GOOD MORNINGをテーマにした再生マグカップ作りをきっかけに、みんなに聞いた「理想の朝」Vol.1
1.備前焼の再生マグカップづくりから考えはじめた、朝の時間
岡山県備前市で伝統工芸備前焼のリサイクルを行っている㈱the continue.
備前焼の生産過程で廃棄される陶器ごみの回収を行い、粉砕してもう一度陶器にした「RI-CO(リッコ)」というブランドを運営しています。
「備前焼リサイクルを通じて、陶器がリサイクルできることを知って欲しい。一息つくコーヒーの時間に寄り添うマグカップから伝えたい。」と考えて再生備前マグカップづくりを始めました。
朝のルーティンでコーヒーを飲む人も多いため、ものづくりの過程では、陶器ごみからマグカップ、マグカップから朝の時間について考えるようになりました。
2.朝のコーヒー、GOOD MORNING、マグカップ。商品企画をきっかけに教えてもらったみんなの理想の朝
毎朝気軽に使える「GOOD MORNING」をテーマにしたマグカップ。
もともと、ゆったりとしたカフェタイムに合う、丸みが特徴的なマグカップを作っていたところ、「コーヒーを飲む家族へのお土産にするなら、もっとシンプルなデザインのマグカップが欲しいな。」という旅行中の学生さんからいただいた意見をきっかけに、形状デザインの視点からも、朝のコーヒーのマグカップについて考えることなりました。
あまりゆっくりできない朝。
さっと飲んで、急いでカップを洗うのかな。
“みんなどんな朝を過ごしているんだろう”
企画が進んでいくうちに、朝のコーヒーについて考えるようになり、周囲の人々から、朝のコーヒーについて話を聞くように。朝の過ごし方もコーヒータイムも十人十色だと知りました。
マグカップが素敵な朝に寄り添えたら嬉しいなと考えるようになり、色んな人に「理想の朝」を聞き始めました。
意外と知らない他人の朝。
意外と知らない、みんなが描く理想の朝。
そこには「わかるわかる!」と頷いてしまうようなリアルな朝のワンシーンや、胸の奥があたたまる物語がたくさんありました。
そして、毎日の朝の中に、たくさんのやさしさや幸せを見つけました。
再生マグカップづくりを通じて、私たちが見つけた「理想の朝」を紹介したいと思い、このnoteで紹介することにしました。
3.【理想の朝Vol.1】
すれ違いの中で15年間変わらない朝の習慣。
無責任な理想を描いた若い日の朝と現実の今、二人をつなぐ朝のコーヒー
今日ご紹介するのは、パートナーとの朝のコーヒーについて、44歳のSさんが、15年前の出来事を語ってくれた物語です。
ーあなたの朝のコーヒーはどうしていますか?
毎朝、夫が朝のコーヒーを淹れる理由
RI-CO「Sさんは、毎朝コーヒーを飲むということですが、どんな感じなんですか?ドリップされるんですか?」
Sさん「別にどうということもないですよ。昔は、豆に凝って専門店で買ってきたりしたんですが、今は、どこにでもあるようなコーヒーメーカで、ほとんどの日はスーパーで買ったコーヒーを主人か淹れてくれています。」
RI-CO「ご主人がコーヒー当番なんですか?」
Sさん「当番というより、たいてい主人が先に起きるので、自分の分と一緒に、多めに淹れてくれています。私がコーヒーを飲む時間には、コーヒーは少し温いくらいになって、主人はもう出かけていますけどね。」
「それにもう何年も、朝はバタバタしているので、私はそのコーヒーを保温タンブラーに入れて、パンをかじりながら通勤の車で飲んでいると言った具合です。」
ーそういえば、主人はいつからコーヒーを淹れるようになったのか? 忘れていた15年前のワンシーン
RI-CO「でも、いつから、どうしてご主人がコーヒーを淹れてくれるようになったんですか?」
Sさん「なんでかな?どうだろう?」
RI-CO「ご結婚された時から?」
Sさん「いや、それより前ですね。あ、でもそういえば、最初は私が淹れていましたね。そういえば・・・」
「そういえば、結婚する前だったかな。15年かそれ以上昔なんですけど。」
RI-CO「そんな前ですか? 」
Sさん「その当時は、お互い、朝はゆっくりできる働き方をしている若いカップルで、朝一緒にコーヒーを飲んだりしていました。」
「ある日、朝コーヒー淹れてくれたんですよ。主人、つまり当時の彼氏が。」
RI-CO「なんか素敵ですね。ゆっくりした朝に彼氏が淹れたコーヒーっていうのは。」
Sさん「そうなんです。私の世代は昭和生まれ。家事育児、夫の朝の支度は妻が世話をするのが当たり前、というような両親を見て育っているので、恋人がコーヒーを淹れてくれたというのは、めちゃくちゃ嬉しかったんですよ。これは、外国映画みたいだなって。」
「それに、私が子どもの頃は、朝はお米と魚の臭いでした!
私はパンが好きなので、コーヒーとパンが焼ける匂いが好きなんです。」
RI-CO「なるほど。ご両親の世代は、専業主婦の多い世代ですね。」
Sさん「それで、言ったんです。」
「恋人がコーヒーを淹れてくれて、その香りで目が覚めたら幸せ。
こんな夢のような朝が、ずっと続けばいいのにって。」
RI-CO「えー!!まさか、それでご主人はずっとコーヒー淹れてくれるんですか?」
Sさん「・・・いや、どうかな。この話、私も今思い出しました(笑)」
「もはや毎日のルーティンになっていますね。先に起きた方がコーヒーを淹れる。それも4杯分。それで、先に起きるのが主人です。」
RI-CO「4杯?」
Sさん「時間は別々だけど、2人とも朝少し家で飲んで、あとはタンブラーに入れて持って家を出る。休みは2杯ずつ飲むというかんじです。」
ー毎日続けば良いと思った朝は、続いていますか?
RI-CO「でも、そのカップルが結婚して、夢のような朝が今も続いているっていうのはすごく素敵ですね。」
Sさん「まあ、そう言われるとそうですね。」
「ただ、若い日の私が思い描いたのは、ものすごく無責任に妄想した理想の朝でしたね。」
「コーヒーとパンの匂いで目覚める余裕のある朝、やさしい彼氏。当時憧れた外国映画の美しい朝でした。なんだったら自分は、白いシーツから女優のように目覚めるイメージで、恋人はハリウッドスターのような美しい妄想の朝です(笑)」
「今の現実は、40代半ば、年齢も感じるし、仕事や育児もあって疲れ気味。当然、映画俳優のように美しく眠っているわけもなく、リアルの世界は見て美しいものでもありませんしね(苦笑)。
朝の時間に顔を合わせて話をすることもありますが、伝達事項でさえ、まずお互いにまったく話を聞いてません!!」
RI-CO「まぁ、毎日の生活だし、映画のようにはいきませんよね。」
Sさん「あれから2人とも転職もしたし、子どももできました。就寝時間も朝の時間も、すっかりすれ違うようになってしまいましたね。私は夜型で、朝は忙しい。持ち帰りの仕事がある働き方をしていますので、仕事をしたり、一人で考えごとをする時間は、家族が眠ったあとやっと確保する。でも思うようにはかどらないジレンマの毎日です。
逆に、主人は朝一人の時間が少しあるのかも知れません。」
RI-CO「わかりますよ。やっぱり夫婦ってそんな感じになるんですかね?」
Sさん「うーん。よその家ことは想像もつかないですね。」
RI-CO「でも、ご主人の淹れたコーヒーでご夫婦の朝がつなっがているって感じがするので、すごく素敵です。」
ー15年経って思う理想の朝は
「無責任に夢や理想を描けた “あの日の朝そのもの” 」
RI-CO「昔思い描いた夢のような朝と現実は、少し違っているのかも知れませんが、今お聞きしたご夫婦の形は、それはそれで現実の幸せがあるように思いました。」
「ところで、15年経ったいま、Sさんが思う理想の朝はどういった朝になりますか?」
Sさん「理想の朝。そうですね・・・」
「今は、夫婦の朝のタイミングもバラバラ、毎日に追われています。」
RI-CO「ゆっくりしたい?」
Sさん「15年前、こんな朝が毎日続けばいいのにって思ったその朝が理想かな。女優になったかのような勘違いができる、無責任に理想を描ける。現実や今に捉われずに、無謀な夢を描いて始めらる朝が理想ですね。」
RI-CO「素敵な意見ですね! でもちょっとわかる気がしますし、きっと今、毎日することに追われて、一生懸命なんですよね。」
Sさん「ほんとそうですよ。ちょっと反省しますね。」
RI-CO「今日は素敵なお話をありがとうございました。いつかご主人に、15年前のことを覚えてコーヒーを淹れているかどうか、聞いてみてくださいね。」
Sさん「どうかな、きっと明日の朝には私が忘れていますよ(笑)」
4.みなさんの「理想の朝」はどんな朝ですか?
RI-COでは、再生マグカップづくりを作ることから、朝のコーヒーの時間について考えるようになり、色々な人に「理想の朝」について聞きました。
心あたたまるエピソードや、自分では想像もしなかった朝の過ごし方まで、本当に様々なものがありました。
これからもnoteで、紹介させていただきます。
本日の終わりに・・・
みなさんの「理想の朝」はどんな朝ですか?
コーヒーを飲みながら、考えてみませんか?