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【こころ #76】”必ずある居場所”でい続ける自助グループ


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ゆまさん


「自助グループは、つくるのは簡単だけれど、続けるのが難しい。私たちの会は、細く長くでも続けることが大事だと考えているので、無理して拡大しようとしたり、今の自分たちのキャパシティー以上のことをやろうと思わないようにしている。ただ、月1回は必ず開催する。その場がそこにあり続けるということが大切。それを守るために、自分たちにできることを見極め、長く続けるための工夫をしています」



 そう話すゆまさんは仲間とともに、2012年2月、うつ病や生きづらさで苦しんでいる方の自助グループ『ReOPA(レオパ、当時は東京うつ病友の会)』を発足した。できては消えてしまう自助会も多い中で、ReOPAはもう10年以上続いている。


 「毎月来る人もいれば、何か月かに一回の人もいる。絶対来てほしいわけでもないし、卒業しなきゃいけないわけでもない。何より、不定期ではなく、“今月行けなくても来月行けばある”という安心感が大事なんです」
 「昔、自分も社会に居場所をなくして孤独だった。来て話しても、人の声を聞くだけでもいい。常に居場所があれば、死にたくても来月まで我慢しようとする人もいるかもしれないから」


 ゆまさんもかつて、うつ状態に苦しんだ。
 幼少期から過敏だったり感受性が強い面があったが、「学生までは何とかごまかした」。しかし、社会に出ると、完璧主義や”社会人たるものこうあるべき”という思考が強く出てしまい、「キャパオーバーになった」
 集中力が出なかったり、急に泣き出したり。明らかにおかしかったし、うつ病の知識も持っていた。それでも、「そこまでじゃない、甘えているだけ、頑張らないとと、自分で認められなかった」。そして、ある朝、ベッドから起きれなくなった。


 摂食障害とそれに付随するうつ状態として、すぐに休職するように医師に言われ、家にひきこもった。人と話すこともできず、「これからどうしよう」と、自分がそうなってしまった事実を受け止めることだけで精一杯だった。
 しかし、「落ちるところまで落ちると、上がるしかない」。時薬(ときぐすり)という言葉もあるように、時が経つと、ゆまさんに「諦めに近い、色んなものを手放さないといけない境地、できない自分や弱い自分と対峙しなければいけないタイミング」が訪れた。


 それまで「仕事をしないと生きていてはいけない、何かを成し遂げないと生きていてはいけない」ぐらい自分を責めた感情は、「仕事ができなくても、何かを完璧にできなくてもそれでも生きていていいんだ」と少しずつ思えるようになり、自分を受け入れられた。


 それと同時に、ゆまさんはひきこもる間、同じうつ病の方の手記やブログをネット検索する中で、「自助グループなるものがあるらしい」と知る。
 当時は、東京都内でも1つぐらい。恐る恐る参加してみると、「同じような方がおられて、自分が弱っていて苦しんでいることを初めてアウトプットできた」。そして、それをみんなに受け入れてもらえたことが、「居場所っていいなと、大きな経験になった」


 一方で、当時の参加者は年配の男性ばかり。若い女性でも苦しんでいる人が多いのだから、もっとあればいいのにと、ゆまさんが仲間と立ち上げたのが、冒頭でご紹介した自助グループ『ReOPA』だった。
 発足するや、その年にはラジオで取り上げられ、3年目にはNHKフォーラムにも登壇する。その後も多くの取材やイベントでも紹介されるとともに、医師が集まる学会でも積極的に発言を続けるなど、現在は12年目に突入している。



 そんな経験から、同じ自助グループの立ち上げの相談を受けることも多い。
 ゆまさんは、「各駅に一つぐらいあってもいいぐらい」だし、自助グループも「もっと自由でいい」と話す。何か定義づけることよりも、「人には言えないことやモヤモヤ苦しいことが言える先が多様にあること」が大事だと考えるからだ。
 特に少ないのが、地方だ。都市部より人が少なくてもニーズはある。一方で、偏見も根強い地域もあり「立ち上げても行きづらい」。だからといって東京にも来られない人たちを支えたい。
 自助グループにも「やはりどうしてもヒト・モノ・カネが必要」とも話す。立ち上げても、最初からあれもこれもと無理して主催者自身がダウンしてしまっては元も子もない。「医療や福祉でカバーできない領域」に対して、定期的な場所貸しや運営補助など、行政や医師にも幅広く支援を求めたい。


 最近は、うつ病や精神疾患向けのアプリなども数多く見られるようになった。でも、背景や原因など個別性が高い中で、簡易的な診断も大事だが、「私もそんなことある」なんて言い合えるだけで楽になれる自助グループはやっぱり欠かせないだろう。
 だからこそ、自身の経験を活かして自助グループを立ち上げる人が増えてほしいし、そして何より、ReOPAのように、“必ずある居場所”でい続けるように続いてほしい。そのために、ゆまさんの取り組みは、大きな大きなヒントになる。




ここまで読んでくださった皆さまに‥


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