カンボジア・タイ旅行#2「アンコールワットに来たぞ!」
「ママ、アンコールワットに行ってみたい!
もう行けなくなっちゃうかもしれないんだって!」
「シェムリアップの言葉の由来、なんだか知ってる?」
息子のこんな発言から始まった、カンボジアはシェムリアップの旅。
私も死ぬまでに一度は訪れたいと思っていたアンコールワット遺跡群。
Now or never. よし、行ってみようか!
802年〜1431年の間に歴代の王がアンコール(シェムリアップ)の周りに7つの大都市と1,000にも及ぶ石造建築物を立て、全盛期は現在のカンボジア、ラオス、タイ、ミャンマー、ベトナムに渡る一大帝国を築いていた。
中でもクメール文明を象徴する代表的な建築物がアンコール・ワット。
教科書レベルのざっくりとした予備知識のみで、私がアンコールワット王朝の歴史や遺跡について語るのは賢明ではないので、ここでは普通の四人家族目線での体験談をつづってみたいと思う。
…
‘初めてのコト’に出会った今回の旅はかなり密度の高いものとなった。そして、‘人の温かさ’に出会った旅でもあった。
滞在中お世話になったツアーガイドのスロースさん、そしてホテルスタッフの方々。のんびり穏やかな国民性にふれ、都会で蔚積した心の垢が取れこちらまで穏やかな気持ちになる。
バンコクから飛行機で1時間、2023年にオープンしたシェムリアップ・アンコール国際空港に到着。日本語ガイドのスロースさんが出口で待っていてくれた。穏やかな笑顔にほっとする。
今は乾季。カラカラに乾いた赤土の大地をひたすら走ること1時間。ようやく民家が見えてきた。
「何にもないね!」
「これは、どえらい田舎に来てしまった!(ワクワク)」
小さな小さな街シェムリアップのホテルに到着する。これまた小さな可愛らしいブティックホテルで、同行した弟夫婦が予約してくれた。
「今度、アンコールワット行くの!」
「いいね、僕たちも行こうかな。」
彼らもアンコールワットに死ぬまでに一度は行ってみたかった組だったようで、我々の旅行に相乗りすることになった。
このホテルのみなさん、キッズフレンドリーで優しいのなんのって。子どもたちを大変可愛がっていただいた。ありがたい。有料のはずのロールスロイスに乗せてもらい、車内でカンボジアの歌まで歌ってくれと五つ星サービスを超えたサービスをしていただいた。
そんなアットホームなホテルだったので、スタッフの方たちとよく立ち話をした。
シェムリアップは観光業で成り立っている街。コロナ後も観光客が戻らず、未だ多くの若者が職に困っている。だからこそ、海外からのお客様と直に接する私たちが頑張らねば、観光業を盛り上げなければという熱い想いが伝わってきた。
カンボジアの未来を素直に応援したくなった。
ガイドのスロースさんも同じようなことを言っていた。
「今は若い人たちが仕事がなくて、本当にかわいそうです。」
スロースさんはその日の食べる物にも困って湖に魚を獲りにいった、ニワトリを育てたけど全部病気で死んじゃった、などコロナ禍仕事がなかった時の様子を話してくれた。当時を語る彼の口ぶりは悲壮感ではなく抜けたユーモアさを帯びていた。これが、この国の人たちの魅力なのか。
幼い頃から両親がおらず、寺で育った。寺子屋で必死に日本語を覚え、いろんなバイトをしながら下の兄弟を学校に通わせたことなど、遺跡群を回る車内でいろいろと聞かせてくれた。
腐敗した政府への不満、中国資本ががっつり投入された新国際空港に対しての現地人のやるせ無い思い。
そんな話を後ろでしずーかに聞いていた息子がぽつりと呟いた。
「僕、ぬくぬくと生きていていいのかな…。」
そんな彼がカンボジアで一番印象に残ったのは、遺跡ではなくトンレサップ湖ツアーだったようだ。水上生活者の暮らす湖上の村を通って、水上カフェから夕日鑑賞をするツアー。ボートに乗り、否応なしに子供たちの目に入ってくるのは貧しさ。間近で貧困層の暮らしぶりをみるのは人生で初めてだったので、彼なりにいろいろ考えさせられたのだと思う。
実は渡航前、このツアーをスロースさんから提案され、スキップしようか迷っていた。ネットの情報によると’ぼったくりのメッカ’のようなところではないか。ビールを買わされ、船からおろしてくれない?タライを漕いで虚ろな目をした子どもが「ワンダラ、ワンダラ」と近づいてくる?水上カフェのぼっとん便所?ワニ皮のハンドバッグ(バーキン風)?もう危ないにおいしかしない。
だがしかし、今の我々にはスロースさんがいる。
スロース、お前さんがいれば大丈夫だ!
ネットや友人からの前情報で完全にびびっていたものの、結果的にトンレサップ湖で見聞きしたことは良かれ悪しかれ強烈な思い出となった。
夕日鑑賞と並び観光の目玉でもある、アンコールワットの朝日鑑賞。
ツアー初日に4時起きでのぞんだ。子どもたちもガッツである。
絵葉書でみたことのある光景を肉眼で見たときは、心が躍った。
「ついにここまで来たんだ。」弟夫婦も一緒だったことも嬉しかった。
4月のカンボジアは午前中でも暑いこと暑いこと。見学が終わる頃には気温が40度まで上がり、木陰もないし地面からの照り返しもきつい。子供も大人もぐったり。それでも、訪れる価値は相当なもので「こんなもの見たことない」の連続であった。
特に、第三回廊(神の世界)からの眺めは感無量。スロースさんがいろいろ解説してくれるが、カバーする内容が膨大すぎて聞いたそばからポロポロ頭からこぼれ落ちていく。(ごめん、スロースさん)
そんな中印象に残り覚えているのは、第三回廊に登るための階段をわざと70度の急勾配にし、神の世界に入る人間を這うように登らせることで服従を求めた、というはなし。
傾斜70度って…。ほぼ直角じゃないの!
GoPro片手に、心も身体も神にひれ伏しながらゆっくりと登りました。
降りるときがこれまたヤバい。夫のへっぴり腰姿が忘れられません。
第3回廊から気球が見えたので、次の日乗りに行ってみました。
空からアンコールワット鑑賞です。
ここでも夫はへっぴり腰。
「揺らすなーー、歩くなーー。」と大騒ぎ。
「大丈夫だよ、地上とロープでつながってるから。笑」
長くなってきたので続きは「その2」にて…。
ちなみに、シェムリアップ(Siem Reap)の名前の由来は、Siem=シャム(タイ)、Reap=追い出す、タイを追い出すという意味。
と、息子が教えてくれました。
アンコールワットでは、へぇ〜、へぇ〜!の連続です。
ではでは。最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。