文明病に効く『最強の読むクスリ』
プラセボ効果
いつもご覧いただきありがとうございます。
わたしは健康とは、逆境に打ち勝つ力である〝レジリエンス〟を高めることにあると考えている。
そして、そのためには食事はさることながら、適度な運動と先人達の時の試練に耐えてきた珠玉の箴言を『クスリ』として取り入れることが重要だと思っている。
プラセボ効果というものをご存知だろうか?
これは、全く薬の効果を持たない薬(プラセボ)を飲んでも、効果が出てしまうことがあるというものである。
実際に、臨床試験では〝5~30%〟程度の患者にプラセボ効果が確認されることがあるという。
これが何を示しているかというと、ヒトの心の持ちようがいかように、プラスにもマイナスにも働くことを示唆しているのである。
「病は気から」や「万の病は心から」ということわざが言うように、信じるということは、案外と邪険にはできないのである。
「信じるか信じないかは、あなた次第」とか、「信じるものは救われる」という言葉もあながち間違ってはいないのかなと、最近では思うところもあるのである。
前置きは長くなったが、そういった信じることから始まるということで、歴代の偉人や哲学者たちの箴言は、『読むクスリ』として現代に蔓延する『文明病』に抗するのにうってつけではないかと考える。
「なぜ生きるか?」に明確に答えられるか?
そんな本日の箴言はこちらである。
小説『夜と霧』より、
〝すでに述べたように、強制収容所の人間を精神的に奮い立たせるには、まず未来に目的を持たせなければならなかった。被収容所を対象とした心理療法や精神衛生の治療の試みが従うべきは、ニーチェの的を得た格言だろう。
「なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐える」
したがって被収容者には、彼らが生きる「なぜ」を、 生きる目的を、ことあるごとに意識させ、現在のありようの悲惨な「どのように」に、つまり被収容所生活のおぞましさに精神的に耐え、抵抗できるようにしてやらねばならない。〟
これは、精神科医の著者がナチスにより強制収容所に送られた体験を、精神科医としての考察を交えて、戦後まもなく記したものからの引用である。
この言葉が示しているのは、「何を」とか「どのように」よりも「なぜ?」という問いに答えていく信念というか、マインド、認知の力次第で、置かれている状況がどのようなものであっても、レジリエンスを発揮し、困難に打ち勝つ力が折れないということである。
まずは、兎にも角にも、「なぜ?」を深掘りしていくことから始めることがどれだけ重要かを考えさせてくれる珠玉の『読むクスリ』なのである。