ち望んでいた人々も多かったようである。

1945年12月に発行された復刊『土の香』第1巻第3号には会員名簿が載っている。この名簿に載っている人物は敗戦後の混乱の中でいちはやく『土の香』の購読を再開した人物であるが、一部の人物を在住地とともに以下に引用してみたい。

東京 柳田国男
東京 宮尾しげを
香川 荒井とみ三
奈良 九十九豊勝
山形 丹野正
岩手 島畑隆治
神奈川 鈴木重光
新潟 川口栄三
酒田 阿部佐太郎
大阪 梅谷紫翠
名古屋 吉田栄一
奈良 高田十郎
京都 田中緑紅
一宮 森徳一郎
足利 中山太郎
壱岐 山口麻太郎
群馬 前田晃
秋田 寺田伝一郎
東京 今野円輔
群馬 上野勇
新潟 青柳秀夫
岡山 桂又三郎
神奈川 斎藤昌三
京都 潁原退蔵

10年近くの休刊、戦後すぐの復刊にも関わらず上記の人々が『土の香』を購読していたことが示すように、『土の香』は当時の民俗学、蒐集趣味関係者の中で愛されていた雑誌であったことが分かるだろう。余談になってしまうかもしれないが、『土の香』の復刊第1巻第1号は敗戦直後の8月30日に発行されているが、この号の加賀の言によると、復刊は前年から準備を進めていたので敗戦後にも関わらずスムーズに発行できたという。

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