履歴書その7~跳び越える~
3回目の鬱による休職。もう教師を諦めなければいけないかもしれないし、ある日自殺しているかもしれないし、教師としての私の話を誰かにしておこうと思うけど、話し相手もいないのでここに書こうと思う。
昔々のこと。
私は4年生の担任をしていた。
3・4年生における「走・跳の運動」において、学習指導要領解説・体育編には以下のように書いてある。
小型ハードル走では,小型ハードルを調子よく走り越えること。
当時は、私は体育の授業が一番好きで、一番こだわっていたと思う。
当時の理想は、
”全員楽しく、全員疲れる”
私は別にスポーツクラブやサッカーチーム・野球チームのコーチではないので、体力や技術を高めることはまったく考えていなかった。サッカーの上手い子がクラスにいたら、わざとその子に活躍させない(その子と同じチームの他の子が活躍できるためにはどうすればいいか)ルールを考えた。全員が楽しくて夢中になって思わずたくさん動き過ぎちゃって、授業が終わる頃には全員が疲れたというのを目指していた。
4年生のハードル走は、「調子よく」ハードルを走り超えれば、国が定めている目標は達成したことになる。
でも、黙々と「調子よく」ハードルを走り超えることに取り組んだって楽しくないし、そもそも運動が苦手な子は「調子よく」も「走り」も「超える」も難しいのである。
私は、自治体が月1で行う研修で、以前中学校の体育の先生が「足の裏が前を向くように」と、ハードルの上に足形のラミネートされたポスターを貼っていたことを思い出した。
これだ・・・
私は、ある授業のはじめに、プロハードラーの写真を見せ、
プロの人はこうやって跳ぶらしいよ。
と子供たちに伝えた。別に、私はプロを育成するコーチではない。単なる動機付けである。
そして、足の裏が前を向いていることには触れず、ハードルの板の上の部分にガムテープで、
このようなポスターを貼った。
子供たちは自然と、絵の足の裏と自分の足の裏が重なるように、跳び蹴りをするように跳ぶようになる。フォームがきれいになり、私が「リズム良く」なんて言わなくても、多くの子が自然とリズム良くハードルを跳び越えるのであった。
運動が苦手な子供も、「調子よく」できているか分からないけれど、「ポスターを蹴ることができた」という喜びがもてた。
そして単純に、普段何かを蹴ったら先生に怒られる子供たちは、先生に
「蹴ったら褒められる」
ということがきっと楽しいのである。そもそもきっと、
「蹴るのが楽しい」
のである。嬉々として何度も何度もポスターを蹴っていた子供たちの姿を覚えている。
あの頃は私も、無知だったし周り見えてないし今思えば間違いだと感じることも正解だと勘違いしてやっていたし、楽しんでいたなぁ。
そんな過去。
最後まで読んでいただきありがとうございます!