
ビジネスでの「計画された偶然」
FROM 安永周平
先日、ある人のブログを読んでいたら「プランド・ハプンスタンス」という言葉が出てきました。で、何だろう…と思ったのでちょっと調べてみたら、スタンフォード大学のJ・クランボルツ教授が提唱したキャリア理論のことなんですね。日本語では「計画された偶然」なんて訳されます。
プランド・ハプンスタンスとは?
これ、簡単に言えば「今後起こるであろう様々な偶然の出来事に対処し、キャリアに転換できる力を備えておく」という考え方です。現代のようにテクノロジーの進化が目まぐるしく変化の多い(速い)時代では必須というか、こうしたスタンスを持っていなければ生き残れないのが現実ではないでしょうか。
高度経済成長期のように右肩上がりで成長する社会であれば、社会人としての自分のキャリアを緻密に設計することができたかもしれません。新卒で入社して、数年は各部署のローテーション。3年目には自分のキャリアの軸となる部署が決まり、それから数年で管理職になり…とまぁ、個人のキャリアもある程度は決まっていたわけです。
たとえば、「5年後に海外出向になるだろうから、3年後の3月末までにTOEICのスコアを600点以上にして、主任に上がって…」みたいな。僕は10年ほど前に新卒で大企業に入りましたが、まさにこんな感じでした。でも、よく考えたら経済が右肩上がりで伸びていた高度成長期って、もう50年以上も前の話なんですね(苦笑)。
偶然は起こる。それが当たり前…
そして、あなたもご存知のように、現代は本当に環境変化のスピードが激しい時代です。会社経営の立場から考えても、先のように個人に明確なキャリアを示すことは難しくなっています。ある社員が、5年後に海外出向…と思って英語の勉強をしていたのに、海外の工場が閉鎖されてしまうことだって普通に起こりうるわけです。
こうした状況について、J・クランボルツ教授曰く「変化が激しい時代には、キャリアは予期しない偶然の出来事によって80%が形成される」とのこと。そう、まさに現在は変化の激しい時代。僕らは予期しない偶然の出来事が起こる前提で、仕事人生を考えていかなければいけません。
偶然に身を委ねればいい?
でも、だからといって全てを偶然に委ねるわけにはいきませんよね。僕らは自分の人生に責任を持ち、自分で切り拓いていく必要があるわけです。そうでなければ、それは「自分の人生」ではなく”他人の人生”や”会社に決められた人生”に成り下がってしまいます。ですから、ちょっと言葉が矛盾するようですが、これから先、”必然的に起こる偶然”に対応する力を身に付けておく必要があります。
偶然は誰にでも起こります。そして、その偶然をモノにできた時、人はそれを「幸運」と呼びます。一方で、モノにできなかったら…その偶然は忘れ去られます。よく事業で成功を収めた人は、自分のことを「運がいい」と表現しますが、それは偶然をモノにするだけの努力を日頃からしてきた結果なんですね。準備をしていない人、やるべきことをやっていない人に幸運が訪れないのは必然です(自戒を込めて)。
紹介は、幸運によるものではない
さて、これはビジネスの世界でも同じことが言えます。営業をしたり、自分でお客さんを獲得したりしている人は、紹介客の重要性はよく分かっていると思います。一方で、「紹介なんて運次第で、自分ではコントロールできない」というのが普通の認識でしょう。しかし、これは本当でしょうか?
もしそうだとしたら、紹介だけで営業していくなんて、一時的にはともかく長期的に成り立つことはないはずです。ところが、事実として営業の世界では紹介だけで新規のお客さんを開拓しまくっている強者はいます。それも、1人や2人ではありません。トップセールスと呼ばれている人たちの多くが、こうした紹介経由の営業で高い成果を上げ続けているのです。
もし、彼らが”偶然”をモノにしているとしたら…
では、もし紹介だけで売れ続けている人たちが、先のように”偶然をモノにすることで紹介を得ている”のだと仮定したら…彼らはいったい何をしているのでしょうか? もっと言えば、商談前にどんな準備をして、商談中に何をやっているのでしょうか? 紹介で売れ続けているという結果が、偶然をモノにすることが原因として起こっているのならば…何か秘密があるはずです。
そう、秘密はあります。事実、米国経営協会(AMA)からビジネス界のリーダー上位30人にも選ばれた経験を持つ経営コンサルタントのボブ・バーグは、次のように言っています。
「どんな業種であれ、紹介はボーナスでもなければサプライズでもない。素晴らしい営業トークをしたからといってもらえるわけではないし、黙っていて訪れるものでもないことを我々は身をもって経験している。紹介は『必要なプロセス』に従うことで初めてもらえるのだ。」
つまり、紹介はラッキーでもらえるサプライズのようなものではありません。事前にやるべきことをやっている人が、次々と偶然をモノにしていった結果としてもらえるものだと言えるのではないでしょうか。
紹介は計画的に
だとしたら、先の「プランド・ハプンスタンス」が計画された偶然と約されるように、紹介もまた計画的にもらうことができるということになります。そのプロセスこそ、ボブが長年に渡って研究し、実践を重ねながら確立してきたものでもあるのです。
もし、あなたがそんな方法に興味があるのなら、実はすぐにでも始めることができます。ぜひこれまでの常識を捨てて、この秘密をチェックしてみてくださいね。
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