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【横断 #12】言葉を指で選んで音声で伝える『指伝話』


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高橋 宜盟さん(前編)


 『指伝話』という名前の、登録した言葉を指で選択して音声で伝えるアプリがある。画面に表示されている言葉をタップすると、合成音声がその言葉を読み上げる。言葉は自由に追加・変更・削除することもできる。

 ご存じの方であれば、重度脳性麻痺や神経難病、脳卒中の後遺障害、音声・構音障害のある方に有益なアプリだと思われるだろう。


絵や写真を使って作る指伝話メモリ


 しかし、指伝話を開発した高橋さんに、そんな発想はなかった。システムエンジニアとして企業に務めた後、1997年に夫婦二人で会社(有限会社オフィス結アジア)を始めた。いろいろな仕事をしたが、2003年の海外案件で失敗し、それから8年間は「選択肢のない下請け開発の日々」だった。そこから脱却しようにも夫婦二人の会社には「当然、電話番もいない」。今から15年近く前はまだまだ固定電話での連絡も根強い、、でも家にいては仕事にならない、、移動中の電車の中でも電話にでたい、、

 そんな結果、「喋らずに電話ができたらいい!」と開発したのが、指伝話だった。


 工事現場など騒音がうるさい場所や声がだせない場所でも電話対応できるなど利便性があるとビジネスコンテストに出してみたが、「審査員の評価はけちょんけちょん」で、「留守番電話やSMSがあるからそんなものはいらない」と言われた。でも、声でやり取りすることが求められる場面もあると高橋さんは思っていた。

 たまたま喉頭がんや咽頭がんで声を失った方に使ってもらった時に「これいいですね、是非使いたい!」と言ってもらい、指伝話の道が拓いた。

 「失語症の方で文字が読めない場合がある」と言われたため、絵カードに対応した指伝話メモリを新たに開発した。

 「絵カードが使えるなら子どもにいいね」と言われユーザ層が広がると、「子どもの中には体を動かせない子もいる」と言われ、指を少し動かして使うスイッチと連携できるようにした。スイッチ操作のことからALSなど難病の方たちのことを知った。

 体が動かせず目が見えない人から「使いたい」と言われれば、聞いて使う指伝話の工夫をした。

 盲ろうの人から「指伝話を使いたい」と言われた時には難しいと思ったが、「点字ディスプレイとつなげればいいんじゃない?」と盲ろうの方にアドバイスをもらい対応をしたら、その人は点字で指伝話メモリを操作しながら講演会でお話をされた。

 「いつでも自分が思っていたのと違う使い方をされるんです」と高橋さんは笑うが、必要とする“当事者”に出会い続けた指伝話は、より多くの“当事者”にとって必要なプロダクトに育っていった。


 高橋さんがかつて取り組んだシステム開発の仕事は、「納期がぴったりで仕様通り動いて、それが当たり前。だから褒められることが少ない仕事だった」

 でも、指伝話のお客さまには、これがあって助かったと感謝された。「ありがとうと言われることが、やみつきになった」


同僚の研究員だった勇太くんと


 ただ、指伝話のようなプロダクトは対象マーケットが大きいわけではないので、儲かるものではない。だから、あくまで「ライフワーク」として取り組み、その傍らで「ライスワーク」としてシステム開発の仕事を続けていた。

 しかし、喜んでくれる当事者の方々と出会い、みんなの期待が高まるにつれ、「このまま片手間で続けているのはよくない」と、「すべてのライスワークをやめた」。指伝話事業の売上は小さくても、色んな人との出会いが財産と考え、「夫婦二人の会社ですから、大儲けしなくても、暮らしていければ御の字ですよ」と話す高橋さんはカッコよかった。


(後編に続く)




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