雑誌『民俗学』の書誌学的価値
折口信夫が関わっているが、柳田国男は距離を置いたことで知られている雑誌『民俗学』は国会図書館デジコレ(個人配信)で閲覧できる。個人的には、この雑誌の興味深い点は「民俗学関係文献要目」、「学会消息」に当時発行されていて今では稀少な民俗学関連雑誌の目次が載っていることである。たとえば、私が総目次を作成した(注1)加賀紫水の『土の香』、北見継仁さん『知られざる佐渡の郷土史家・蒐集家 青柳秀雄の生涯とその業績』(皓星社、2024年)に総目次が載っている青柳秀雄の『佐渡郷土趣味研究』、拙noteでも紹介したことのある『九州民俗学』と杉山正世の『愛媛県周桑郡郷土研究彙報』などの当時発行されていた多くの雑誌の目次が掲載されている。
この目次は現在では全貌のよく分からない雑誌の一端を知ることができる書誌学的に貴重な資料になっている。また、近年地域で発行されていた稀少な雑誌の総目次の作成が進んでいるが、その際に謄写版で判読が難しい文字について翻字の照合ができる役立つ資料でもある。
他に以下の記事で紹介したような平井蒼太(江戸川乱歩の弟)の『麻尼亜』のような今では民俗学とはみなされないような雑誌の目次も見られるのが興味深い。これは民俗学が「学」としての輪郭があいまいであった時代だからこその特徴であろう。余談だが、この雑誌の総目次は「ざっさくプラス」に収録されており、私は最終号の目次データを提供させていただいた。
(注1)私が発行した調査趣味誌『深夜の調べ』第1号(2023年)に『土の香』総目次を投稿した。
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