〈スペシャルティコーヒー入門16〉スペシャルティコーヒーの酸味について考える Ⅱ
スペシャルティコーヒーのフレーバー表現を深堀りするシリーズ企画。
今回も前回に引き続き、スペシャルティコーヒーの表現における『酸味』ついて、実際にテイスティングを行いながら考えます。
前回のnoteをまだお読みでない方はこちらから。
■フレーバーホイールとは? – 酸味表現をおさらい
フレーバーホイールは、スペシャルティコーヒーの味や風味の表現方法をカテゴリー別に円状にまとめたものでしたね。
その中で、酸味表現としてよく使われる3つをご紹介しました。
■3つの酸味を実際に味わってみる
今回の検証では、3つの酸味を含むフルーツと、その"酸のみ"を抽出した食品添加物サンプルを用意し、テイスティングしてみました。
リンゴ酸もクエン酸も酒石酸も、どれも食品添加物として一般に販売しています。今回はスーパーのお菓子作り材料のコーナーや、スパイスのコーナーなどに売られているものを使用しました。
まずはフルーツを食べて酸味を感じてみます。
当たり前ですが、普通に美味しいですね。
酸味は感じるものの、甘さとかの方が際立ってしまって、それぞれの酸味の違いは正直わかりにくい。
自然の食品には無数の味の成分が含まれていますし、ものによって個体差も大きいので、その味だけを個別に感じるのは難しいですね。
フルーツの酸味を頭でわかって、それを同じく自然の食品であるコーヒーの中に感じてみろというのは、実はとっても難しいと思います。
■食品添加物サンプルで酸味を感じてみる
続いて、食品添加物のリンゴ酸・クエン酸・酒石酸をそれぞれテイスティングしてみました。
このように、いかにも"薬品"という容器に入って売られています。笑
3種類とも白い粒子ですが、結晶の形が違うためよく見ると違いがあります。写真左から、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸です。
テイスティングは、それぞれ結晶のままだと味がキツいので、同じ濃度になるように水に溶かして行ないました。
以下が各酸の特徴とテイスティングした印象です。
ちなみに、必ずしも1つのコーヒーにひとつの酸味というわけではなく、2種類が組み合わさっていたり、3種類すべてが感じられることもあります。
このようなコーヒーは味が複雑になるので高評価になる傾向にありますね。
ということは、食品添加物のサンプルも混ぜてみると…
(※3種類を全通りの組み合わせで混ぜてみました)
なるほど…。混ぜてもそれぞれの特徴は消えず、複雑で奥行きのある酸味に感じます。
この添加物を使ったテイスティングは、コーヒーの酸味を捉える練習にもありますので、機会があればぜひチャレンジしてみてください!
■コーヒーの酸味を感じてみる
それでは最後に、実際にコーヒーの中の酸味を感じてみます。
テイスティングしたコーヒーは、ニカラグア・エチオピア・1月MIXの3種類。
こうして意識してみると確かに違いを感じますね。
それぞれの酸味の個性が異なります。
ここまで振り分けできなくとも、スペシャルティコーヒーの酸味は何パターンもあるということだけでも感じ取れるようなれば、楽しみの幅はグッと広がると思いますよ。
■まとめ
2回に渡り、スペシャルティコーヒーの酸味について迫ってみました。
今回のテイスティングを通してわかったことは、3種類の酸味はそれぞれ異なる特徴があるということ。
そして、コーヒーの酸味もあらためて意識して味わってみると、その違いを感じ取ることができるということです。
カッピングを通して、その酸味がフレーバーホイールで言うところのどの酸味なのかわかるようになるまでには、それなりのトレーニングと経験が必要ですが、酸味に違いがあるということだけでも分かっていれば、コーヒーの楽しみの幅は相当広くなります。
これから、スペシャルティコーヒーを楽しむ際は、ぜひ『酸味の違い』を意識して味わってみてください!
■商品情報
今回の酸味テイスティングに使用したスペシャルティコーヒーはこちらの3つです。
■Nicaragua(ニカラグア)/El Bosque Natural Anaerobic(エル・ボスケ・ナチュラル・アナエロビック)
ゴールドラム、巨峰やプルーン、チョコレートのような風味。
スムースな質感で、こっくりとした甘さの余韻が長く続きます。
■Ethiopia(エチオピア)/Haloberiti(ハロベリティ)
スウィートレモン、ティーライク、ほのかにハーブのような風味。
さらっとした質感で、紅茶にハチミツを入れたような甘さの印象があります。
■【1月限定】January Mix 2022
ライトボディの赤ワイン、アプリコット、アップルキャンディ、カカオのような風味。滑らかな質感で、シロップや上白糖のような甘さが長く続きます。
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