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コーヒーにまつわる本 Vol.05

永井孝尚(2014)   戦略は「一杯のコーヒー」から学べ 中経出版

空の表情が豊かになりました。季節が夏から秋へとバトンタッチしているのを感じます。

淡々と日常が過ぎ行く中で、同じように淡々と流れる雲。それでも、一瞬たりとも同じものはありません。月明かりに照らされた雲が羽ばたく鳥のようでした。いつの間にか飛び立ったツバメのように、いつの間にか空を飛べるような気持ちになりました。

さて、今回はコーヒーにまつわる本。紹介するのは、

永井孝尚(2014)   戦略は「一杯のコーヒー」から学べ 中経出版

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それでは気になった内容をまとめます。

・コーヒーは国内飲料の7割以上を占めていて、消費も伸び続けている。
・コーヒーは主に家庭と外食店で消費されている。

<コーヒーの流通経路>
農園(生産)

輸入業者(商社・直営)

生豆問屋→自家焙煎カフェ→消費者

焙煎業者→カフェ→消費者

商品(レギュラー、インスタント、缶コーヒー)

小売業者→消費者

<コーヒーのコスト削減を考える中で出てきた情報>
・世の中の3分の1のコーヒー豆がロブスタ。カネフォラ種のロブスタは「頑強な」という意味。アラビカと違って、病虫害に強く、いろんなところで育てられるので価格も安い。ただし、独特の香りがあって、味もイマイチ。ブラックよりも、ミルクや砂糖を入れて飲むことが多い。缶コーヒーやインスタントコーヒーにもよく使われる。
・世の中のコーヒーの3分の2がアラビカ種。味がよく、ブラックでも飲める。ただし、栽培が難しく、価格もロブスタより高い。

・なぜわざわざ店舗で豆を挽くか。コーヒー豆は挽いた瞬間から酸化がはじまり、味が落ちる。

<UCC>
・顧客に何がほしいかを聞いて、その通りにつくっても、顧客のためになるとは限らない。

・1969年4月、ついに世界初の缶コーヒー「UCCコーヒーミルク入り」が発売された。

缶コーヒーの現在の市場規模は、年間8000億円

隠れたニーズは、顧客に聞いてもわからない。顧客自身も気づいていない。

<マクドナルド>
・人気がある高品質のコーヒーを100円で販売し、新しい顧客を集め、来店頻度も上げて、金のなる木(キャッシュカウ)であるビッグマックをもっと売ろうと考えた。

<スターバックス>
・2008年1月にスタバのCEOに復帰したハワード・シュルツは、スタバが経営危機にかつて陥ったのは、「スタバらしさ」を失ったことが業績低迷の真の原因と考えた。
・家庭でも職場でもない「第3の場所(サードプレイス)としてのポジションを取り戻すことが重要。
・社員にスタバらしさを考え続けるための新しいビジョンを策定。

<ドトールコーヒー>
・おいしいコーヒーを半額で提供しても、4倍の顧客が来れば、売り上げは2倍。
・一等地に店舗を構えることで、顧客数をあげた。更にはマシンを導入。(1980年代)。
・ドトールが捨てたもの→フルサービス、長く滞在するゆったり度
・重要視したもの→価格、利便性、そしてコーヒーの味は落とさない。

何を加え(足し算)、何を捨て(引き算)、何を増やし、何を減らすか

・ただし、現在、価格を下げてもコーヒー需要は全く増えない。
・ドトール型戦略が成功する3つの条件→①他者の価格が高い。②価格を下げると、それ以上に売れること。③周到なブルーオーシャン戦略を考えていること。
・星乃珈琲→看板商品のスフレがある。

・どんなに素晴らしい戦略にも賞味期限がある。→戦略は何のためにあるかを問う。その目標にはもしかしたら戦略は必要ないかもしれない。

<セブンカフェ>
①自社ならではの強みはなにか
②その強みを必要とするお客様は誰か
③そのお客様は何を必要としているか
④お客様が自社を選ぶためには、どうすればいいか
 を考えた。

・自社の持つ能力を活かして顧客にどんな価値を提供するか
・ターゲットを絞り込んで、具体的に「こういう人」というところまで落とし込まなければ、自社らしさは出せないし、他社との差別化もできない。
・セブンーイレブンはすでに30年以上、店内でコーヒーを出すことにしつこく挑戦してきた。5回目の挑戦でようやく念願がかなった。
・1990年代、スターバックスの日本上陸でエスプレッソやカフェラテなどの濃いコーヒーが人気になった
・セブン独自の調査で、日本人の嗜好にはペーパードリップ式が合うということがわかった。
・一定の味になるように、複数の豆をブレンドして調整する。さらに豆の個性を消すために、長時間焙煎して苦味を強くする。
・規模を追求するためにコーヒーの標準化を図る。

<ブルーボトル>
・サードウェイブの特徴→①豆の個性を大切にする。どの種類の豆を使い、どの国のどの畑でいつ収穫したかまでを管理し、把握する→「フロム・シード・トゥ・カップ」(豆の流通を徹底的に透明化する)、②業者同士で美味しいコーヒーを尊重し合い、「オープン&シェア」の精神で美味しいコーヒーを進化させて、広げていこうとする。

・サードウェイブの本質は個性と多様化の追求

舌の肥えた消費者が増えれば、それだけコーヒー市場が成長する

・美味しく安全なコーヒーがこの先もずっと安定的に供給されることは、生産者と消費者の双方にメリットがある。

<お客はカフェの何にお金を払うのか>
製品は3つのレベルで成り立つ。「中核」「実体」「付随機能」
・製品の「中核」は、顧客が本当に買っているもの→コーヒーではない。カフェに行って、コーヒーを飲むことで得られるリラックス感やインスピレーションなど
・コーヒーは実際に提供されるもの→製品の「実体」
・製品の「付随機能」→安全な価値を提供するために必要なもの

・「付随機能」の一例がトレーサビリティ。商品がどこでつくられ、どのようなルートでそこにたどり着いたか、履歴がしっかりわかるようにすること

日本人のコーヒー消費量は1人当たり年間3キロ強。欧米よりも大幅に少ない。
・イノベーションは満ち足りたところでは生まれない。

・コーヒーの雑味や不快な臭いを防ぐには、生豆と焙煎後の2つの段階で、欠点豆をハンドピックで徹底的に取り除くことが必要。

・焙煎したてのコーヒー豆を使うこと。正確には、焙煎直後はまだ焙煎豆に大量の炭酸ガスが含まれているので、焙煎2日後くらいがちょうどいい。

・ネルを使って淹れると、コーヒーの微粒子がフィルター内にとどまり、舌触りがなめらかになる。→コーヒー独自のこってりした味が出る。

・ペーパードリップだとコーヒーの脂を紙が遮るが、ネルは脂を遮らない。

・いいお店には3つのことを考える必要がある。
 1つ目は、お店そのものの魅力
 2つ目は、商品
 3つ目は、接客

<スタバが広告費をほとんどかけない理由とは?>
・CEO ハワード・シュルツは「一度に一人の顧客、一度にひとつの店舗、一度にひとつの市場と向き合っていれば必ず成功する」と言っている。



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