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自己紹介|インビジブルな存在としての被害者

法務総合研究所の「第4回犯罪被害実態(暗数)調査」(平成24年)によれば、過去5年の性的事件において警察に被害届を提出したのはわずか18.5%だという。実際には、おそらくこの何倍もの声をあげられない「インビジブルな被害者」がいるはずだ。このnoteを書いている「あの女の子」もまた、家族からの性虐待という性暴力を受けたにも関わらず、警察に被害届を提出していない一人です。

細かい記憶を辿る記事などはまた改めて書くとして、この記事ではプロフィール代わりにファクトだけを記していくことにする。

自己紹介| 「あの女の子」の話

地方都市の中流家庭に生まれた。父、母、そしてのちに加害者となる兄、そしてわたしの4人家族。兄とわたしは6歳年が離れていた。わたしが6歳の時、彼はちょうど思春期を迎えていた。
若い頃の父は、バブルの影響を受け羽振りもよかった。気が大きくなっていたんだろう。なんなら浮気もしていた。同じ頃の母は、教育熱心と言えば聞こえはいいが、とにかくヒステリックで怖かった。子供の頃は、怒った勢いで家から追い出されたこともあった。でも、両親からは愛されていたと思う。どこの家族だって、多かれ少なかれ問題は抱えているものだ。そういう意味では基本的に「よくある家族」だったと思う。

兄による性暴力がいつ始まったのかはもはや思い出せない。あまり友人の多くない、元いじめられっ子の兄にとって、わたしは一番身近な異性の身体を持つ人間で、何より弱かった。また、これは別の記事で書こうと思うが、兄は子供の女の子が性対象だったように思う。とにかく、わたしは彼にとって一番「ちょうどいい」存在だったんだと思う。

一番幼い記憶としては6歳の頃から16歳まで、おおよそ10年近く性虐待を経験した。詳細は控えるが、今であれば強制性交等罪として訴えられる様な行為をされた。

望まない性暴力に日々晒されていることの異常さに気付き、16歳で両親に打ち明け家を出るまで行為は続いた。もはや日常だったので、どの日の、どの時間、何回、何をされたかなんて覚えていないし、それがどんな行為か理解していなかったので日記などの記録も残していない。両親に打ち明けた際に、兄とは隔離されただけで、警察へも行っていない病院での検査なども、日常的な性暴力となるともはや意味もないのかもしれない。カウンセリングに行ったが、なんの役にも立たなかった。薬を処方されただけで、わたしは放り出されただけだった。
今でこそインターネットの普及で対応策などが検索できる様になり、ワンストップセンターをはじめ、レイプを含む性暴力を受けた際の対応策を知ることが出来るが、当時は「とにかくこの場所から離れないと」という気持ちだけだった。

それから、もう20年以上が経過しようとしている。わたしは今もなおうつ病と、時々襲ってくる「兄に殺されるのではないか」という不安と戦いながら、なんとか生きています。

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家族とは、本来子供が一番はじめに出会う、最小単位の社会です。機能不全家族の中で育つということが、そして性虐待や性暴力を日常的に受けながら育つことが、どれだけ被害者の人生に影響を与えるかは経験したことがない方でも、容易に想像できるのではないでしょうか?
幼い頃はわかりませんでしたが、成長につれ性交渉について知り自分に起きたことを理解していくうちに、わたしの中の何かが、もうやり直せないくらいに壊され汚されてしまったと感じ、わたしは人として不完全なのではないかと疑うようになりました。行為の意味がわからなくても、「利用されている」というのは子供でも理解できた。子供ながらに、行為そのものが存在している理由のようで、なんのために生きているのかよくわからなかった。生きた心地もなく、ふわっと存在しながら、子供ながらに「死にたい」と思っていた。それは、消えて無くなりたいという気持ちの方が近かったような気がする。そんな感情は、人間形成に影響を与えたと思う。人との関係性の築き方が下手だったり、自己肯定感が低かったりするのは、おそらくそうして蓄積されたものだ。

今もなお、様々なところでわたしの生活に暗い影を落とし続けている。

未だに警察へも届け出をしていないということは、兄は当然、何食わぬ顔をして、どこかで普通の生活を営んでいます。罪を償うことも、加害者更生プログラムを受けることもなく、普通に暮らしています。
わたしの場合、4人家族の中に、加害者と被害者がいます。両親にとって、加害者はそれでも「大事な息子」で、その息子を訴えることに賛成できないまま。そんな両親の手前、わたしも訴えたりすることができないまま、気づけばわたしも中年になりました。今もなお、どうやってこの問題に立ち向かうべきかわからないまま、生きています。

インビジブルな被害者たち

ざっくりと話すと、わたしの話はそんなところだ。

同じ様な経験をした人が皆、自分の様に悲壮感に苛まれて生きているとは思っていない。性暴力や虐待を言い訳にせず、バリバリ仕事をこなし、所帯を持ち、子供を育てていらっしゃる方もきっと数多くいらっしゃることだろう。しかし、表面にどれだけ過去の影響が現れているかは別にしても、当事者はみんな自分に起きてしまった不幸と向き合いながら、必死で生きている方々ばかりだということをわたしは知っている。そして、自分もその一人だと思っている。不可抗力で曲げられ壊された人生を、なんとか立て直そうと戦っている人ばかりだ。

性暴力や性虐待、それも近親者や家族からとなると、その影響は甚大だ。
家族というものは、切っても切れない。ある意味、人によっては呪いの様なものだったりもする。この世界は、そういう人たちにとって住みやすいか?と聞かれれば、その答えはNOだ。
虐待の中でも、性暴力の中でも、近親者による性暴力を受けたというのは、それだけでも相当レアなケースだと思う。わたしの経験は、あくまでそんな一例だと思って読んでいただきたい。

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2015-2016年に法務省により開催された性犯罪の罰則に関する検討会では、当事者の声を知る臨床や性暴力の専門家が2014年時より減っており、当事者の実情を認識していない人たちによって性犯罪の罰則について討論されていたそう。当事者たちが生きやすくなるためにも、声をあげられる当事者は上げ続けていかなくてはいけない気がしている。一つのサンプルとして、声をあげる意義はあるはずだ。当事者の苦悩は、きっと当事者にしかわからないし、声にしなければ、伝わらない。

性暴力や性虐待を受けた人は、きっとあなたのそばにもいます。声に出さない、出せないだけで、普通を装って、もがきながら暮らしています。遠い世界で起きていることではなく、身近で起きている可能性があるということを、頭の片隅にでも置いていただけたら嬉しいです。
2020年にnoteをスタートさせ、早速情緒不安定になったりしていますが、これからも細々と記事を投稿していこうと思います。

よろしくお願いします。

<現在性暴力にあっている、もしくは誰かに相談したいと考えている方へ>
対応内容や詳細については、それぞれのリンク先や電話番号にお問い合わせください。
■レイプにあったので、すぐに対応して欲しい
【警察】110番(24時間365日)

【性犯罪被害相談電話】 #8103 (24時間365日)https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html
都道府県の警察が運営する、性犯罪専門相談窓口を案内してくれます
 
【性暴力被害者支援ワンストップセンター】
性暴力にあった時、必要なケアを受けることができますhttp://www.gender.go.jp/policy/no_violence/avjk/pdf/one_stop.pdf

■親やきょうだい、親せき等に触られたり、セックスされていることを相談したい
【児童相談所全国共通ダイヤル】
#189(24時間365日)
親やきょうだい、親せき等からの暴力を相談できます
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/gyakutai/

■恋人に嫌なことをされたり、ストーカーされて困っている
【女性の人権ホットライン】
0570-070-810(平日8:30-17:15)
デートDVやストーカーについて相談できます
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken108.html

 【DV相談ナビ】
(女性以外も相談できます)
0570-0-55210(24時間365日)
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/dv_navi/
都道府県のデートDVの相談窓口を案内してくれます

■水着姿や下着姿、キスやセックスをしている写真・動画を削除して欲しい
【一般社団法人セーファーインターネット協会】
https://www.safe-line.jp/against-rvp/
リベンジポルノ画像や動画の削除を依頼できます

■以前レイプされたり、ちかんにあったことを、警察や法律に詳しい人に相談したい
【犯罪被害者ホットライン】
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-9.html
性犯罪にあった後のこころの悩みを警察に相談できます

 【警察相談専用電話】
#9110(24時間365日、一部時間帯は音声案内)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201309/3.html
ストーカー、デートDV等の悩みごとや困りごとを警察に相談できます
 
【法テラス】
0570-078374(平日9:00-21:00/土9:00-17:00)
http://www.houterasu.or.jp/higaishashien/higai_naiyou/sei_higai/
性犯罪にあった後のことを弁護士に相談できます
 
【子どもの人権110番】
0120-007-110(平日8:30-17:15)
www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html
いじめや親等からの暴力を相談できます
 
■自分の話を聞いてほしい
【チャイルドライン】
0120-99-7777(月〜土16:00-21:00)
※日時限定でチャット相談もできます
http://www.childline.or.jp/
18歳までの子どものための相談先です。

 【よりそいホットライン】
DV・性暴力被害者等への多角的な支援事業を行っています
0120-279-338(24時間365日)
http://279338.jp/yorisoi/

【レイプクライシスセンター TSUBOMI 】*2018/10/5 追加
性暴力(レイプ・ちかん・ストーカー等)の被害にあわれた方の支援をおこなうNPO法人です。 (男性被害者にも対応)
http://www.crisiscenter-tsubomi.com/

■友だちが被害にあっていることを相談したい
【匿名通報ダイヤル】
0120-924-839(平日9:30-18:15)
https://www.tokumei24.jp/子どもや女性を被害者とする犯罪や、人身売買に関する情報を匿名で受け付けています

 ご参考までに、一般社団法人Springさんの相談先一覧より以下をコピーペーストさせていただきました。一般社団法人Springさんは、性被害当事者が生きやすい社会の実現を目指す当事者団体です。「性被害の実態に即した刑法性犯罪の更なる見直し」を求めた活動などを行なっています。

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