自動車を「馬に引かせる」という思考停止状態
これはおじいちゃんの形見。
自営業はカメラ屋さんでした。
店舗付き住居にあこがれたこともありました。
店舗の裏側には「暗室」があって、
そこで「現像」をしていたんです。
フィルムカメラの時代。
「焼き増し」
なんかでも売り上げが計上されたりして、
「カメラ屋」という業態が成立するほど、
キャッシュポイントはたくさんありました。
カメラ本体を売ることはもちろん、
お祝い写真、証明写真撮影、
アルバムなんかも売ってたと思います。
暗室の横には「黒電話」が。
まさかこれが、
カメラの競合相手になるなんて
当時誰が予想できたでしょう。
■おじいちゃんは、
過疎化と高齢で
店をたたみました。
その後デジタルカメラが普及して
様相は一変。
フィルムカメラは次第に淘汰
されていきました。
今は「レトロ感」という立ち位置で
ニッチな市場で復活をとげましたが、
時代はデジタル。
ですが当初は高価な本体や記憶メディア
を売っていたデジカメですら
時間の経過とともに
限界価格は下落しました。
加えてスマホの登場。
クラウドの発展によって
データ化が加速して、
写真にコストがかかるという概念は
ほどほどなくなりました。
音楽も同じような道をたどっています。
一曲当たりのコストは
限りなくゼロに近づきました。
■カメラや音楽の現象を
「一般化」するとどう読み取れるでしょうか?
デジタル化によるメインコンテンツの無料化
ですかね。
そういえば映画などの動画コンテンツも
無料でいくらでも視聴可能です。
YouTubeは広告でマネタイズ。
一方アマゾンプライムなんかは
サブスクですね。
月額でちょっとずつ課金しながら、
いろんなサービスを提供しつつ、
メインコンテンツはタダ。
この流れはおそらく
抗いがたいものとして、
あらゆる業種業態に普及していくと思われます。
■かつて
自動車が普及し始めたとき、
アメリカで
「車を馬にひかせる」という
滑稽な事件が起きました。
自動車という「得体のしれないもの」が
公道を走るなんてけしからん!
という行政のルールに反発した
人や団体の抗議活動。
今風にいうと、
新しいアプリをインストールしたけど、
OSが古すぎて使えないみたいな。
こすりにこすったOSは
でも使い勝手が良すぎて変えられない
という思考がもたらす葛藤です。
これも「一般化」してみると
新しい技術や発想も、使う人の思考が古いままだと、その本来の機能をムダにしてしまう
という感じでしょうか。
■オンラインサロン
というデジタルコミュニティが
浸透しはじめました。
もう8年くらい前から
その可能性に気づき、
運用をはじめたキングコングの西野さんは、
会員数を70,000人強に増やして、
みずからが手掛ける絵本の無料公開を実現しました。
年末に公開される映画も、
オンラインサロンで
圧倒的に可視化されているので、
なんとなくストーリーは見えています。
今回は有料の映画ですが、
これもいつかは無償化されるのかな?
サブスクで課金して、
メインコンテンツはタダという建てつけですが、
ちゃんとビジネスとして成立しているし、
ファンベースは増加の一途。
このビジネスモデルが、
カメラや音楽、映像などと同じ
であると見抜くことも大事ですが、
それ以上に「使う人」の
リテラシーが時代に追いつていないと、
ここまでの発展を遂げることは難しかったのでは?
と思わざるを得ません。
■そして
私が注目しているのは
スポーツ業界。
サッカーしかり、
スタジアムに有料で集客して、
グッズや飲食でキャッシュを確保しつつ、
観客動員の多寡で広告を売る
というスタイルは現在の常識ですが、
ここの一切がタダになる
という可能性はそんなに非現実的か
と問われると
なかなか信じ切れない
というのがホンネです。
メインコンテンツ=スタジアム
での時間はすべて無料。
マネタイズはサブスクで、
スタジアムで展開されるさまざまな
エンタメ(試合含む)が、
公開されるまでのメイキングプロセスを
すべてさらされた状態で、
タダでファンに提供される世界です。
使う人がいかに、
時代の趨勢を読み、
世の中の売れ筋を一般化して
自クラブのビジネスにはめ込めるかどうか?
頑固だったおじいちゃんは
絶対に無理だっただろうなぁ。
なんだよクラウドって(怒)なんて言って
聞く耳をもたなかったはず。
スポーツ業界はどうでしょうか?
OSを最新にアップデートする
柔軟性があるかどうか。
車を馬にひかせるような
思考停止状態にならないかどうか?
関心を持って見守りたいと思います。
今日も最後まで読んでくれて
ありがとうございました。
それではまた明日。
おつかれっした!